心つづれおり〜30 ジャージー・ボーイズ〜
2018年再演をシアタークリエで観劇。初演時、遠征を迷っているうちにチケットを取り損ねて観逃しました。PVを見る度に再演を待ち望んでいた作品です。
白チームを2回観劇。チームの違いによって様々感じられる作品とのことでしたが、私は海宝ボブのいた白チームで観劇しました。
日本版ジャージー・ボーイズ(以下JB)では、今までになく演出家が気になりました。こんなに観客の心を掴む演出を考えた人は、どんな方なのだろう。演出は、藤田俊太郎さん。観劇後に、過去の記事を読み、魅力的な演出家だと心惹かれました。
以前、レミゼでも話しましたが、私は盆演出が大好きです。JBには、盆だけでなく階段や客席通路を使う演出もふんだんに盛り込まれています。舞台と客席が一体になるあらゆる工夫がありました。(舞台上の鏡に観客の姿が映る演出には泣きました。最高)開演前、座席で待つ間も緞帳のない剥き出しのセットに驚かされ、終演後は興奮で放心状態。始まりから終わりまで、シアタークリエの劇場空間が無限に感じられる演出と観客を楽しませる演出に、感激したのです。
そして、心動かされる演出と呼応して素晴らしかったのがキャストの皆さん。白チームの、フランキー中川晃教さん、トミー中河内雅貴さん、ボブ海宝直人さん、ニック福井晶一さん、この四者四様のキャラクターのハマり具合、チームとしてのバランスが絶妙。彼等それぞれの生き方がしっかりと伝わりました。それは、芝居からは勿論、ハーモニーからも強く伝わりました。
フォーシーズンズという4人のグループが、四者四様に語るグループの姿。グループの始まりから栄光と挫折、そして復活へと向かう姿を4つの季節、春夏秋冬になぞらえて進むストーリー展開は、「事実は小説より奇なり」という言葉の通り。また、楽曲も物語のために書き下ろされたかと思うほど各場面にマッチしています。
語ると止まらないJBですが、個人的に最もぐっときた場面のことを。第1幕、ボブが語るグループの「夏」。ボブが、グループに加入するきっかけとして「Cry for Me」という楽曲を披露します。始めはボブがひとり歌い出すのですが、フランキー、トミー、ニックがボブの歌声にハーモニーや演奏を徐々に重ねていきます。始めは、おずおずと不安げに歌っていたボブが、どんどん嬉しそうに弾む歌声へと変化する様が素晴らしくて胸が高まる場面です。ボブの語る「夏」は、グループがヒットチャートを駆け上がり成功していく時期を描いています。グループの勢いと海宝ボブの姿が生き生きと感じられました。(再演のライブ録音盤がCD化されています。ぜひ多くの方に聴いてほしい!)
現在、JBは帝国劇場にてコンサート版として上演されています。私も配信で観劇し、新しいチームを一度の舞台で両方味わえる機会は貴重でした。また、JBは楽曲が最高なのは勿論、藤田さんの演出が熱いです。どうか、千秋楽まで無事に辿り着けますよう祈っています。そして、新たなチームも舞台版が上演できますよう願っています!