1年前の今日に想う。(追記しました)
1年前の今日、2019年9月10日。この日から、レ・ミゼラブル 北海道公演が開幕しました。コロナ禍の只中にいる現在、あの素晴らしい時間は、思い出す程に心が切なくなりますが、今日という日だからこそ、振り返ってみます。
レミゼについては、「心つづれおり1」にも書いたように、私にとって初のミュージカル観劇作品です。レミゼに出会うまで、本当のところミュージカルにはアレルギーがありました。ちゃんと観たこともないのに、一方的に苦手意識を持っていましたが、それを打ち破ったのがレミゼでした。この経験から、自分で実際に感じることを信じ、飛び込む勇気も大切だ、と思うようになりました。
さて、レミゼ北海道公演。当初の公演数に追加公演が決まる程の反響で、全11公演が札幌文化芸術劇場hitaruにて上演されました。また、この時期は北海道胆振東部地震から1年経った頃で、無事開幕できたことが感慨深くもありました。(地震の爪痕は未だありますが・・・)個人的には、東京での遠征観劇では考えられない、海宝直人さん出演公演の全6公演を観劇。さらに、公演期間中は、レミゼとは別に個々のイベントもあり、海宝さんのインストアイベントをはじめ、福井晶一さん&川口竜也さん&武藤寛さんのライブイベントにも参加でき、北海道でこんな日が来るとは!という感激の日々を過ごしました。後日、この夢の1週間を1冊の観劇ノートにまとめて残しました。自己満足の塊のようなものですが、毎回撮影したキャストボードや、細かな感想をびっしり書き込んでいて、心が沈みかけたときには見返しています。
今振り返っても何より忘れられないのは、9月10日公演初日のカーテンコール。1回目のカーテンコールで、hitaruが総立ちの拍手と歓声に包まれた瞬間です。通常、カーテンコールでスタンディングオベーションになるのは何度かカテコが繰り返されてからが多いですが、この日は違いました。観客の心がひとつになった瞬間というか、俳優たちが舞台上に全員揃うと同時に起きたあのスタオベ。同じ時間を味わった者同士、溢れる想いを舞台上の俳優たちに伝えたくて、自然と湧き上がったスタオベ。私はそう感じました。俳優の皆さんも驚いた表情で、4階席まで超満員の劇場をじっと見渡してる様子が印象的でした。後日のライブイベントでも、福井さんは、初日のカテコの熱狂が忘れられないと話されていました。とにかく「待っていた」という観客の気持ちが伝わったそうです。私も、今まで舞台観劇した中で、あれ程感動的なカテコは初めてでした。
舞台本編では、連日のレミゼに心が追いつかなくなる感覚でしたが、毎公演必ず新しい感動を得ました。海宝さんのマリウスは、この公演で多分ラストだと感じ、毎回大切に観劇しました。長く上演されている作品は、常に新陳代謝があり、役との別れがつきものです。私は、2019年のレミゼが12年振りのレミゼで、かつ海宝マリウスは最初で最後の観劇。マリウスを3期務められた海宝さんの集大成を心に刻むことができて感無量でした。
また、様々な位置からレミゼの世界を観られたことも嬉しかった。レミゼをこんな近くで観たことない!という前方センター席から、最上手最下手席、1階席の様々な角度から観劇できました。1幕ラスト『One Day More』を真正面から観たあの迫力。帝劇で初観劇したときも特別な思い出でしたが、心に迫るとはこういう感覚なのか、と放心状態で座席に埋もれ(感動し過ぎて立ち上がれなかった)、最上手からはエポニーヌがスタンバイする気配を感じ(♪コゼット思い出す〜の場面)、最下手からはバルジャンがジャベールを逃す場面を間近で観ることができました。残念ながら、最上手最下手では見えない部分もありましたが、音に関してはバランスが良く、今回観たどの位置からもオーケストラと歌声に包まれる素晴らしさがありました。
こうして書いていても、なんて贅沢な時間だったのだろう、と泣けてきます。何だか、一生分のエンタメ運を使い果たしてしまったような気持ちにもなります。
この公演では、大切な友人を誘い共に観劇の予定でしたが、それが叶いませんでした。再び北海道で、今度は友人と共にレミゼを観たい、と強く思います。
一観客として、今は待つことしかできません。しかし、時が来たときには、思い切り舞台を愛したいと思います。
追記です。今年2022年10月には、2020年にコロナ禍で中止となったミュージカル『ミス・サイゴン』が札幌文化芸術劇場hitaruにて開催予定です。この情勢下、戦争をテーマにした作品は非常に辛い感情もありますが、北海道公演があることに感謝して、心して観劇したいと思います。
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