ポップなだけじゃない、古い地下鉄の轟音が聞こえそうなキース・ヘリング展
2023年12月開始早々に行ってきたキース・ヘリング展。まとまった展覧会は見たことがなくて楽しみにしていました。グッズやTシャツはよく見ますが・・・
Tシャツのデザイン・・・?という印象でしたが、10年くらい前、NYのハーレムにあるセント・ヨハネ大聖堂にこの人が作った祭壇がある、と聞いて、怖々見に行って以来、ちょっと好きに。いや、この絵でキリストの祭壇ですよ?さすがNY!そして31歳で亡くなってしまった、というのも印象に残りました。ああ、NYのポップ・カルチャーのスター、という勝手な印象で。
が、絵だけを見ていると、楽しいウキウキする感じでも、そこに込められたメッセージを知ると印象がガラッと変わる。記憶に残った絵の意味を後から知って、こう、ピタッと気持ちと知識が合うと、説明されるよりもっと自分の中に染みこむ?感じ。まあ絵もよく見ると皮肉っぽいんだけど。
上の絵は、AIDSの啓発を呼びかけたもの。ぱっと説明読んだ記憶だけなので間違っていたらゴメンナサイ。でも、ピンクの△はユダヤ人が強制収容された時にゲイだとつけられていたマーク。そして、たくさん書かれたヒトは見ざる聞かざる言わざるになっている。つまり、HIV・AIDSに対する偏見は正しい知識がないから、そして知識がないから蔓延する危険が広がることを伝えている(らしい)。ああ、そうだったのか。
上の絵とセットで書かれていた彼の言葉が31歳でエイズ合併症で亡くなったことと相まってずん、ときました。「人生は儚い。それは生と死の間の細い線です。私はその細い線の上を歩いています。ニューヨークに住んで、飛行機で飛び回っているけれど、毎日死と向き合っているのです」
こういう短くても、力一杯、才能を放出して生きた証というか、爪あとを残した人の作品に触れると、自分は、まだまだ力を出し切ってないな、と。キース・ヘリングが作品作った期間は10年間!なのにそのエネルギー燃焼量は・・・凄まじい。
地下鉄でドローイングするところからスタートし、ラジアント・ベイビー(光り輝く赤ん坊)、吠える犬、ビームを出す宇宙船、妊婦、といった彼の代名詞のようなアイコンを生み出したキース・ヘリング。キーアイコンは同じでも、10年間の中でもどんどんトランスフォームしていました。
一番最後が「キース・ヘリングと日本」コーナー(撮影は不可)。彼が80年代に来日したときのビデオや写真があって、当時の表参道でストリートアート描いているのが面白かった。80年代!って感じで。あと、ぴあの表紙を描いていたんだな、と。ぴあが昔の資料出しているのが、ざっくり会社で保存してあったものを出してきた感じで(勝手な想像です・・・)、そのユルイ感じがぴあっぽくて良かった。
と、作品数も多く、とても楽しめます。あの頃のNYカルチャーシーン、生で見てみたかったな。今よりも犯罪発生率高くて楽しいことばかりではなかったんだろうけれど、パワー溢れてたんだろうなあ。ということで、最後にお気に入りの画像集を・・・写真撮り過ぎたので厳選せねば。ムズカシイ
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