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【米国株】ベールに包まれたPalantirに迫る
シリコンバレーにおいてすら、事業内容が謎に包まれているとされていたパランティア・テクノロジーズ。2024年9月に待望のS&P500の仲間入りを果たし、株価急上昇しているパランティアの事業の位置付け、決算、今後の見通しについて紐解いていきたいと思います。
事業セグメント
主に4つの事業からなり、それぞれに特徴があります。
1. Palantir Gotham
「Gotham」は、特に政府機関や防衛機関向けに設計されたデータ解析プラットフォームです。主な機能は、膨大なデータセットからパターンや洞察を抽出し、機密情報提供者のレポートやシグナルインテリジェンスなど、複数のデータソースを統合して解析します。これにより、ユーザーはセキュリティや諜報活動の分野で隠れたリスクや脅威を早期に発見し、効率的に対処することが可能です。特に国家安全保障や防衛分野での利用が重視されています。
2. Palantir Foundry
「Foundry」は、企業や組織のデータ統合と分析を支援するためのプラットフォームです。Foundryは、組織全体のデータを一元管理し、複数のデータソースを中央オペレーティングシステムとして統合します。これにより、業務プロセスの最適化、意思決定の迅速化、運営のデジタル変革を推進します。様々な産業で利用されており、企業の競争力向上やデータ主導のイノベーションに寄与しています。
3. Palantir Apollo
「Apollo」は、パランティアの他のプラットフォームの継続的な運用と更新をサポートするバックエンドの制御レイヤーです。クラウドに依存しない構造で、新しい機能、セキュリティアップデート、プラットフォームの構成変更を自動的かつシームレスに展開します。Apolloは、重要なシステムがダウンタイムなしにアップデートを受け、常に最適な状態で稼働し続けるように設計されています。
4. Palantir Artificial Intelligence Platform(AIP)
「AIP」は、企業や組織内での大規模言語モデル(LLM)や人工知能(AI)の活用を促進するために構築されたプラットフォームです。AIの力を効果的に引き出し、責任あるAIの導入をサポートします。AIPは、データの取り扱いやAIのトレーニング・運用プロセスを効率化し、組織がAI技術を安全かつ信頼性を持って導入・活用できるようにするための重要なコンポーネントである。特に、生成AIや機械学習モデルの導入を促進するため、企業全体でのデータ活用の最適化が図れます。
エンタープライズAI
パランティアはAI市場におけるエンタープライズAIに位置付けられ、現在、熾烈な競争が繰り広げられている大規模モデルとは距離をとっています。
「大規模モデルはコモディティ化する」と主張し、構築されたモデルを使っていかに価値を還元するかに主眼をおいており、エンタープライズAIの覇者となるべく着実にシェアを伸ばしています。
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2024Q2決算では、Y/Y 27%の成長を見せ、中でもこれまでの顧客であった政府向けに加え商業向けにシェアを伸ばしていることがわかります。商業向け部門が注視されており、期待に応えた形になります。ブートキャンプで開発者を巻き込み、今後も成長が期待されています。
高バリュエーション
高い成長率を誇るパランティアだが、予想PERは100倍を超え、また、SO保有率が高いとの見方から一部のアナリストはやや弱気な評価をしています。
しかし、創業者には、あのペイパルマフィアのドン、ピーターティールを有しており、個人投資家からの人気も高いとされているため期待先行で高バリュエーションとなっていると思われます。
ピーターティールはトランプ大統領の前任期中に、アドバイザーも務めるほどで、またペイパルマフィアのイーロン・マスクはトランプ陣営への寄付も行なっています。11月に控える米大統領選挙の結果次第では株価に変動があると推察されます。
市場の高い期待に応えられるか、それともやや冷ややかなウォール街の見方どおりとなるのか今後も注視していきたいと思います。