その2.
「このドレス高いんだけど・・・ねえこれ、経費で落ちない?」
「それじゃ改めて、ちょっとあなたを誘拐しに来ました。・・・というのは冗談だけどね」
「僕達治癒術師の施す術は、言ってみれば命の前借りのようなものなんです。節度を守る分には問題ないんですが、使いすぎると体の毒になります。奇跡や魔法じゃないんですから・・・その、無茶だけはしないでください」
「ところでさー、あんたにもいい男のひとりやふたりいるんじゃないのー?悪いようにしないからお姉さんに話してみなさいよー」「・・・?」「・・・あんたさぁ、興味あるものとないものとでまるっきり態度変えるよねぇ。そういうとこ嫌いじゃないけどさぁ、もうちょっとなんとかならないわけ?」
「敵倒すとか道切り開くとかはあたし達に任せておけばいいの。あんたにやられたらあたし達の立つ瀬がないし。だからさ、まずは自分の身を守ることを覚えて、それに専念しなさい」
「あんたもさー、さっきの月詠みに読んでもらえばよかったのにー。つまらん」「そうねえ・・・先の事は特に知りたいでもないし、そもそも並の月詠みにはあたしの事は読めないし・・・」
「ひとつだけ願いが叶うなら?そうだな、もっかい若い頃に戻って一山当てたいもんだな!」「あんたバカ言ってんじゃないよ、どーせ小銭稼いで終わりでしょうよ。・・・あたし?こんなバカ亭主よりもっといい男に嫁ぎたかったよ!」「あー、おばちゃんもそう思ってたんだー。あたしも早くいい男見つけたいねえ」「はあ・・・僕は・・・その、やっぱり世界の平和が続いてくれれば・・・って思います」「あらー、優等生発言いただいちゃいましたねえ。・・・あんたは?」「あたし?うーん・・・直近の願いは叶えちゃったし、よく分かんない」「あんたはあんたで夢のない子だよねえ・・・」
「『お化け退治、闇討ち、人さらい等なんでも請けます』・・・おっちゃん、さすがのあたしもこれは怒るよ・・・?」「いやでも、これまでやってきたじゃねえか」「他はともかく最後の人さらいはただ安全なところにかくまっただけじゃないの、こんな悪く書かれる筋合いはないよ!」「他はともかくって、人さらい以外は認めるんだな・・・」
・・・
あまり長いのはそぎ落としたり分割したりする予定。