名作から学ぶ！主人公の動機の強化について

こんばんは、fukaです。

映画「羊たちの沈黙」「テルマ＆ルイーズ」を続けて見て、主人公の動機に"ある共通点"を見つけた気がしたので、まとめます。（ネタバレするよ！）

★主人公の動機は、過去のトラウマで強化する

「羊たちの沈黙」のクラリス、「テルマ＆ルイーズ」のルイーズ。この二人は、映画の始まりを担う主人公です。

クラリスはFBI訓練生ですが、上官のクロフォードに言われて殺人犯の手がかりを得るためにレクターの元を訪れることに。そして、事件をめぐる物語が始まります。
ルイーズは、旅行先で友人のテルマがレイプしようとした男を銃で撃ち殺してしまい、メキシコへ逃亡することに。そして、逃避行が映画のメインとなります。

さて、クラリスはFBI訓練生だからこそ危険なレクターの元を訪れることにしたのでしょうか？　危険な殺人犯を自らの意志で追うことにしたのでしょうか？　それが仕事だから？　……ちょっと、動機が外的すぎるような気がします。
ルイーズは、なぜテルマをレイプしようとした男を撃ったのでしょうか？　いくら気が動転した、友人を助けようとした、怒りのせいでとは言っても、さすがに銃殺はやりすぎじゃないですか？（映画を見ると分かりますが、一度は落ち着いて犯人に猶予まで与えるんです。テルマも「まさか撃つなんて」と怯えて泣きます）

しかし、この二人には行動を起こすための強い動機があった。それは、過去のトラウマ。
どちらも、映画の前半にトラウマを匂わせる会話があって、後半でその詳細が明らかになります。

☆実際に、各キャラのトラウマについて

クラリスは、幼少期に羊の屠殺を目撃してしまいます。そして、助けようとした子羊一匹ですら助けられなかった。それがトラウマとなり、それ以来、頭の中で羊の悲鳴が鳴りやまない。
そこで、もし事件を解決出来たら（被害者を救えたら）羊の悲鳴が止むのではないか……と考えます。無意識に近い考えだったのだと思います（レクターによって言語化される）。だから、危険な事件に自らの意志で足を踏み入れた。

ルイーズは、過去にテキサス州でレイプされたことがトラウマとなっていました。「もう絶対にその話をしないで」と怒るほどに、ルイーズの中では忘れたく向き合いたくない強烈なトラウマだと考えられます。
だからこそ、友人のテルマがレイプされそうな現場を見て容赦なく銃を向けることが出来た。そして、反省の色を見せない男に、ついに発砲してしまった。
そして、自首ではなく逃走を選んだのも、おそらくトラウマが関係しています。「レイプされた方が悪い。そういう場所なのよテキサスは」（曖昧ですが…）と、テキサスを通ろうというテルマにルイーズは吐き捨てます。きっと過去の事件では、レイプ犯が裁かれずにルイーズが責められたのだと推測できます。だからこそ、徹底的な証拠が無いから正当防衛とはいえ逃走を選んでしまった。（酒場のお姉さんも庇っていたし、もしかしたら証言者がいて助かったかもしれないのに…）

一見すると、
・クラリスは「仕事だから」「使命だから」
・ルイーズは「友人のため」「怒り」
に見える動機ですが、その動機の強化に過去のトラウマが使われていました。

★主人公にトラウマがあるとお話に深みが出る

特に「羊たちの沈黙」ですが、メインのお話は殺人犯を追うことなのに人間ドラマが心を揺さぶってきます。これは、レクターとのやり取りを通してクラリスが自分の過去と向き合うシーンが印象的だからだと思います。
（タイトルがそもそも「羊たちの沈黙」なので、こちらがメインと言えばそうなのかもしれない……）

ちなみに、クラリスの指をレクターが撫でるところの会話シーン。あそこは当初、回想の映像が入る予定だったらしいです。しかし、クラリスとレクターの表情と演技が素晴らしかったのでカットしたそうな。
一番伝えたいことは、見せないで語らせる！　難しいっすね……。（映像は、語らないで見せるのだ！とも言うのにね）

★まとめ

・主人公の動機づけは過去のトラウマで強化する
・人物の過去を語る（散りばめる）と物語に深みが出る

☆後記

よく、「キャラのバックストーリーを書け～」というのも、こういった点に役立つからなのかもしれません。

「羊たちの沈黙」は、メインの事件×助言者×主人公の成長。この入り組み方が凄かったです。今度まとめてみます。
「テルマ＆ルイーズ」は、ダブル主人公×ピンチへの追い込み×心情の変化。が面白かった。
あと、全ての行動に伏線が張ってあるような気がして「うわ……（驚愕）」てなりました。やばい。これも今度まとめます。

以上です。
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（レンタル期限が迫っているので、明日までにあと３本見ないといけない……）