バーレスク東京に行きました④
個室トイレに飛び込んで用をたしているときにスマホをポケットから取り出して、safariをタップした。
「バーレスク東京 楽しみ方」や「バーレスク東京 行ってみた」などを検索しては検索結果の1番上に表示されているサイトを片っ端から確認した。
どれも大したことは書いてなかったが、それまで知らなかったバーレスク東京限定のチップの存在を知った。
どうもバーレスク東京ではRIONという専用通貨を10枚1000円で購入して、それをメンバーに渡していくシステムらしい。意外とお安い値段だった。
僕はチップには嫌なトラウマがある。
23歳の時に会社の先輩に大阪の有名なポールダンスのお店に連れて行ってもらった時だ。
当時もそんなにお金がなかったが、先輩社員はどこにそんなお金があるんだと思うくらいポールダンサーの谷間や下着に1万円札を差し込んでいた。
負けずと僕も谷間にお札を差し込みたいと思って、かばんから財布を取り出した。開くとそこには1万円札が1枚もなく、千円札5枚しか入っていなかった。入場料の支払いで1万円札がなくなっていたのだ。
少し悩んだが、財布にあった千円札を取り出して、手を震わせながら近寄ってきたポールダンサーの谷間に千円札を差し込もうとした。
するとそのポールダンサーは耳元に近づいてきた。セクシーな格好をしているので、少し緊張していた僕に、次の瞬間衝撃的な言葉をなげかけられた。
「千円札はいらんねん!」
思いもよらない大阪弁で呆然しているとそのポールダンサーはそのまま次の席に向かっていった。
その時に流れていた大音量のEDMは今も忘れない。
そんなトラウマを思い出しながら、個室トイレから出た。その後はやはり出口を間違えて知らないところに出てしまって、もう一度階段を降りて5番出口に到着したのは、18時35分になっていた。入場開始時間は過ぎていた。
5番出口から皇居方面に歩き出し、相鉄系列のホテルを右に曲がった。しかし地図やバーレスク東京のサイトでみた風景はそこにはなかった。
あれおかしいなぁと思いながら進んでいると、下に降りる階段が現れた。ここを降りるのかと周りを見回すと、真っ暗のなかに「バーレスク東京」の看板とポスターを確認することができた。
「え、ここ!?」
独り言が出てしまった。予想に反して暗すぎたのだ。これホントに営業やってんの?やはりここでも行きたくない感情が大きくなってきた。
その感情のままに僕はそのまま階段を下った。心を落ちつかせたかったのかもしれない。そのまま3分ほどかけて1周してまた真っ暗なバーレスク東京の前に戻ってきた。
再度階段を下ろうと思ったが、グダグダしても仕方ない。大きく深呼吸をして入り口に入り、エレベーターのボタンを押した。
つづく、、、