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CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001【PS2 全タイトルレビュー】#257
ジャンル:2D対戦型格闘ゲーム
開発・発売元:カプコン
稼働日:2001年8月3日(アーケード)
家庭用発売日:2001年9月13日(PS2・DC)
対応機種:アーケード、PS2、ドリームキャスト、ゲームキューブ、Xbox
プレイ人数:1~2人
概要
『CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』(略称:「カプエス2」「CVS2」)は、カプコンとSNKの人気キャラクターが登場するクロスオーバー格闘ゲーム。本作は2000年に発売された前作『CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000』の続編で、キャラクターの大幅な追加やシステムの強化が施されている。
カプコンの『ストリートファイター』シリーズやSNKの『ザ・キング・オブ・ファイターズ』『餓狼伝説』などのキャラクターが総勢44名以上参戦し、多彩な対戦が楽しめる。さらに、6種類の戦闘スタイル「グルーヴシステム」や、戦略的な「レシオシステム」など、独自のシステムを採用している。
ゲームの特徴
グルーヴシステム
本作の目玉となるシステムで、プレイヤーは6種類の異なる戦闘スタイル(C、A、P、S、N、K)から選択できる。各グルーヴには、それぞれゲージの管理方法や必殺技の仕様、回避・防御技などが異なり、プレイスタイルに大きく影響する。
Cグルーヴ(ストリートファイターZERO系):3段階のゲージ。空中ガード可能。
Aグルーヴ(ZERO3のV-ISM系):オリジナルコンボが使用可能。ゲージ消費で強力な連携が可能。
Pグルーヴ(ストIII系):ブロッキングを使用可能。ゲージは1本で、満タン時のみLv3必殺技が使用可能。
Sグルーヴ(KOF98 EXTRAモード系):ゲージ溜めが可能。体力減少時に必殺技が無制限に使用可能。
Nグルーヴ(KOF98 ADVANCEDモード系):ストックゲージを3本まで貯められる。
Kグルーヴ(サムスピ&餓狼MOW系):ダメージを受けると怒りゲージが上昇し、MAX時に攻撃力が上昇&Lv3技が使用可能。
レシオシステム
各キャラクターに「レシオ(RATIO)」と呼ばれる強さのポイントを設定。
レシオの合計は4ポイントまでで、1~3人のチームを自由に編成可能。
例:レシオ2+レシオ2、レシオ3+レシオ1、レシオ4の単独キャラなど。
戦略の幅が広がるが、レシオの合計体力は3人チームの方が有利になりがち。
前作との違い
ボタン配置が6ボタン式に変更(カプコン式に統一)
グルーヴシステムの追加(前作の2種類→6種類へ拡張)
レシオ割り振りが自由化(前作ではキャラごとに固定)
登場キャラクターが増加(33→44名以上)
背景キャラや演出の充実(ステージに他作品のキャラが登場)
登場キャラクター
カプコン側
リュウ、ケン、春麗、ガイル、ザンギエフ、ダルシム、ベガ、豪鬼、モリガン、ロレント、ユン、恭介、マキ、イーグル など
SNK側
草薙京、八神庵、テリー・ボガード、リョウ・サカザキ、覇王丸、高嶺響、ナコルル、ルガール、ギース、バイス、チャン&チョイ など
ボスキャラクター
シン豪鬼(神人豪鬼)
ゴッドルガール
家庭用限定キャラ:殺意の波動に目覚めたリュウ、暴走庵
ゲームモード
レシオマッチ:自由にキャラを編成し、レシオを割り振る基本モード。
3on3マッチ:固定レシオ2のキャラ3人で戦うKOFスタイルのバトル。
シングルマッチ:1対1のラウンド制バトル。
ボスバトルモード(家庭用のみ):強力なボスキャラとの連戦。
開発の裏話
本作はカプコンとSNKのクロスオーバー企画「SNK VS. CAPCOM」プロジェクトの一環として開発されたが、当時SNKが経営不振に陥り、2000年に一度破産するという事態が発生。これにより、SNKブランドの権利が一時的に変動し、シリーズの今後が不透明になった。
それでもカプコンはSNKとの契約を維持し、本作の開発を続行。当初は『CAPCOM VS. SNK PRO』のように小規模なアップデート版を予定していたが、最終的にはキャラクター数やシステムを大幅に拡張した新作としてリリースされた。
また、本作ではアーケード版の基盤としてNAOMIを採用。NAOMI基盤の3D描画能力を活かし、背景をすべて3Dで制作するという新たな試みが行われた。これにより、従来の2D背景よりも奥行きのあるダイナミックな演出が可能となった。
キャラクターのバランス調整
本作のバランスは「前転キャンセル(RC:ローリングキャンセル)」というバグ技の発見により大きく変わった。RCを使用することで無敵時間を活かした戦法が可能になり、特定のキャラクターやグルーヴの強さが際立つ結果となった。
代表的な強キャラ:
サガット(Aグルーヴ):遠距離の牽制技が強く、前転キャンセルを活用した「タイガーショット」「タイガーニークラッシュ」が強力。
ブランカ(Aグルーヴ):電撃技の牽制が強く、RCを活かした「エレクトリックサンダー」が圧倒的。
キャミィ(Cグルーヴ):スピードと攻撃力が高く、ブロッキングへの対抗策も豊富。
ベガ(Aグルーヴ):「オリジナルコンボ」が強力で、特にガードクラッシュ連携が驚異的。
弱キャラ:
藤堂竜白(全グルーヴ):技の出が遅く、リーチも短い。強キャラ相手には厳しい戦いになる。
恭介(全グルーヴ):ジャスティス学園のシステムが活かしきれず、単体での性能が低め。
キング(全グルーヴ):通常技の火力が低く、立ち回りで苦戦しやすい。
なお、Xbox版とゲームキューブ版の『EO』では、これらの強キャラ(サガット、ブランカ、キャミィ)の火力が5%ダウンするなど、バランス調整が施された。
大会シーンでの活躍
本作は**「闘劇」**(格闘ゲームの全国大会)に採用され、カプコン公式の大会も開催された。特に2000年代前半の大会シーンでは「Aグルーヴ+RC(前転キャンセル)」の強さが際立ち、多くのプレイヤーがAグルーヴを採用。
主な大会結果:
闘劇'02(2002年) 優勝:Aグルーヴのブランカ、ベガ、サガット
闘劇'03(2003年) 優勝:Aグルーヴのベガ、バルログ、ブランカ
EVO 2004 優勝:Aグルーヴのベガ、サガット、ブランカ
特に北米のEVOでは、カプコンvsSNKシリーズの中でも『CvS2』の人気が根強く、プレイヤー層が厚かった。
未参戦キャラ・カット要素
開発中には、以下のキャラクターが参戦候補に挙がっていたが、最終的に未登場となった。
候補キャラ:
ヴァンパイアシリーズから「フェリシア」(背景キャラとして登場)
ストリートファイターシリーズから「ダッドリー」(ロンドンステージの背景に登場)
サムライスピリッツシリーズから「橘右京」
ザ・キング・オブ・ファイターズシリーズから「ギースの若い姿」
また、ゲームシステムとしては「4人チーム編成」が検討されたが、試合時間の長さやバランス調整の問題から削除された。
音楽・BGMの解説
本作のBGMは完全新規の楽曲が用意され、ゲームの雰囲気を盛り上げる名曲が多数収録された。
人気曲:
「This is true love makin'」(ロンドンステージ)
→ 軽快なハウスミュージック風のBGMで、ゲームを象徴する楽曲として人気が高い。「Nautical Mine」(ナイロビステージ)
→ スピーディなトランス調の楽曲で、緊張感のある戦いを演出。「Training Room」(トレーニングモード)
→ 前作『カプエス1』の「懐かしのテーマ曲」がランダムで流れる仕様に。
特に「This is true love makin'」は、格闘ゲームBGMの中でも屈指の人気を誇り、後のカプコン製ゲームでもアレンジ版が使用されることがある。
移植版
ドリームキャスト / PlayStation 2(2001年9月13日)
ゲームキューブ / Xbox(2002~2003年)
簡単操作の「EOモード」搭載
Xbox版はオンライン対戦対応(2010年4月まで)
PlayStation 2 バリューパック(2008年)
『ストIII 3rd STRIKE』とのカップリング版
PlayStation 3(2012年・ゲームアーカイブス)
オンライン対戦なし
評価と影響
良い点
✅ キャラ数・バリエーションの豊富さ
✅ グルーヴ&レシオシステムによる高い自由度
✅ 戦略性が高く、プレイスタイルの幅が広い
✅ 音楽・グラフィック・演出がハイクオリティ
✅ 大会・eスポーツでの採用実績あり
悪い点
❌ 前転キャンセル(バグ技)の存在 → これにより一部キャラ&グルーヴが圧倒的に強くなり、バランスが崩壊。
❌ グルーヴ間の格差が大きい(特にA・Kグルーヴが強い)
❌ SNKキャラの技性能変更に不満の声
総評
『CAPCOM VS. SNK 2』は、カプコンとSNKのキャラクターが共演するクロスオーバー格闘ゲームとして、現在でも根強い人気を誇る作品。
多彩なシステムとキャラバランスの奥深さから、格ゲーファンの間で高く評価されている。
一方で、前転キャンセルというバグの存在が競技シーンに大きな影響を与え、特定のキャラ・グルーヴが強くなりすぎるという問題点も抱えていた。
それでも、シリーズの集大成的な作品として、多くのプレイヤーに愛され続けており、今後のリマスターや復刻版の発表にも期待が寄せられている。