「ついで学」の提案
「ついで学」という学問分野を思いついた。
趣意書の文章まで書いたのだが、すでに17年前に同名の書籍が出版されていた。
無念なので趣意書の文章をここに貼っておく。
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もとより資源と土地に乏しい我が国は、少子高齢化という新たな問題にも直面している。国際競争力が低下し、人々の雇用条件が悪化し、重税を課せられ、真綿で首を絞められるような閉塞感が蔓延しているこんにちにおいて、社会のリソースをいかに効率的に使い、人々の心に余裕を取り戻しQOLを向上させるか、というのは喫緊の課題である。
ところで我々は、日常生活において「買い物に行くならついでにこのハガキ出しておいて」といった「ついで」概念を多用している。このついで概念は、アクセスが容易であり、何の予備知識やインフラも必要としない、非常にユーザビリティに優れたものである。
また、近年基礎研究や人文社会系の学問の社会的有用性と予算配分の妥当性が厳しく問われているが、これらの研究活動自体が必ずしも産業応用や社会問題の解決を目的としたものでなくとも、これらの研究活動の「ついでに」生み出される様々な知識や手法、認識や思考のあり方の中には、上記応用的課題にも十分適用可能なものが数限りなく存在するはずであろう。
そういったものをつぶさに拾っていくことで、あるいは意識的に生み出すことで、これらの学問分野の新た可能性を切り開き、社会的意義を再定義することができるのではないだろうか。
提案者は、経済学におけるシェアエコノミーやメカニズムデザイン等の最新の知見等を参照しながらこの「ついで概念」を精緻に定義するとともに社会におけるその利用可能性を検証し、それが生み出す社会的価値を推定することによって、今日の日本社会における諸問題の解決に大きく貢献しうると確信するものである。
この極めて潜在価値の高い崇高な知的営為を「ついで学」と命名し、その発展と社会実装を目指したい。
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