投資はギャンブルなのか
投資とは、利益の獲得を見込んで事業や金融商品などに自己資金を出すことです。具体的には、株式や不動産などの購入が投資にあたります。一方で、投資にはリスクが伴うため、損失を出してしまう可能性も否定できません。リスクを負って利益獲得も目指すという側面から、投資とギャンブルを同じようなイメージで捉えている人も少なからずいます。
しかし、投資はギャンブルとはまったく違うものです。ギャンブルとなぜ違うのか、具体的に解説します。
投資とギャンブルの決定的な違いは期待値
投資とギャンブルのもっとも大きな違いは「期待値」です。期待値とは、投下した金額に対して計算上どの程度のリターンがあるかという理論上の利益額を指します。
ほとんどのギャンブルの期待値は、必ずマイナスになる仕組みとなっていることが、投資とは決定的に異なる点です。ギャンブルには必ず胴元と呼ばれる主催者が存在し、胴元が利益をあげる目的で開催されています。つまり、参加者が投下した金額から一定割合が胴元の利益になるため、総額以上のリターンは絶対に発生しません。
一方で、投資の場合は、投資先の価値が上がり続ける可能性があり、厳密にはそもそも期待値が存在しないため、マイナスが前提にはなりません。ゼロサムゲームと呼ばれるFX(外国為替取引)でも、トータルの期待値は名前の通りゼロです。
合理的根拠の有無
投資とギャンブルのもう一つの違いは、資金を投下する際の合理的根拠の有無です。
投資には、判断を行うための材料が数多くあります。何がどうなったら値上がりする、逆に値下がりするなど、合理的に判断を下すことが可能です。たとえば、アメリカの金利が上がるのではないかという観測が報道された際には、将来ドル需要が増加するなどの予測を根拠に基づいて立てられます。
一方で、多くのギャンブルの結果は、偶然の産物でしかありません。競馬などで血統を根拠に予測することもありますが、合理的判断とは言い難いのが正直なところです。カジノなどでは判断材料がさらに乏しいため、予測すら立てられません。運良くギャンブルで儲かることもありますが、多くの参加者は基本的に勝ったり負けたりを繰り返します。つまり、合理的根拠がない限り再現性はないのです。
判断力と知識
判断力と知識も、投資とギャンブルの意外な共通点です。ギャンブルで勝つためには、ゲームのルールに関する知識と、勝負に出る際の判断力が必要となります。
投資も同様で、投資先の業界や税制の知識、つまり投資のルールを理解しておくことが重要です。さらに、あらゆる情報からいつ投資するか、いつ撤退するのかの判断を適切に下すことが投資の成否に直結します。
十分な知識のないままおこなえば投資もギャンブルも同じ
投資とギャンブルには、期待値や合理的根拠の面で決定的な違いがあります。しかし一方で、意外な共通点があることも事実です。投資では、正しい知識と正確な情報をいかに得るかが成否の分かれ目となります。十分な知識のないままでは、合理的根拠に基づいた判断ができず、ギャンブルと変わりません。
ギャンブル投資になってしまわないよう、事前にしっかりと知識を身につけて投資をおこないましょう。