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『next to normal』記憶の断片(注!内容に触れています!)

2回観劇後、記憶に残る断片をつづります。実際と異なる表現やニュアンスもあるかと思います。また、内容にも触れていますので、ご注意ください。今は、この作品を観た人の色々な考えを知りたい、そう思います。では、私なりに感じたことを。

【ナタリーの赤いリュック】ナタリーと共にあるこの赤いリュック。ナタリーが持っていない時は、リビングの棚?柱?に掛けられていたり。ナタリーがリュックを持たないのは、黒づくめの格好でクラブに行った時と、最後にダイアナと向き合い始めた時。最後に、ダイアナがナタリーの肩からリュックを下ろしてあげる場面(ダンスパーティーに行きなさいと言うところ)はメッセージが込められているように思いました。赤いリュックは、家族が抱える苦しみの象徴なのか、と。いつもいつもナタリーに重くのしかかっていた哀しみ、不安、恐怖、苛立ちが詰め込まれていたのだろうか。

【ラストの各人物が身につける色】ゲイブとダンが赤、ドクターは赤紫(ジャケットは紺か黒?)ダイアナとナタリーは紫、ヘンリーはインナーは紫だけどデニムっぽいシャツを羽織っている。ドクターやヘンリーは、家族以外の人物として表現するために色が組み合わされているのか。やはり、ゲイブとダンの赤が気になります。ダイアナが家を出て行った後、二人が激しくぶつかる場面では、ダンがゲイブに「なぜ、(彼女に)ついて行かなかった?!」と言います。ゲイブは、「あなたが僕の名前を呼ぶまで、僕のことはコントロールできない」と返します。ゲイブもこの時点までダンのことをパパとは呼んでいませんでした。そして、ダンの口から初めて「ゲイブ、ガブリエル」と語られます。(息も絶え絶えに名前を発する岡田さんのダンは、痛々しくて辛い)2回目で確認しましたが、劇中にゲイブの名前が出てくるのは、ドクターがダイアナに息子について尋ねる場面とこの場面だけだったと記憶しています。ダイアナは「息子」とは言えども、「ゲイブ」とは言っていなかったかと。ダンから名前を呼んでもらえたゲイブの「やぁ、パパ」が、色々と暗示するようでした。父と息子のわだかまりが和らいだというよりは、これからが始まりなんだよ、というゲイブの恐ろしさを感じたというか。ここから、無限ループが始まるような、ゾワっとした感覚を覚えました。

【海宝ゲイブの身体表現】2回目で明らかに感じたこと。それは、観客にもゲイブがこの世に存在しない人物であると伝わってから、ゲイブの歩き方や佇まいが「死」の空気をまとっているということでした。すーっと傍らに現れて、まるで悪魔の囁きをするように家族を翻弄する。感情を剥き出しに存在を表現したり、静かに空気と混ざり合うように存在したり。ダイアナに見えている世界を観客も共有している。ゲイブが登場すると、心がざわつく。そして、目が離せなくなります。

【ブランケットもオルゴールも水色】濃い青ではなく、水色っぽく見えましたが、その意味は一体?ゲイブが幼くして亡くなったことを表すのだろうか。ダイアナには「青年」になったゲイブが存在しているけれど、現実はそうはならなかった。綺麗な水色に、ダイアナとゲイブの深い哀しみが表されているように感じました。

【ダンスパーティでの青の衣装】一方で、ナタリーとヘンリーがダンスパーティーで身につけていたのは、濃い青でした。ヘンリーは、ナタリーに「青がよく似合う」とも言っていましたが、この二人は現実世界で確かに存在していることが伝わりました。

【盆演出と、ラストに家の枠が外れていく演出】個人的に大好きな盆演出が取り入れられていました。家族を巡る心模様が伝わり、舞台の外枠が家の形をしていたことが象徴的でした。確か三重に枠があったかと思います。心に蓋をした家族の物語、入れ子のような感じに見えました。それが最後には取り払われていく演出。この家族にも希望の風穴が開いて、光が差し込み始めたと思わせるような。しかし、一方では、ゲイブとダンの赤い衣装が気になって仕方がなく…。

今のところの記憶は、こんな感じです。次回は、安蘭さんチームのキャストの感想もつづりたいと思います。(本当に余韻が残る作品。望海さんチームも観たかったなぁ)




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