ショッキング...
いつかのMBSラジオ「メッセンジャーあいはらの夜はこれから」で、正男さんが「わき毛が生えた女性もウェルカムだ。むしろこちらの度量が試されている。」とお話された。
その時は「さすが正男兄貴!度量が違う!」とサーカスの華麗なショーを見るような気分で楽しんでいた。
しかし、この時はまだ正男兄貴の脅威を知ることになるとは思いもしなかった。
先日、電車に乗っていた時のこと。私は補助シートに陣取った。
ほとんどのシートが埋まっていたものの、立っている乗客はほとんどおらず、車内は閑散としていた。
ところが、利用客の多い主要駅に停車すると、ドッと新規の乗客が乗り込んできた。たちまち車内は満員電車と化した。
疲れ切った顔をした仕事帰りのサラリーマンが多い中、私の前に1人の女性が陣取った。
20代後半のOLと見える女性。夏の暑さ、満員電車の鬱陶しさを吹き飛ばすほど爽やかで、透明感に溢れる綺麗な女性だった。
服装も爽やかそのもので、真っ白で肩のあたりがフワッとなっているノースリーブのシャツをお召になっていた。
野原に咲き誇る一輪の花を眺めるような気分で「綺麗なぁ~」と心の中で呟いた。
そんな浮き足立った私を、イヤホンから聞こえる浦川さんの懺悔が現実に引き戻した。
目の前の爽やかな女性と、イヤホンから聞こえる浦川さんの毒っ気満載の懺悔が、ミルクとココアパウダーが混ざり合うように私の中で溶け合った。
CMに入り、笑い抑えるべく車窓に向けていた視線を車内に移した。
すると、つり革を持ち私の前に立つ女性が視線に入った。と同時に、女性ののわきが見えてしまった。
もちろんわざと見ようとしたわけではない。言わば完全なる貰い事故。しかし、罪悪感からすぐに目を逸らした。
少し間を開けて再び前を向く。すると、まだわきをこちらに向けている。そして私は唖然とした。
一回目は罪悪感からサッと目を逸らし気づかなかったが、女性のわきにはごま塩のような毛が点在していた。
「こんなに爽やかなのに、こんなに綺麗のに、ここはノーケアなんか」
勝手に抱いた幻想が勝手に崩れ落ち、何だかショッキングだった。
と、同時に正男兄貴の発言を思い出し、改めて正男兄貴の偉大さを痛感するとともに、己の小ささを痛感した。
毛も何もかも諸共包み込む度量が欲しい。
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