演歌歌手

『演歌歌手』

若いころは
そこそこまで行けたらしいんだけれどね・・・

小さなスナックのママが
水割りを作ってくれた。

もう結構な年齢になるのに
諦められないんだ。

ママは少し笑って
夢は夢ってことなのね・・・
いい大学出てるらしいんだけれど・・
選んだ道が
間違っていたのかな・・

あの子の歌聞いて
あなたどう思う？
続けてママが聞いてきた。

そうだね。
一口水割りを飲んで
自分しか好きじゃないんだろうな・・
きっと。

ママがたばこに火をつけてくれる。

まだ目指してるらしいのよね
演歌歌手。

たばこの煙が空を舞う

高い壁上ってしまったんだね
一番必要なことを
勉強できなかったんだね・・

ママが彼女を呼んできた。
無邪気そうに笑いながら

演歌歌手目指しています。
はっきり
名前よりも先に伝えて
僕を見た。

頑張ってね。
そう言って
僕は
可愛いね君と伝えた。

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