楽しい旅行とコンプレックス
彼と一泊二日の旅行へ行った。
一日目にアクティビティ、二日目は遊園地というなかなかアグレッシブな計画だった。
猛暑でたまらん暑さだったけれど結果的にかなり楽しめた。とてもよかった。
んだけど、一日目のアクティビティでコンプレックスを刺激されまくってしまい、ちょっとだけ泣いた。
アクティビティには年齢もしくは身長の制限がある。どちらかを満たしていれば遊ぶことができる。
私の場合、年齢は満たしていても身長がとてもギリギリだった。
大人になってからわかったことは、母は小人症のどれかであり、私はその特性が遺伝している。
病院にかかったことがないので診断はついていないか、確実になにかの異常があって私の身長は伸びていない。ついでに指も短く、手がとても小さい。
大人になってから、そのコンプレックスは増すばかりだった。道すがら子供に「ちいさっ」と馬鹿にされることは何度もある。つま先から頭の先までジロジロと見られることもしょっちゅうある。
それでもどうにかヒールのある靴を履いたりして、日常ではコンプレックスをぼかしてきた。
しかし、厚底の靴を履いていては運動はできない。縄の上や安定の悪い所を歩いたりは到底無理だ。
私は4センチの底があるスニーカーを履いて少し悪あがきをした。
それでもやはり、アクティビティの受付で「身長はおいくつですか?」と2回聞かれた。受付の人に悪意はないことはわかっている。でも私にとってそれはとても恥ずかしく情けなくて虚しいものだった。
身長確認をされつつ、アクティビティ3つのうち2つは問題なく遊ぶことができた。
が、残りのバギー体験が鬼門であった。
身長は特に問題はなかったが、私の手が小さすぎることが仇となり、片手で最大までブレーキを握ってサイドブレーキを押すことができなかった。
「これは難しいですねえ〜」と言われた時の絶望感は筆舌に尽くし難い。
ブレーキは握ることができるが、握るので精一杯のため、難しいオフロードのコース(凸凹でハンドルが取られてしまう)に行かせることはできないとのことだった。
そう宣告された時、あまりにも情けなくて、一緒に体験する彼氏に付き合わせてしまうことも悪くて、目に涙が滲んだ。
彼氏は嫌な顔ひとつせず、できるやつをやろうと言ってくれたけれど、その優しさが痛かった。
しがし、今思えば、サイドブレーキを一人でかけられない私をアシストしてどうにか体験させてあげようとフォローしてくれたスタッフの方の存在がとてもありがたかった。
注意深く後ろを見ながら声をかけてもらったおかげで、コンクリートの平坦な道は何も問題なく運転することができた。
下り坂でブレーキを握り締めすぎて親指のつけねがビリビリに痺れていたが、どうにかそれもクリアした。
大丈夫そうと思ってもらえたのか、オフロードのコースも少し体験させてもらえた。
木の根っこのボコボコの上を走る時、激しく車体が揺れて横転するのでは!?というスリルはなかなか味わえるものではなかった。
最初こそ悲しい気持ちでスタートした体験も、最終的にはとても楽しめて、充実した経験になった。
コンプレックスは消えないしどうしようもないけれど、どうにかなるものなのかもしれないと少し前向きになれた。
ただ、最近はこの病気が子供に遺伝したらどうしようということをよく考える。
小人症の原因となる病気の中には、子供には二分の一で遺伝するものもあるらしい。
実際、母は姉と私を産んで、二分の一の私に遺伝している。
もし私から遺伝して、子供が生きづらい思いをしたらなら申し訳ないでは済まされないと思う。
子宮内膜症もあるから、そもそも妊娠できる可能性がどれくらいあるのかもわからないけれど…
子なしという選択肢も、現実的なのかなあと考え始めている。