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チカダンスって革命じゃない?

〈チカダンスはこれまでのキャラ×ダンスものとは一線を画す
チカダンスとは、「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」というコミック原作のアニメ(2019年放送)において、登場キャラクターの藤原千花(ふじわらちか)が踊るダンスのことです。アニメ第3話のエンディングとして放送され、その可愛さが話題になりました。
 今ではアニメキャラクターがダンスを披露することは珍しくはないですが、このチカダンスにはこれまでのキャラ×ダンスものとは一線を画した革命的な可愛さがあると感じました。というよりアニメを見てここまで感動したのは初めてかもしれない…くらいの衝撃を受けました。その魅力は、このチカダンスが、可愛いキャラに可愛いダンスをただ踊らせたものではなく、「チカダンスが、キャラの魅力を最大限に伝えるために洗練された音楽とダンスの組み合わによるもの」だからという点にあります。今回はチカダンスがいかに凄い作品で、魅力に溢れているかということについて共感してほしくて書きます。

〈キャラの魅力を最大限に引き出す意味性の高いダンス〉
このチカダンスというアニメーションを見て一番に感じたことは、かなりコンテンポラリーダンスっぽいなぁ、ということでした。(コンテンポラリーダンスにも色々あるかと思いますが、あくまで私がこれまでに見てきたコンテンポラリーダンスにとても近いと思ったという話です。)具体的に説明するならば、いわゆる一般的な「動きそのもの」を意識したようなダンスには取り入れられないような、「意味」を重視した動きを多用していると感じた、ということです。例えば、ダンス序盤において学校一成績が良くて思慮深い(生徒)会長を表現するシーンでは、彼が考え込む時のポーズを、容姿端麗で気品のあるかぐやさんを表現するシーンでは、髪をなびかせる仕草を、ちょっと陰キャだけどデータ処理が得意な会計石上くんでは、ジト目でパソコンを打つ動きを、ダンスを踊っている書記の千花では、書類を書く時の動作を取り入れています。こういう動きはいわゆるダンスにはあまりないですよね。どれも音楽を聴かなくても、ダンスを見ただけで何を表現しているのかわかるほどに意味性が強いです。そして最も大事なことですが、この意味性の強いダンスが、音楽と相まって、キャラがもともと持っている性格や魅力を最大限に引き出し、キャラを神がかって可愛いものにしていきます。

〈ダンスと音楽でここまでキャラを魅せる〉
もともと可愛い女の子である千花ちゃんですが、音楽とダンスの組み合わせがその可愛さを完璧に表現しています。まず、千花ちゃんの名前でもある「チカ」というキーワードで、千花ちゃんの性格を記述しています。千花ちゃんは、千の花という名前にもあるように、花のように華やかで眩しいくらいに明るい性格です。これを歌詞では電球が明るく点灯し輝く時のような「チカッ」という擬音で表現し、ダンスでは手をパッと開いたり、目をパチッパチッとするなどの動きで表していますね。可愛いですね。続いてチカちゃんがとても元気で、生徒会を書記として支えている「チカ」ら(力)持ちなんだよということを、音楽では「力の限り輝く」といった部分などで、ダンスでは力こぶを見せるように腕をあげる姿を序盤、中盤、終盤と随所に入れることで表現していますね。超可愛いですね。
 また千花ちゃんの性格だけではなく、そのキャラ性も音楽とダンスの中に詰め込まれています。千花ちゃんがノリでふざけてラップをしたりするところが、会長の席から勢いよく立ち上がってyo!と言うところに現れていたり、時折とても大人びた魅力を見せるところが、曲調が変わって元気ハツラツな動きから一転し妖艶にソファに座ってウインクするところに現れていたり、IQ3くらいに可愛くはっちゃけてしまうところが、ラブ探偵と名乗って帽子を投げちゃったりするところに現れています。この短い作品の中に千花ちゃんがどんなキャラなのか、その魅力が全開で、ダンスと音楽によってそれが強調されています。ヤバいですね。
 キャラの魅力が詰まったダンスと音楽ですが、アニメーションの力がそれを支えていることも忘れてはいけません。この滑らかすぎて3Dにすら見える作画は、全て手書きで行われているそうです。このチカダンスを魅力的に見せるための動きの強弱や、目の瞬き、体から指先までの流れと、それに付随する衣服の揺らぎなどがリアルに伝わってくるのは、このアニメーションあってこそです。

〈生きたキャラが踊っている〉 
ダンスにも音楽にもアニメーションにも、それぞれにキャラの魅力を伝えるための工夫が随所に施されているにも関わらず、さらにそれらが組み合わさっているなんて、一体どんな奇跡なのでしょうか…。チカダンスが、可愛いキャラが可愛いダンスを踊るだけの作品になっていたら、どこかアニメの世界観とは離れた少し浮いた感じの作品になったかもしれません。しかし、キャラを強調する意味性の強いダンスと、まるでキャラが喋っているかのような音楽と、それを表現できる解像度のアニメーションとのマッチングにより、アニメの世界観のままの千花ちゃんが生徒会室で踊り出したかのような、キャラが生きている作品となっています。こんなクオリティのアニメ×ダンスものの作品を見たことがなくて、感動して、一人で泣きました笑。


このチカダンスをつくられた方々については触れませんでしたが、また同じチームでこのレベルの作品が再びつくられることを人生の楽しみにして待ちたいと思います。また原作もアニメも(映画も?)素晴らしいので、ぜひ見てみてください。

おわり。

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