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使える!スタジオ・イングリッシュ
私はカナダで映画に音をつけるというちょっと変わった仕事をしていまして、レコーディングスタジオでは自ずと変わった英会話が成立しています。今日はそこに登場する単語をいくつかピックアップしてみようと思います。海外進出をお考えの方、使えます(すごく限られた場所ですが)!!
なんとも形容しづらいあらゆる音を作り、それを形容しながらスタッフとコミュニケーションを図るわけですから、使う語彙もトリッキーで膨大。その昔、駆け出しのアシスタントの頃は、作られる一つ一つの音を全てシートに書き込んでいくという作業を死ぬほどやりましたが、これほど英語のボキャブラリー強化にいい勉強法は無いのではと思うほどでした。
「y」で、ポンぽい。
一番使う用法の一つに、物の名前をそのまま形容詞化するというのがあります。
日本語ではオノマトペが豊富で便利ですが、英語にはオノマトペがほとんどありません。代わりに英語には、終わりに「y」をつけると大抵の名詞を形容詞化できちゃうという便利な特性があります。日本語で似たものというと「っぽい」をつけるみたいな事です。様々な音を言語化しなければならない作業場では、これが非常に多用されます。いくつか例をあげると、
pop →poppy 「”ポン”ぽい」
spark → sparky 「”パチッ”っぽい」,
tick →ticky 「”パチッ”っぽい」,
rattle → rattly 「”カタカタ”っぽい」,
boom → boomy 「”ドーン”っぽい」
room → roomy 「(音が)”部屋の中”っぽい」,
crack → cracky「”パキッ”っぽい」,
なんかがあります。
Shabbyで行こう。
それから messy「散らかってる」や muddy 「泥んこ」などは、そのままの意味だけでなく、重ねた音が邪魔しあってクッキリさを失ってしまっている状態を指す時によく使います。
逆にもっと汚そう、という時には、
「let's shabby it up」,(レッツ・シャビイラップ)なんてのもあります。
フォーリースタジオでは毎日飛び交いますが、他のところで使われる事あるのかな?というものに
plasticky(プラスティッキー)「プラスチックっぽい」,
doubly(ダブリー)「ダブルっぽい」,
impacty(インパクティー)「(音の)衝撃が強すぎる」
など。
今日だけでもスタジオで
Let's make it jackettier. (ジャケティアー、jacket →jacketty比較級)「もっと(シャツっぽいに対して)ジャケットっぽい」
も言ったし、
It's branchy than strawy. 「ワラッぽいより枝っぽいね。」
も言いました。
カッピー&スラッピー
他によく使われるものとして、gooshy「グチャっぽい」、fleshy「肉っぽい」、cuppy「カップっぽい」などなど。腕を掴む音を作る時に、直に手首だったらskinny「肌っぽい」、袖の上からだったらclothy「布っぽい」。拍手の種類も色々ありますから、手を少し丸めてカップにしたcuppy(カッピー)な感じの時と、逆にペチペチしたslappy(スラッピー)な時がありますね。そんな時に使います。
もっと色々ありそうなのでまた続きを書きたいと思います。スタジオで生まれた造語も紹介したいです。本当に使われている業界語やフレーズを現場からお届けしますのでお楽しみに!
ありがとうございました。ではまた。