除菌消毒の落とし穴
最近店や施設の入り口などあちこちに置いてある除菌剤。
やはり気になるのはそれがどんな性状なのかというところ。手指に摺り込む際にその粘度や揮発性にも結構な違いがあります。
そうした手指の除菌に用意されているものははまず信頼して大丈夫と思われますが、除菌目的でアルコールや次亜塩素ナトリウムを用いる際、使い方によっては不適切な濃度となるものもあるので要注意。
驚いたのは次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈して消毒液をってところ。
そりゃマズいよ。
いくら薄めるとはいえ漂白剤を撒き散らすの推奨と同義では。
そう思って早速、厚労省のHP へ行ってみるとこれ、細かな注意書きも併記されている通りこれを推奨するというよりはこんな方法もあるといった程度のもの。あくまでも紹介であって推奨ではなく。
そこまで読まずにそれこそ除菌ばかりに捉われて濃い濃度のまま撒き散らす人がいないとは限らない。
この成分はカビ取り剤と同じ。色柄ものの布に付着すれば色落ちの原因となります。
ましてやそれ以上に人体にどんな影響するのかというもの。
塩素系漂白のカビ取り剤がカビを分解して除去していることからわかる通り。それ過剰に使えば身体を壊すことが想像できます。
性状と濃度を把握しておかないと効果どころか害しかないような。
そもそも次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水とは別物ですし。
ゲーム機の筐体をアルコールで除菌しようとしたら表面溶けた話聞いたことあります。おそらくそれは純度100%近いイソプロピルアルコール(IPA、イソパノール)で拭いたせいでしょう。灯油タンクの水抜き剤や油性インクの溶剤にも用いられますし、合成樹脂への攻撃性ありますから。
除菌には70%以上の濃度が必要と言われますが、その濃度での樹脂への攻撃性なくなるとは決して言えませんし、果たしてどうなるのかというところ。
当然車のハンドルや部屋のスイッチ類、パソコンや家電への使用もご法度。そこは中性洗剤用いるのが本当でしょう。
除菌効果ばかりに目が行きがちになりますが、その除菌剤の性状と濃度により取り返しつかない結果もあり得ますので要注意です。
細菌を追い出すのではなく、どう共存するかを主眼に据えることに移っていく必要があるでしょう。