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こんな本はいかが⑬ ほんまにオレはアホやろか 水木しげる

自伝シリーズ。自伝好きなのかもしれない。

言わずとしれた妖怪…じゃなく妖怪博士の水木サンの自伝。
幼少時代から戦中戦後、鬼太郎が世に出るあたりまで描かれる。

基本的にのんびりとした語りで描かれるのだが、戦時中の苦労、自他ともに認める落ちこぼれ兵士だったこと、アメリカ軍や現地民から昼夜をかけて命がけで逃げ回るあたりのくだりは緊迫感がある…のだが、その後敵対していない現地の村にすっかり馴染んで帰化まで考えてしまうところはさすが水木サンといったところだ。
軍医さんに止められなければそのまま現地の村に住んでいた、と本人談(ただ、別の本で読んだらその軍医さんは言った覚えがないとか笑)。

その後日本に戻るが、魚屋やら紙芝居描きやらアパート経営やら色々関わってはトラブル続きで失敗、赤貧生活にもくじけない。
結婚も両親に急かされてしぶしぶお見合い結婚。
(描写の熱量が 税金取られそうになり怒るくだり>>結婚のくだりなのが面白い)

でも好きな絵はいつも描き続け、少しずつ生活が向上。鬼太郎でとうとうブレイク。余裕のできたところで、心残りだった戦時中に心を通わせた南方の村に訪問したところで幕を閉じる。

読んでいると、小さいことで悩むのがバカバカしくなるような自伝である。

「この大地はもっと自由だ。いろいろな形で生きていける。」
「人間、つまらんこと(水木サンの場合、妖怪画)でも骨をおっていれば天の報いみたいなものがある気がする。」
あとがきより




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