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GEVOの事業内容について(後編)

前編に続いてGEVOの事業内容について、簡単にまとめたいと思います。同社の事業は大きく下記の4つに分類されます。

①航空燃料事業
②その他燃料事業
③化学製品事業
④高タンパク動物飼料事業

①、②については前編で紹介していますので、まだ読んでいない方はまずは前編を読んで下さい。

それではさっそく続きを書いていきます!
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③化学製品事業

イソブタノールの用途としては完全バイオPET原料となるパラキシレン(PX)があります。同社はイソブタノールからバイオPXの合成にラボレベルで成功。その後東レが同社のバイオPXを使用し、完全バイオPETの重合・繊維化・フィルム化に成功しています。また当時、コカ・コーラカンパニー社も共同開発のメンバーに加わっていました。

しかし、その後バイオPXに関する話は進展していないように見受けられます。その背景としてイソブタノールの生産能力不足があると私は予想しています。イソブタノールはこれまでご紹介した通り航空燃料としても販売されています。

2017年に年間で44万ガロンのイソブタノールを生産し、理論上は約150万ガロンの生産能力があると同社は公表しています。ルバーン工場にはエタノールとイソブタノール用の発酵棟が4つあり、エタノールの生産を2020年に終了しました。
4つの棟をフルで生産しても、航空燃料として年間約6600万ガロンも契約していますので、化学製品を生産する余力がありません。つまり、リソースをどこに優先的に割くかという観点から同事業の進捗が遅れているのだと考えます。

今後は航空燃料用のイソブタノールを供給する為、シティグループの資金提供を受け、量産設備の建設を計画しているとの事ですが、当面は航空燃料用の生産に注力する事になると推察されます。

次にイソアミレンですが、こちらはイソブタノールを生産する際に発生するフーセル油という廃棄物原料から生成します。イソアミレンの用途は樹脂、医薬品、フレーバー及びフレグランス、ヘルスケア製品、接着剤等多岐に渡ります。今年(2020年10月)にTOTALCrayValleyと共同でイソアミレンの開発を開始する旨公表されましたが、どの位の期間で商業化出来るのか気になる所です。イソアミレンの商業化が実現すれば様々な用途で有限な石油製品から持続可能なバイオ製品に切替が可能となります。商業化の道のりは遠い印象を受けますが、脱プラの解決策の1つとして今後市場が急成長する可能性があると期待しています。

・イソブタノール(バイオパラキシレン)
・イソアミレン

④高タンパク動物飼料事業

同社は非食用のトウモロコシからデンプン質は燃料に、タンパク質は動物の飼料として販売します。GEVO燃料1ガロンあたり最大10ポンド(約5kg)が動物飼料になるそうです。
現在航空燃料用として下記の通り、年間6600万ガロンもの供給契約を結んでおり。動物飼料は上述の計算では最大6億6000万ポンド(3億3000万kg=33万t)発生します。農林水産省の統計データによると、家畜の飼料となる配合飼料の最近の価格はトンあたり約6万円で売買されており、安い時でも3万円位となっています。※アメリカの飼料価格は見つけらず、参考値として日本の価格で試算しています🙏

つまり動物飼料事業の売上としてはおよそ105〜210億円(約100〜200M$)の売上見込となります。前編で紹介した航空燃料事業の約半分〜同じ位という試算結果ですね。勿論アメリカ相場と日本相場では物価が違う為、おおよそのイメージですが、意外と金額的に大きな事業だと分かりました。

・trafigura     4800万ガロン
・デルタ航空     1000万ガロン
・ルフトハンザ航空  800万ガロン
         計6600万ガロン/年

以上で事業内容の説明は全て終わりましたが、如何だったでしょうか?面白い企業だなと思った方はぜひご自身でも調べてみて下さい。きっとこの記事を読む前よりも内容が理解しやすくなっているはずです👍

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