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刀剣×書×陶芸×蒔絵ー江戸のマルチタレントの後に、中尊寺金色堂とはいかに?

  この週末はトーハク2本立て。本阿弥光悦見に行こうと思っていましたが、前売りセット券がお得になっていて、つい。というのも、ちょっと前に同じく本館1階で地味目な特別展「京都・南山城の仏像」があり、行ってみたら微妙にハマり、その後リアルに南山城のお寺を回ってしまったという・・・後で悔やまないように両方見てきました。

  まずは本阿弥光悦。今回は写真撮れません。外の大看板だけ、一応冒頭に載せました。他の方が「意外と空いている」と書いているのを読みましたが、確かに日曜日の昼間でも意外と混んでない。じっくり解説読みながら回れました。光悦って「総合芸術家」とありましたが、逆にコレというのがなくてわかりにくいのかも?

舟橋蒔絵硯箱(展覧会特設サイトより)

  私の中では、ポスターにもなっているこの「舟橋蒔絵硯箱」は国宝展などで見たのでTHE 光悦。あとは、書画?ただ、俵屋宗達や尾形光琳、酒井抱一あたりと微妙に印象が混ざっています。戦国から江戸時代は茶の湯みたいな総合芸術やマルチタレントが出た時代ではありますね。江戸に向かって文化が成熟していく・・・

「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(展覧会特設サイトより)

  そしてこの鶴の巻物。本阿弥光悦×俵屋宗達。さらさらっと描かれているのですが、この散らし書きのバランス、墨の濃淡は確かに美しい。今回はこのハガキを買ってしまいました。秋冬に使いたいデザイン。どこを切り取っても綺麗です。そのデザインの良さは解説を読んでわかりました。

飛び渡る鶴の群れを金銀泥(きんぎんでい)で描いた料紙に、平安時代までの三十六歌仙の和歌を散らし書きした一巻です。鶴の上昇と下降、群れの密度に合わせて、字形と字配りを巧みに変化させています。俵屋宗達筆とされる下絵と協調し、あるいは競い合うように展開するその書は、光悦が最も充実した作風を示した時期の代表作と評されています。

展覧会サイトより

  金銀泥とありますが、角度で金だったり銀だったりするので、まるで鶴が太陽の光を弾いて、夕暮れに飛んでいるように見えたりします。

  個人的には、今回の出色はお茶碗。これだけ光悦のお茶碗が揃っているのは初めてかも。楽茶碗ということで、長次郎・道入という楽家のお茶碗も出ていました。なお、私の光悦お気に入りはこの3つ。技巧が際立ってキレキレの格好良さがあります。少々ケレン味が強いとも言えますが。

  1. 黒楽茶碗 銘「雨雲」(三井記念美術館):黒い雨雲とザザっと降る雨

  2. 黒楽茶碗 銘「村雲」(樂美術館):黒の地の上下に不思議な黄土色

  3. 飴釉薬茶碗 紙屋(東京国立博物館):こってりとした飴色のマーブル

  今回、「時雨」「雨雲」「村雲」と黒楽のお天気シリーズ?が揃って見られてちょっと感動。「雨雲」は日本橋の三井記念で、年に1回は展示されている記憶あり。が、それ以外は京都と名古屋で滅多に機会がない!しかし三井記念はいいお茶碗持ってますよね。道入作の赤楽茶碗「鵺」も三井から。赤い地に黒いぼわっとした黒い影が「鵺」の得体の知れない景色だそうです。これまた派手目な楽茶碗ですが、好みです。

  じっくり2時間近く見て、次に特別展「中尊寺金色堂」へ。これが!びっくりするほど混んでいた!!会場が狭いというのもありますが、えええ?というくらいに混んでおり、見るのが大変でした。確かに「初めて中央壇上の国宝仏像11体がそろって展示」とありましたが、そんなに?

トーハク入口門のところの看板

  私、平泉に行ったことがないので、頭の中で想像していたのは、もっと大きい仏像でした。しかも会場最初にあるのが、「超高精細な8KCGで実物大の金色堂を大型ディスプレイ上に再現」という巨大ディスプレイ。ばばーん、と幅約7メートルのディスプレイに原寸大のお堂が映し出されてズームアップしてくる。その勢いでホンモノを見たら、「あれ、意外と小さめ?」と感じます。

  しかしながら、仏像はとても繊細。すらっとしており、奈良の古色のある優美さと荒ぶる魂の混ざった仏像とも、京都の重厚で華やかな仏教芸術ともまた違うものでした。勝手にもっと厳しい気配のある仏像かな、と思っていたら、お地蔵さんなんて頭の小さいすらっとした美男シリーズ。「金色」ではありますが、色味も今は落ち着いているので、全く気にならない。

「地蔵菩薩立像」もちろんこれも国宝(展覧会特設サイトより)
模型だけ写真可能だったという・・・一応撮ってしまった

  やはりこれは平泉もいつか行かないといけないのかも・・・

  特別展は写真が撮れなかったので、今回は常設展からいくつか画像アップさせてもらいます。この季節ならではのトーハクものとお気に入りを・・

恒例の新春「国宝展示室」はこれ、長谷川等伯「松林図屏風」。ガラスが反射していた・・・残念
年の初めの龍づくしその1「龍虎図屏風」。左側にはもちろんトラがいます。
やはりトラがいないのも何なんで・・・左側のトラ。この人の龍虎は可愛らしい系。
年の初めの龍づくしその2「十二神将立像 辰神」。頭の上ににょろっといるのが辰の印!
年の初めの龍づくしその3「舞楽面 陵王」。ちょっとバリ島あたりのお面のよう。

  そしてやはり若冲は魅力的ということで・・・

若冲のニワトリ三昧な屏風(部分)。色んなポーズのニワトリ屏風です。
若冲を見るとどうしてもアップで撮って細部を見たくなる。毎回、この羽根の描き分けに感動!
若冲が描くと、灯籠の石の質感もこんなに!筆と墨とは思えない

  あとは、このフクロウたちが妙に可愛かったのでこちらを。

フクロウ3兄弟。特に右端のはアニメみたい。江戸時代の鳥の図鑑。

  トーハクは特別展と常設展を見ると、どうしても半日はいきますね。気持ちと体力にゆとりがないと厳しい。

  そうそう、今回の本阿弥光悦展で「折紙付き」の語源を知りました。刀剣を鑑定して確かな物であることを保障した紙を「折紙」というそうです。本阿弥家はこの「折紙」の発行を許された鑑定家だったとは・・・今回、ホンモノの「折紙」も展示されているので見落としなく。忘れないようにメモメモ。

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