無理とは言わない。じゃあどうしよっかと考える。 パートナー/Cafe MICHIKUSAさん(後編)
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Focus&Journeyがお力を借りているプロフェッショナルのお一人、埼玉県東大宮にある、カフェMICHIKUSAのオーナーの安藤つかささん(あんでぃさん)にのカフェを始めたストーリーや想いを伺いました。
奥様の「カフェをやりたい」という一言と、好きな人と一緒に何かをやっていきたいというコンセプトのもと始まったカフェの船出からのお話。
最初はしんどくてめっちゃ後悔しました(笑)
──カフェは、やってみてどうでしたか?
あんでぃさん:「最初は本当にしんどくてめっちゃ後悔しました(笑)カフェって本当に利益が出ない業態で、居酒屋とか夜までやってれば違うけれど僕らはそうしなかったので、お客さんがこない日もあるし1 日の売上げが数百円と言う日も。
オープン一年目は本当に大変で、電気とかガスも止まったりして、わーこれもうヤバイな。これでどう食ってくんだ。このタイミングでこんなにお金無くなるかって。
店って立ち上げるところはお金で買えるんです。1000万あればカフェを作れる。だけどお金でお客さんは買えない。本当もう、泥臭いことばっかりだと思うんで。地味だし、泥臭いし。でもそういうの続けないと2年3年、繁栄していかないんですよね」
── 転機となったのは、オープンから一年経った頃、コロナで完全予約制に変えたこと。 感染対策もあるが、元々開店当初からやってみたかった一日一組限定の完全予約制にシフト。
チャレンジしてみた結果、予約が取れないくらい好評だったが、やっぱりカフェのいいところってフ ラッと寄れる所だよね、これだと「道草」じゃなくて「目的地」になっちゃてるよねと、一年後に元の形態に戻したそう。
あんでぃさん:「僕元々、コーヒーが飲めなかったんです。もしかしたらカフェイン があまり得意な体質ではないかも(笑)」
── なんと!!
でも、カフェをはじめるにあたりコーヒーのことを一生懸命勉強したそう。今ではコーヒーセミナーも開催される程に。
あんでぃさん:「あまり知られていないコーヒーの面白さを、もっと広めたいなと思って」それまでなかったものが生まれていくのは楽しいとのこと。
無理とは言わない。じゃあどうしよっかと考える。
あんでぃさん:「多分頼られるのが好きだし、基本無理って言わない。僕、中学生の頃から「無理」って言葉を毎回一発目にもらってきた体験があって、それがすごい嫌で」
──その原体験は中学時代。高校受験で担任の先生から志望校を変えなさいと言われたこと。元々勉強が好きで成績も良かったため、学校内でのテストでは常に学年トップクラス。行きたい 志望校も、安藤くんなら絶対余裕だよと言われていたそう。
あんでぃさん:「でもいざ模擬試験になると、全然点数取れなくて。僕が行きたい高校はずっとE判定(合格 の可能性が低い評価)しかつかなかったんです。それがずっとずっとずーっと続いて。もう中三の高校入試の最後の模擬試験までずっとE判定で。今でこそわかりますけど、やっぱそりゃぁ先生の立場からすればE判定出てるんだから、志望校変えなさいってそりゃ言うじゃないですか。いやいけるよとか無責任には絶対言えないし。
でも当時の僕は、いや、いけないかもしんないけど、いけないじゃなくて、じゃあどうやって勉強し よっかとか何が悪いんだろうねとか前向きな会話をしたかった。でも一発目に無理、変えなさい、 諦めなさいって言葉ををもらってて。
それから軽い受験ノイローゼのようになり、中三の頃はずっと声が出なくなって。
でも、高校受験終わって自己採点して、あ、これ余裕で受かったと思った時に初めて声が出るようになって。蓋を開けてみたら余裕で合格してて。
それがあって僕は、人の可能性をちゃんと信じて、無理じゃなくてじゃあどうしよっかって、コーチン グ的なコミュニケーションを取れる大人になりたいなと思ったのが始まりだったんですよね」
── やめなさいって言われても、志望校を変えずに受けた強さがすごいですね
あんでぃさん:「それは我ながらすごいと思います」
── だって、すごく孤独じゃないですか
あんでぃさん:「そうそうそう」
── でもそれが成功体験になった訳ですよね。
あんでぃさん:「そうですね。今の活動につながっている体験はいくつかあるけれど、多分これは一番の成功体験。無理って言われながらも、自分は自分の味方でいようと思って」
── なかなかそうは思えないです。しかも子ども時代にそんな発想はないですよね。
あんでぃさん:「どうですかね、ま、試験は点数取れないけど、手元にある参考書とか過去問は大体解ける。だから、模擬試験作った奴がなんか悪いんじゃないかな?みたいな(笑)」
── いいですね!すごく前向き(笑)ご両親はどんな様子だったんですか?
あんでぃさん:「両親は、うちの子の好きにさせたらいいんじゃないですか?最悪、滑り止めあるし別にいいんじゃない?って、信じてくれてたんですよね。だから僕、両親のこと大好きで。信じてくれたのはお父さん、お母さんだけだったから」
── そうした、ご両親に信じてもらった体験、自分の味方になって取り組み、無理と言われたことをやり遂げた成功体験が、今の活動に繋がっているんですね。
直感を信じて扉を開けてみてほしい
── 最後に、初めましての方に、カフェMICHIKUSAさんのことを伝えるとしたらどんな言葉になりますか?
あんでぃさん:「たぶん、お店に来られたらわかると思うんですが、お店はめちゃくちゃ入りにくいんですよ。 まず奥まっている。奥まり方も特殊な奥まり方をしていて。
基本看板が目に入らない。看板は2.3 個出してるんだけど見えない人には見えないみたい。となりのトトロみたいな(笑)
見つけるのがめちゃくちゃムズイ。さらに見つけたはいいけど、奥まって薄暗いので入りにくい。扉もまぁまぁ重たいけど、でもお店のドア開けると、あ、よかった。へんなところじゃないわって。
そんな落差がすごいけど、勇気出して扉あけて入ってみたら素敵なお店ですよと。お客さんもそう言ってくれる方が多いので、直感を信じて扉を開けてみてほしいです」
*お店の外観。お客様を暖かくお迎えしてくれるあんでぃさんのイラストが。
月に一回必ずやっていることは、お店のスタッフと一緒にカフェ研修の日を作って、埼玉県内の気になるカフェに行くこと。
── より良くなるための取り組みをし続けていること、素晴らしいですね。
あんでぃさん:「うっかりすると僕らって従業員側の目線でしか見れないじゃないですか。ちゃんとお客さんの体験するの大事だなと思って。
お皿を出す時の手の出し方とか、他の店の見ないとわからないし。
この出し方心地いいな、この 声掛けすごい素敵だなとか。使ってる器とかも。
自分のお店だけだと、どうしても視野が狭くなっちゃう。ちゃんとやっとかないと目の前の大事なお 客様を喜ばせられないかなと思ってて。」
みんながハッピーだといいな
そんな、愛ある素敵なあんでぃさん。 これからやりたいことが、まだまだいっぱいあるのだそう。
あんでぃさん:「世の中にないものを作りたいし、ただ作ったら終わりではなく、実際にその場を使う人にとっ て、こっちの方がいいよね?だったらこうやったらいいよね、これあったらいいよねって、妥協なくやっていきたい。
人の良いところを伸ばす。人を育てる。みんながハッピーだといいなって」
── そんな想いで、活動をさらに広げていかれているんですね。
あんでぃさん:「全部順調だったわけでなく、ちゃんと波があるのが大きいと思ってます。ちゃんと貧乏も経験して上も下も経験できてる。その幅が想像力に繋がってくると思う。愛って想像力だと思ってるんです」
個人事業、会社の設立と運営、飲食店などの場作りとマネジメント、そしてデザイン。様々な引き出しをお持ちのあんでぃさん。
Focus&Journeyは、これからもあんでぃさんと共に、軽やかな一歩を踏み出すハッピーな瞬間をどんどん味わっていけそうで、とても楽しみです。
実はこの秋(2021年11月)、早速、カフェMICHIKUSAさんでの初めての試みとして、Focus&Journeyのメンバーさんの『写真と書の二人展』をカフェ内で開催させていただくことが決定しています。
あんでぃさん、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
引き続きどうぞよろしくお願いします。
文:つるみひろこ
写真:大野理恵
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