心つづれおり〜5 レ・ミゼラブル inコンサート〜

あえて舞台版とは別に語らせてください。

2004年7月13日のソワレ公演。早いもので今年も半分が過ぎ、7月に入りました。これは、今から16年も前の記憶、と考えたら時間の感覚が分からなくなってしまうのですが、時折つい数年くらい前のことのように思い出すのです。

この公演は、本当に心に残っています。初めて観劇したレミゼも母と行きましたが、こちらも母と一緒でした。観劇は、ひとり感じたことに思いふけるのも幸せですし、感想を共有できる人が身近にいることも幸せです。チケット代や旅費を考えると、気軽に友人を誘うこともできず、私の場合はひとり観劇か家族観劇のどちらかが多くなります。

さて、本題へ。この公演は、舞台版の扮装で俳優たちがスタンドマイクを前に歌い演じるコンサートでした。海外の様子は映像化されており、ほぼ同じ内容です。レミゼのように、全編が音楽で綴られる作品ならではの見せ方というか、舞台版と違わない感動、充実感に満ちた公演でした。

私が観劇した回のキャストで印象深かったのは、アンジョルラス役・岡幸二郎さん、ジャベール役・川﨑麻世さん、ファンテーヌ役・マルシアさん。

まずは、岡アンジョ。当時、舞台版ではジャベール役だった岡さんが、この公演で、かつて演じたアンジョルラス役もするということで、一番観たい配役でした。岡アンジョは、レミゼ好きになってから観たかったと思い続けていた存在。そして、実際に舞台上の姿を観て、自分の想像をはるかに超えたアンジョルラスに、客席で震えました。立ち姿、歌声、全てが完璧にアンジョルラスとして存在し、輝いて見え、役としてのカリスマ性が迸っていました。

次に、川﨑ジャベ。舞台映えする長身が、ジャベールの威圧感を醸し出していました。また、歌声も深みと憂いのある声で、正直意外で驚きました。(テレビでしか拝見していなかったので)とにかく、川﨑さんによって、美しいジャベール像という新しい捉え方が私の中に生まれました。

最後に、マルシアファンテ。個人的に、ファンテーヌは、感情移入しづらい役です。しかし、この公演では、ファンテーヌの愛する人を信じる強さが心に響き、涙が溢れました。ファンテーヌの生き様は、どうしても見ていて辛くなりますが、マルシアファンテからは、これが私の生き方、という潔さを感じ、ぐっときたのかもしれません。

こうして、コンサート版にも最高に心動かされ、レミゼの奥深さから抜けられなくなって、現在に至ります。

コンサート版は、この年のみで再演されていません。現在の感染症対策から、舞台版よりもコンサート版ならまだ実施できる可能性はあるのかも・・・と考えますが、コンサート版の再演も切に願っています。

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