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「娯楽の飽食期」に思うこと~その4・「趣」という難解な要素

 このシリーズ、多分思いつけばいくらでも復活すると思う、それくらいにはワイドで味があると思う()

 その1で私は「趣」をチラッと書いた。この「趣」というもの、考えてみればなかなかに難しいものである。何せ作者からの答えは一つしかないが、作品の取り方は千差万別だからだ。

 2019年の日テレ系の春夏ドラマ『あなたの番です』。主人公カップルが引っ越したマンションで起こるゲームをめぐるサスペンスものであったが、私は怖くも楽しく思った。後に同じプロデューサーが手掛けた『真犯人フラグ』でもそう思ったが、

「この人はサスペンスの中に「愛」を表現しようとしている。面白い。」

と私は捉えた。が、ネットの反応を見ればそう思ったのは私だけか?と思ってしまった。まあサスペンスだもんな、大方の人は「推理ものの面白さ」を求めるだろう。私の姉もそうだった。しかし世の中は広い。さらに言えばサスペンスの部分ではなくゲームの部分に面白さを求めた意見もあった。「主人公が最後にいなくなるバッドエンドとか期待していたのに」という話を見たときはそういう意見もアリか、と思いながらもそれじゃヒロインが報われないだろ…と戦慄した。この人とは一生合わないだろう、と思いTwitterのFF内でありながらそれ一つでリムった()

 このように作品は受け取り手次第で意味がいかようにも変わってしまう。これがなかなか恐ろしいところで、私の学生時代の英語の点数が国語の点数よりも高い所以になっている()

 「その3」で私は「時に耳コピをしながら」ということも書いたが、実際には完全な耳コピではない。というかバンドとかを耳コピしようものなら指ぶっ壊れるから…とか思いながら弾いてみた動画を出す人はすごいと思う。勘違いしてほしくないのは、あの人たちが相当な場数を踏んでいるだけで楽器をやっている人間全員がそんな短期間で神レベルを出すことはできないということ。間違っても「1週間で仕上げて」とか言って耳コピさせるんじゃないぞ、まったく…あ、譜読みも土壇場でさせるんじゃねえ()
 話を戻すと、「完全な耳コピではない」が、「オリジナルをリスペクトして自分にフィッティングする」というのが私のルールとしては正しい。まずテンポを変えないのは大前提として、この音は行ける、ここは難しいから簡略化、ここは歌詞に合わせてアドリブを入れて…とまあ、こんな感じだ。歌詞も加味して曲をコピー・改訂していく。大事なのはどこだ、ということも視野に入れながら。ここで問題なのはその「大事なのはどこだ」というところ。

 先の『あなたの番です』もそうだが、人によって「大事なところ」は分かれてしまう。大事なのは愛か、サスペンスか、ゲームか…?といろいろあるのだ。私のアドリブ入りコピー曲だって他の人に言わせてみれば「大事なところが抜けてるじゃん」となる可能性もゼロではなく。ましてや国語の点数がさほど良くない私は作者の意図を汲んでいるかどうかすら不安な点がある。どこが「趣」なのか、というと本当に難しいところだ…。

 「速度を出した曲はかっこいいから好き、だから倍速で聴く」という意見。否定派は曲のテンポ感を含んだ「流れ」に重きを置き、肯定派は曲の「スピード」もしくは「その2」で触れたような「未体験性」に重きを置き、…となると話は平行線になってしまう。娯楽の飽食期で多くの楽しみ方がある今だからこそ…なのか?というようなところに話が差し掛かるが、こればかりはなかなか難しいところ。そうなればもはや「スピードオタク」と言っても過言ではないのでは()
 「自由」を謳歌する我々にとって、難しい問題の一つだろう。

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