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 歌ってみたやバンドマン等、音源を制作する時に必要な作業にミックスが含まれている。自分でやる人も居ると思うが、自分では出来ない人はお願いをする形になるだろう。

 有料でも無料でもミックスを依頼する時に、そもそもどうやってお願いするべきなのか、どう素材を用意したらいいのか分からない人も居るようである。そう考えてみたら、我々も我々で仕事の依頼に繋がらない事に気が付いた。依頼の仕方がそもそも分からなければ、依頼の仕様が無いので、こちらも仕事の引き受けようがなくなってしまう。結果、仕事に繋がらないという至ってシンプルな事に気が付いてしまった。

 そこで、今回は依頼をする時のポイントを綴っていきたい。

まずは依頼主のルールを確認する

 当たり前の事をと思われるかもしれないが、音楽に限らず書いてある事を読まない、人の話を聞かない、そんな人は何処へ行っても目にするもので、大事な事は予め公表しているものである。

 例えば予算、トラック数、得意ジャンル等、基本的な事を書いている人もいれば、サンプルレートをどうするのか?打ち合わせを細かくやるタイプなのか?納期の目安等、踏み込んだ内容も公表しているクリエイターも結構居る。

 だが、一番はサンプル音源を載せているクリエイターのページは絶対確認したい。大体の仕上がりが分かるので、完成図が想像しやすいだろう。何より依頼時の質問を考えたり、新たに聞きたい事が浮かんだり、何かと判断材料になるだろう。改めてクリエイターのページは見ておく事を勧めたい。

サンプルレートとビット数は確認する事

 大体44.1kHzの16bitがデフォルトになっている人は多そうだが、対応している録音形式は確認を取った方が無難だ。サンプルレートとビット数が高くなればなる程、CPUの負荷が上がってしまい、ミキシングエンジニアによっては対応出来ないエンジニアも出てくる可能性も上がる(勿論データも重たくなる)。

 尤も、オンラインで取引をする場合、データが重すぎるとそもそもデータの取引自体がスムーズに行えない原因にもなるので、48kHzの24bitぐらいが恐らく妥当だろう。

トラック数の予定を伝える

 トラック数が増えれば増える程、工程が増える事になるので基本的には手間となる。が、無ければならないトラックは減らす事が出来ない。

 しかし、ミキシングエンジニアによっては、トラック数が一定の数より上回る場合、追加料金を請求するタイプの人も居るので、トラック数の多い楽曲を依頼する場合は確認をしておいた方が無難。

パラデータは読み込んだだけで位置が揃うようにする

 歌ってみた系の人にやる人が多いのが、ボーカルデータのバラ送り。

 恐らく一本録りをせず、フレーズごとに録音をしている人が多いとは思うのだが、要するにフレーズ単位でデータを送ってくるのである。しかし、どのDAWでも読み込むと基本的に0:00の位置に読み込まれる。つまり、Aメロでもサビでも0:00に配置されてしまう。

 最悪、相手によっては依頼をお断りされる要因になるので、ちゃんと1トラックずつ書き出し、並べたらちゃんと正しい位置で鳴るように書き出せば問題はないのである。(尚、昔頭出しとかいう謎の概念がその界隈で飛び交っていたのだが、普通にDAWを使って、普通に0:00から曲の終わりまでをロケーターで設定して書き出せば、そもそもズレないので、やはり頭出しは謎概念)

音割れやミステイクは送らない

 音割れに関してはどうやっても取り除く事は不可能である。完全に依頼者の責任なので、エンジニアからリテイクの要請も覚悟しよう。また、失敗した時のテイクを送っても、使う事は出来ないので、しっかり正しいデータを揃えよう。

 ちなみに私が受けた仕事の中で、しっかりOKテイクを作らず、何本もテイクを送ってきて、しかもミステイク含むという状態。OKテイクの制作は別料金になる可能性が高い。OKテイクを作るオプションを設定しているエンジニアもいる為、エンジニアから確認をして頂けたらまだ御の字で、意地悪なエンジニアやバカな人はそのテイク全て混ぜて作業をやりだすので、本当に自分が作品として仕上げたいと思う楽曲であるのであれば、依頼者もしっかり責任を持ってデータを作らないとトラブルの元となるし、何より良い作品にはならないだろう。MP3で渡すのは論外です....(ちなみに作曲とミックスをやったものの、結局ミックスは自分でやると言った人が過去に居たものの、やはりデータがそもそもボロボロでした。怖いのでその後は聴いてませんが....)

ファイル名は半角英数字のみ

 WindowsとMacでは文字のフォーマットが異なる為か、日本語のファイル名は文字化けしてしまう。最悪それがウイルスとして見做され、パラデータのダウンロードが出来ませんでしたという事態を発生させる恐れがある。

 例えばボーカルならvo。ギターならlead_guitar_L。ベースならbassと、書いておくと良し。ピアノやドラムのようにマイクの多い楽器には、piano_nearとかpiano_far等、とりあえずどんな音なのか分かるような名前を付けておくと分かりやすいだろう。

 これを丁寧に出来るとエンジニアは喜びます。思ったよりも出来ない物なので、是非頭に入れておいて欲しい。

ファイルはフォルダをzipにしてまとめる

 トラック数が少なければまだ良いのだが、パラデータとなると大体20トラック近くデータがあると思う。よくデータのやり取りはファイルポストやGoogle drive等、オンラインストレージ系のサービスを経由すると思うのだが、そのデータを1トラックずつ送ると、一つずつダウンロードをしなければならず、エンジニアにとっては涙を流す要因となるので、zip一つをダウンロードすれば終わるように纏めておくと喜びます。

参考曲や要望はメモを添える

 これに関しては恐らくミーティングを行うエンジニアが多いと思うので義務ではないが、不安な人はzipファイルの中に一緒にメモを入れておくと、仕上がりのイメージが近くなるだろう。

 BPMやリンクなどを用意してあると尚良し。誰に依頼してもエンジニアは喜こんで引き受けてくれるだろう。

まとめ

 エンジニアによっては他にも必要なルールを提示してくる場合もあると思うが、この辺りが出来ていれば恐らく困る事はない。

 エンジニアの得意分野やスキルに寄っては、理想の形とは遠い仕上がりで送ってくる場合もあると思う。私も無料でミックスを引き受けていた時、たまにやっぱり自分でやると言ってきた人も居たが、経験上大体そういう人はまともなテイクを作っていない人達だったなと、思い返すと感じる。

 そして、スキルに問題があると思いたいと思うが、恐らく高確率でエンジニアのミックス、特に得意ジャンルの曲を他の依頼者の音源で聴くとしっかり混ざっていると感じたのであれば、間違いなく自分に問題が有ると思って良い。

 どんな良い機材、優秀な腕を持つエンジニアでも出来ない事は出来ない。ノイズは取れません。ピッチは直せても歌は上手く出来ません。タイミングは直せても演奏は上手く出来ません。そもそも機材がNoを突き付けます。

 尤も、しっかり自分でお金を払う意志を持っている読者の方は、妥協しないと思うが....

 出せる全力はどんなエンジニアでもお金を取っている人は全力でやるだろう。例えどんなに安くとも、高くとも。

 私はジャンルにも寄りますが、基本的にはいつでもウエルカムです。

 宜しければご依頼お待ちしております。

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