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バーレスク東京に行きました⑤

バーレスク東京は地下2階にあるということだったので、B2のボタンを押し、続けて閉のボタンを押す。そしてそれまで耳にさしていたAirpods proを外して、スマホが入っているのとは逆のポケットに入れていたケースに戻した。ここまでの間、誰も会わなかった。

「地下2階です。」
開いた扉の先には、備品などが積み重なっていた。どう考えても入口ではなかった。とりあえずエレベーターから降りてみたが、どう見ても物置だ。その物置の右側に扉があり、開け放たれていた。

面を食らった僕はとりあえず物置の右側にある開け放たれた扉に向かった。扉をくぐり、周りを見回すと、右手側にレジのような場所とスタッフらしき男性が立っていた。少し怖そうな感じだったことを覚えている。

ここが受付か。僕はレジに向かって歩みを進める。するとこちらに気づいた男性がいらっしゃいませ。と声をかけた。スタッフだったようだ。
「予約してるんですが。」
「はい、ではメール画面を見せてください。」

メール画面?こういうのって名前言えばわかるんじゃないの?そう思いながらポケットからスマホを取り出し、Gmailのアプリをタップした。そして検索欄に「バーレスク東京」と入力して確定キーをタップ。そしてそこに出てきたメールをそのスタッフに見せた。

「では、こちらです。」
そういってB5くらいの硬めのクリアファイルとRION10枚とドリンク券を渡された。
「場所は最前列の5番目です。わからなかったら周りにいるスタッフや女の子たちに聞いてください。それでこのドリンク券はあちらで交換です。」スタッフは右手でその方向を指したので、僕はそちらに目を合わせた。

するとそこにはたくさんの酒瓶が並んだカウンターとふんどし姿のメンバーらしき女性が立っていた。

ふんどし!?
あ、正月だからか。
僕は今思えば疑問に残るそのふんどし姿に納得していた。

ちょっとした衝撃を受けた僕はスタッフに誘導されたまま受け取ったドリンクを受け取りに行った。ちょうど他のお客さんがそのバーカウンターの前にいたスタッフTシャツを着た男性と話していたので、そのお客さんの後ろに並んだ。

「お客様はじめてですか?」
「いや何度か来てます」
「案内は大丈夫ですか。」
「はい」
スタッフとお客さんの話に聴き耳を立てながら、ふんどし姿のメンバーを見ていた。僕にもこのような対応があるのか。初めてであることを伝えて楽しみ方を聞こう。そう思っていたのだ。

そして僕の番になった。
「いらっしゃいませ。ドリンク何にいたしましょう。」
「じゃあハイボールで」
ハイボールはほとんど飲まない。ビールの方が好きだが場の雰囲気でそう答えてしまった。
「ではこちらです。」
ストックがあったのだろう。すぐに用意された。
「それではお楽しみください。」

、、、えっ
いやいや先みたいに聞いてくれないの!?
お、マジか、、、

そんな感情が渦巻きながらハイボールを受け取った。そして来場者特典のA2サイズのメンバーのカレンダーとそれを巻く用の輪ゴムを渡された。硬めのクリアファイルとハイボールとカレンダーとで両手が塞がった状態で座席に向かって進んでいく。

ああ、今回の座席はきっと常連向きの席だから、その説明を省いたのだろう。そうに違いない。僕はさっきのスタッフとの流れをずっと考えていた。そんなつまらないことにこだわってしまってぐちぐちと考えてしまうのは昔からの悪い癖だ。

そんな自分に嫌気がさしてため息をついていると、先ほどレジ前のスタッフに言われた座席に到着した。最前列の5番目。

つづく、、、

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