娘のかるたのこと
娘は競技かるたを中2の2月から始めた。E級の大会では、入賞することもなかったが、入会してから2年8ヶ月。高2の10月にA級となった。
あたしは娘より1年先にA級になったので、対外的なイメージというのかな、実力が『あたし>娘』のように見えるかもしれない。
でも、親の欲目かもしれないけど、娘はあたしよりも断然速くて強いと思っている。娘が絶好調の時にはあたしは札に触れないくらい速い。そう、『絶好調』の時には、だ。
娘は非常にムラがある。かるたも、気分も、なんでそんなに振り幅がデカいの⁉︎と思うくらいだ。感覚のみでとっていると言ってもいいくらいだと思う。めちゃ強いA級に束勝ちしたかと思えば、無段者に負けることもある。わが子ながらまったく理解できない。親のあたしはと言えば、娘とは真逆。コツコツ地道に積み重ねたモノでとるタイプだから、波はあまりない。だけど、それでも娘に負けることがあるのだから、『感覚かるた』に『努力』をプラスすれば、娘はものすごく伸びるんじゃないの?と思っているのだ。
しかしながら、そこはムラ気質の娘。練習に向かう姿勢は非常に波がある。練習して強くなろう!というような気概を感じたことはほとんどない。昨今のコロナ禍で、練習もままならないかるたーが多い中、対人練習の大切さ・ありがたさを痛感して欲しいのに「めんどくさいから練習行かないわー」なんて言い出す始末。そのくせ思うように取れなければ機嫌が悪くなり、めちゃ速の人と対戦すれば、負けようがなんだろうが楽しくてウキウキしてる。
だけど、自粛を要請できないように、かるたへ向き合う心持ちを強要できないのだ。かるたをするもしないも、彼女の自由であり彼女の選択なのだ。歯痒いのも、もったいないと思うのも、それはあたしの主観であり、彼女の価値観ではないのだ。「クイーンになりたい」と言っているような娘なら、ケツを叩いて練習せよと言ったかもしれないが、あたしは星一徹になれない。
娘がうちを出て行くまでは、一緒に練習したいし、高みに挑戦していく姿も見たい。願わくば、あたしよりも遥かに強くなって、あたしを高めて欲しい。彼女が大人になった時に、「お母さん、かるたしようよ」と誘って欲しい。ついでにあたしをコテンパンに焼いて「お母さんド下手でくそ遅い」ってなじって欲しい。
でも全部あたしの身勝手な希望。かるたでもかるたじゃなくても、好きなことに出会ってそれを大切にできればいい。友達とバカみたいに楽しい時間を共有して、無駄に思えそうな時間を満喫してほしい。いろいろなことを経験してほしい。そう思ってるのに、歯痒い気持ちがあたしを覆う。
あたしって矛盾しているな。