スウェーデンの私立ビジネススクール IHM Business School で1日授業体験
こんにちは、sweco です。
今回はスウェーデンの私立ビジネススクール IHM Business School についてご紹介したいと思います。
スウェーデンにはビジネススクールがいくつかあるのですが、そのほとんどが大学が経営しているものです。今回ご紹介するIHM Business School は、スウェーデンではめずらしく、非営利財団IHMが所有する独立した私立学校です。
1966年にGothenburg School of Economics の助教授 Holger Formgren によってマネジャーや専門家に向けてマーケティングの授業を行ったのが始まりだそうです。
現在では、企業向け研修、学位が取得できるDIHMコース、ユース向けのYHコースと大きく3部門でビジネスに活かすことができる教育を提供しています。
*教室の様子。机は円卓で、ディスカッションしやすい並びになっている。
パーソナルリーダーシップコースで1日授業体験
2019年12月に、企業向けに提供されているオープンプログラム(テーマはマーケティング、セールス、経済、マネジメント&リーダーシップがある)のうち、マネジメント&リーダーシップの1コース "パーソナルリーダーシップコース" に1日参加させていただきました。
パーソナルリーダーシップコースは、トータル約4ヶ月、2日×4回 / 8日間学校に集まって演習を行う(現在提供しているコースは約3ヶ月、6日間のようです)という形式です。演習までに、事前学習や課題などもあるそうです。
私が参加した日は2回目の演習で、参加者は15名(うち8名が女性)、様々な業種の企業から来ていました。参加者は部下を持っているリーダーが対象です。
<1日のタイムスケジュール>
9:00- スタート
10:15- Fika
1階にあるカフェテリアに、サンドイッチ、コーヒー、お茶などが用意されいる。講師や受講者たちが一緒に歓談。
10:30- グループワーク
グループは、1組4-5名で構成。今回のテーマはSL理論。
グループで話し合いながら、SL理論の図が描かれたシートに、当てはまるピースを置いていく。
受講者たちは、事前学習ですでにSL理論について学んでいる。
*グループワークの様子。
11:20- ワークの解説
回答の描かれているシートを講師が渡す。
各グループはそれをみて、シートを修正していく。
11:30- アセスメントを使ったワーク
事前に行なったアセスメント評価の結果を各自に渡す。
結果の見方について講師が説明する。
12:00- Lunch
近くのレストランで、みんなでランチ。
研修も3日程目なので、人間関係ができつつある。
来ている会社の業種は様々。業種や職種を越えて、同じ課題を持った人たちと一緒に学ぶことができるのは貴重な経験になる。
13:00- アセスメント評価の結果について、SL理論と照らし合わせて再度読み込む
13:25- グループごとに結果について、ディスカッション
各グループはミーティングルームの鍵を持っていて、自由に場所を移動して、ディスカッションできる。
14:00- 各自の結果について振り返り
14:30 Fika
ケーキ、フルーツ、コーヒー、お茶などが用意されている。
ちょうど眠くなる時間帯にFikaがあるのはありがたい。
14:50- ロールプレイング
リーダー役と部下役に分かれて、ロールプレイングを3セット行う。
17:00 終了
*教室の様子。壁一面に、グループで作成したプレゼンテーションが貼られている。
1日を通しての気づき
私は日本で研修設計をしているので、IHM Business School のクラスを体験させていただいて、多くの気づきを得られました。大きくは、
1. 学びが身につく仕組み
2. FIKAの効用
3. 受講者のモチベーションの高さからみる文化の違い
の3点です。
まず、学びが身につく仕組みについては、4ヶ月という時間をかけて1つのテーマを学んでいること、オンライン学習とワークショップを組み合わせたブレンディッドラーニングを行なっていること、事前学習・事後の振り返りを行なっていることなど、学びに効果的と言われる要素がコースに組み込まれている点です。
FIKAは、個人的に学校や職場でどんどん取り入れてもらいたい施策の一つです。Google にマイクロキッチンという飲み物やスナックを提供する福利厚生があるそうですが、FIKAも同じような機能を果たしていると思います。
業種や職種、立場を越えた人の交流から新しい発想も生まれますし、何より集中力が切れそうになった時の小休止はとてもリフレッシュできます。さらにそこに美味しい食べ物や飲み物があれば、最高です!
ちなみに、同じコースを受講していた方にお話を聞いたところ、「会社からお金を出してもらって研修を受けることで、自分自身知識も得られて、仕事もしやすくなって、昇給にもつながるから、ここの研修はとても人気なんです」と仰っていたのが印象的でした。
IHM Business School の研修に来る受講者の方たちはモチベーションが高いそうです。日本では、研修=だるい、と思われている人が多いのではないでしょうか(もちろん中にはモチベーションの高い方もいらっしゃいます!...)。学ぶことが自分のキャリアに密接に関わっているスウェーデンならではの考え方だと痛感しました。
日本でも、能動的に "学びたい" と思う社会人が増えてくれるとうれしいなと思います。それには会社の評価制度や、経営陣の人材育成に対する考え方を変えていかないと難しいということもありますが...
CEOに聞いた学びで大切にしていること
IHM Business School のCEOに、学びで大切にしていることをお伺いしました。
リアルが大事。
ブレンディッドラーニングでモバイルを使用するけれど、大切なのはリアルで学ぶこと。自分で考えたことをディスカッションすることで、何かが生まれる。
今は "リアル" で学ぶことは、なかなか難しい状況ですが、とても重要な要素だと思いました。
他者と同じ場所で一緒に学ぶことで、新たな視点を得たり、身体を通して得た経験は記憶に残りやすいのかと思います。
デジタルとリアル、どちらもうまく取り入れて学習設計することが重要だと思いました。
ちなみに、IHM Business School の授業はすべてスウェーデン語です。企業単位でのオリジナル研修であれば英語での授業も対応可能だそうですが、個人で受講される場合はスウェーデン語になりますのでお気をつけください。
それでは今日はこの辺で、Hej då!