ヒトかじり
理央:良い香り。この香り、何だっけ。なんか覚えがあるの。
京一:へぇ。花の香りなんか、一々覚えていないや。
理央:どうして?素敵じゃない。花は香りを出して虫たちを呼ぶのよ。
京一:雄蕊と雌蕊の話は、この間の期末テストでやったよ。何にも難しいことなんかなかった。
理央:そうじゃなくて、花の香りに引き寄せられるのは自然なことでしょ。
京一:まあ、科学的にはね。
理央:また。科学とかそんな言い方しないで。少しは、我がままに生きたらどうなの。
京一:だって。大体男でお花の香りって嗅いだりして、遠巻きで見たら理央だって引くだろ。ていうか、道端の花嗅いで良い匂いだなんて、男女問わず変だよ。
理央:わかってる。私も、京一の前でしかこんなことしないよ。
京一:何かの当て付けかよ。
理央:かもね。困るところ見るの、好きかも。
京一:それはそれは。とても良いセンスをお持ちのようでお姉さん。
理央:うん。多分、私しか持っていない趣味だと思う。続くと言いな。
京一:俺たち?
理央:ううん。趣味が。
京一:何だよ!また、俺の赤っ恥かよ。
理央:だって、趣味の話してたじゃん。一緒だけど。
京一:ん?聞こえなかった!
理央:なんでもない!
京一:なんで、不貞腐れてんだよ。顔赤いぞ。
理央:何でもないってば!
京一:??