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【脚本】かの日。その後。①
公演予定の無い脚本の下書きのようなモノをダラダラと載せてみてます。
連載形式で行きたいので今回は1場を想定としたパートです。
※使用ワード等、人によってセンシティブに思えるかもしれませんのでご了承下さい。
※下書きのようなモノでも有りますので文章上至らない点があるとは思いますがどうぞ暖かく見守ってください。
登場人物
ABCDE 現時点で固定の個性なし。時々により変わる。
F 名前のある役のようなもの
1場
めでたいBGM
A 2013年9月3日第125代IOC総会で7年後の2020年の夏季オリンピックの開催場所に我が国日本の、東京が選ばれた。
B 滝沢クリステルのおもてなしが連日のテレビ映像として流れ我々は7年後へと思いを馳せた。
C そして今年は2020年
D 早かった?長かった?
E 少し未来だと思った日付が今日を刻んだ。
A 2020年、7月23日。日本が戦争へ突き進むなか中止になった幻の1940東京オリンピックから80年。
B 戦後復興を掲げた1964東京オリンピックから56年と言うちょっとしたファーストライフ分の時間を経て
C 悲願の東京オリンピックは開催される
ABC 筈だった。
怪獣の鳴き声、爆発音
D 開会式が滞りなく大いに盛り上がりを見せ開催される中それは現れた。
E はじめは開会式の演出だと思った。そんな風に感じた人も多くいたと言う。
A それ、はスタジアムを突き破り突如として現れた。
B それはスタジアムの天井まで届く大きさで、どこかテレビの向こう側にいるような。そんなリアリティから僕らを突き放した。
C それには、どんな言葉が似合うだろうか
全 怪獣
D その日、新宿は焦土とか化した。
E やっとの思いで日の目を見たばかりのオリンピックスタジアムは瓦礫に成り果て
A 日本全土、いや世界各国から人々が鬩ぎ合うように集まった結果身動きもろくに取れなくなり
DE 怪獣
B は人々をまるで食べ放題、食べ放題かのように踊り食いしていた。
C 吹荒ぶ血飛沫、ボリボリと響き渡る骨の砕ける音。誰もが現実を受け入れられないまま、ただただ自分が選べれないことだけを願っていた。
ABC 怪獣
D と呼称されたのは次の日の朝刊からでそれまでは巨大不明生物とされていた。
E しかし日本という国で育った僕達にはゴジラやウルトラマンといった空想科学的フィクションが転がっていたからなのか何なのかSNSでは出現当時から
全 怪獣
A と騒がれていた。そしてその
全 怪獣
B に対して想像しうる攻撃は行われなかった。
全 怪獣
C に対してミサイルやら何やらで倒してくれればいいものの、4時間と言う
全 怪獣
D が暴れまわるには長すぎる時間空は静かだった。
E のちの報道では自国民を守る、より他国民を傷つけられないが優ったそうだ。
A 犠牲者は4時間で1万人。今も見つかっていない行方不明者は5千人。なぜ行方不明なのかなんて考えたくもない。
怪獣の鳴き声
F もうだめだ。と思いました。その日は有償ボランティアでドーム内の客席を管理していました。とは言っても開会式が始まると誰も僕が何しているかなんてみやしません。僕も大いに楽しんでいました。多くのプレジェクションマッピング、音楽、芸能人。どれだけ日本が世界に向けて力を入れたかを体験した。開催に向けたお金の話だったり、直前まで新型ウイルスでどうなるかわからなかったり、色々あったがなんとか開始できてよかったなぁ。そんなことを考えていたのを覚えています。日本らしい演出だなと思いました。怪獣がデカデカと現れて。それで人を食べ始めたんです。それが結構生々しくって観客を食べると思ったら、ちょっと名前出てこないんだけどテレビとかで見たことある芸能人。その芸能人までたべっちゃったんです。静まりかえりました。何万人といるのに誰一人声が出ませんでした。その芸能人の骨の砕ける音だけ、綺麗に響き渡っていました。
効果音
F うわぁぁ。情けないことに僕の叫び声を皮切りに先ほどの歓声とは売って変わった悲鳴が辺りを覆い尽くした。
全 (悲鳴)
F ただでさえぎゅうぎゅう詰めの客席を我先に逃げようとする人集りで一歩も動くことすらままならなかった。
A 押すなよ
B 止まるな
C 痛い
D 子どもがいるの
E ボランティアは逃げるな!
F え?
A こいつボランティアだ
B 俺たちは客だぞ
C アイツをなんとかしろ!
D 子供がいるの
E 俺たちを守れ
F以外 ボランティアなんだから俺(私)(僕を)守れ!
F 理不尽だ。と思ったが叫びにしかならなかった。うわぁあぁああああああああ。
A うるさい。
B 逃げなきゃ。
C みろまた食われてる。
D 子供が子供がいるんです。
E こっちむいたぞ。
F うわぁあぁあっぁぁ。
A 静かに。
F うわぁあぁあ。
A 黙れ!目立たないようにしよう。
B そうか、どうせこんなにいるんだ。目立たないに越したことはない。
F そのころになると幾らか身動きが取れるようになっていた。怪獣が間引きしてくれたおかげだった。
C 静かに
D 静かに
E 静かに
F モゴモゴ(口を押さえられている)
A 静かに
B 静かに
C 静かに
D 生まれる!
E え、いま!?
A 静かに!
B (お腹に)なあ今出てきてもいいことないんだ。もう少し我慢してくれよ。
C そうだ!それに生まれたら泣くだろう?泣かれると困るんだ。
A 静かに!
D うぬあぁん。ぐぁぁぁおぉぉ。
E この中に医者はいないのか?
A 医者だ!
BCE おぉ!
A やむ終えん!緊急の分娩を行う!誰かこいつを頼む!
F ングぐぐぐ。
D ヒーヒーっふー!ヒーヒーっふー!
B 子供の名前は決めてるんですか?
D ご、ご、ご、五輪ちゃん。
C 男の子なら?
D 五輪くん!
E いーですねぇ。こんな時だからこそ希望の持てる素敵な名前。
C 奇跡体験アンビリーバボーにも出れるんじゃないですかぁ。
A だから静かに
D うま、生まれっるー!
BC おお!
F 来てる!来てる!
全 うわぁぁ。
B 逃げなきゃ
C でも生まれる!
D うううううううううう
E 頭でてきてます!
F 逃げないと!逃げましょうよ!
A じゃあお前が食われろ!(Fを突き飛ばす)
F ひっ。
暗転
ボリボリ音
明転
F 皮肉にもすっころんで体勢の低くなった僕だけが怪獣の手から免れた。聞こえて来る音は生々しい無機質なものに変わった。つい先ほどまで聞こえていた醜い声たちが、もう既に懐かしかった。怪獣は取りこぼした僕なんかをいちいち気にせず他の密集地へと興味を変えていた。僕は抜けてしまった腰の芯がないまま、動けるだけ動きとにかくこの場から離れようと必死だった。怪獣に背を向けながら向こうではどんな悍しいことが続いているのか。こちらを向き直り僕を追いかけていないか恐怖はずっと僕の背中を覆っていた。見えない、と言うことは恐怖を何倍にも増幅させる。人の想像力の賜物である。
爆発音等の効果音
どれくらいの時間がったっただろう。気がつくと僕はへたり込んでいた。ドームを抜け、ここはどこだろうか。人集りでもはやわからない。少し遠くの方から悲鳴が聞こえている。まだ終わらないのかと言う思いよりも逃げ切れたと言う思いが優っていた。とにかく逃げよう。もっともっと逃げよう。遠くにできるだけ遠くに。遠くに。
続きは随時別記事にして更新予定です。
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