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フェイズパラドックス【PS2 全タイトルレビュー】#186
発売日: 2001年5月24日
ジャンル: サバイバルホラー / アドベンチャー
発売元: ソニー・コンピュータエンタテインメント
対応機種: プレイステーション2
概要
『フェイズパラドックス』は、PS2初期の本格的なSFアドベンチャーゲームであり、1995年発売のPS1用シューティングゲーム『フィロソマ』の続編として制作されました。しかし、本作はシューティング要素を排除し、三人称視点のアドベンチャー形式を採用。プレイヤーは謎の事件が発生した宇宙空母「ギャラント」を舞台に、クルーの一員として脱出と真相解明を目指します。
物語の進行は選択肢を軸に展開され、選択次第でイベントや結末が変わるインタラクティブムービー形式を採用しています。閉鎖的な宇宙船内の設定により、ホラー的な緊張感が漂う作品です。
ストーリー
未来の宇宙、植民地惑星「220」が突如爆発。宇宙空母ギャラントは、爆発直前に唯一の艦載機を回収することに成功しますが、爆発の影響でクルーの多くが死傷し、艦内には未知の生命体「かげろう」が出現します。生き残ったクルーたちは次々と発狂し、艦内は混乱に陥ります。
プレイヤーは3人の主人公(ジュード、レネイ、アイラ)の視点から、この惨劇の中で生存者を救出しながら、事件の真相を解明し、脱出を目指します。一方で、爆発の原因や謎の生命体「かげろう」の正体を巡る陰謀も明らかになっていきます。
ゲームの特徴
1. 3人の主人公による視点の切り替え
各主人公は異なるバックグラウンドを持ち、章ごとに操作キャラクターが切り替わります。それぞれの視点が交錯し、物語が進行します。
2. 選択肢によるストーリー分岐
選択肢次第でムービーの展開が変化し、時には即座にゲームオーバーになることも。プレイヤーの判断がストーリーに大きな影響を与えます。
3. 緊張感のあるサバイバル要素
船内には、未知の生命体「かげろう」が徘徊。探索中には常に危険が付きまとい、他の生存者を守りながら行動する必要があります。
4. バイオハザード風の操作感
プレイヤーは三人称視点でキャラクターを操作。ラジコン操作に似た移動システムで、船内を探索しながらストーリーを進めます。
5. 映画的演出と豪華ムービー
ゲーム内には全4時間にも及ぶムービーが収録されており、映画のような演出が特徴です。プレイヤーはムービーと操作を交互に行いながら物語を追います。
登場キャラクター
操作可能なキャラクター
ジュード・サトクリフ
ダメージコントロール部隊員。冷静沈着でトラブル対応に長けるが、かつてパイロットになる夢を断たれた過去を持つ。
レネイ・ハーン
歴戦の兵士で、頼れるリーダー的存在。軍務の経験から冷静に状況を判断し、仲間を守る役割を担う。
アイラ・ホイブローデン
惑星220を調査する研究員。科学者としての視点から、事件の真相を突き止めるべく行動します。
重要人物
ニコラ・ミショー大尉: 惑星220から帰還したパイロット。意識不明の重態にあり、事件の鍵を握る人物。
ユマ少尉: ジュードの部下で、探索中に重要な役割を果たします。
評価と反響
好評点
映画のような演出と没入感のあるストーリー。
SFホラーとしての緊迫感と探索の楽しさ。
前作『フィロソマ』ファンにとって、独特の世界観が継続されている点。
批判点
難易度の高さと頻繁なゲームオーバーがプレイヤーにストレスを与える場面がある。
操作性がやや不便で、テンポが悪いと感じる箇所も。
総評
『フェイズパラドックス』は、SFホラーとアドベンチャーの要素を融合させた意欲的な作品です。物語の重厚さと緊張感あるゲームプレイは一部のプレイヤーから高い評価を受けていますが、難易度や操作性に改善の余地があり、万人向けとは言い難い部分もあります。それでも、独自の世界観とストーリーテリングを楽しめる作品であり、SFやホラーが好きなプレイヤーには一度体験してほしいタイトルです。