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fusae
2025年1月17日 12:05
「恋に落ちれば」というわたしの本の、いちばん最後に載っているおはなしです。 《joie de vivre avec toi》 よせてはかえす波を見ていた。青緑色をした、しずかな曇天の海を。なんだか恐竜でも現れそうな、原始的な海だった。薄明かりの空に、いまにも翼竜が飛んできそうだ。雨に濡れた、砂鉄色の波打ち際にしゃがみこんで、ぼくたちはただ無言で海を眺めている。 「ヴィ