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外貨建て生命保険の本質
はじめに
子供の学資保険を調査しようとしたら、外貨建生命保険の説明を受けたので、検討に値する金融商品なのか考察してみた。
ただし、筆者はキャッシュフローは良いので生命保険としてのヘッジ機能を本項では評価しないので留意頂きたい。
外貨建生命保険、海外株式証券との比較
前述の様に「生命保険機能」を外貨建て生命保険へ要求しないので、前払い一括商品のみを比較対象とする。保険料毎月払いの外貨建て生命保険は考慮外とする。
前払一括外貨建生命保険は最初に一定金額を保険会社へ払込、それを保険会社が一定もしくは変動利回りで一定期間運用後、解約して解約返戻金を契約者が
受領する。
この様に書くと「前払一括外貨建生命保険」は、「米国株式」「米国国債」を購入しているのと本質的にはあまり相違がない事がわかるだろう。
「(米ドル建)前払一括払の外貨建生命保険」と比較的製品が似ている「米国株式証券」とを比較してみよう。
$$
\begin{array}{|c|c|c|} \hline
商品 & 売却時の課税 & 生命保険控除 \\ \hline
前払一括外貨建生命保険 & 一時所得[(売却金額-購入金額)÷2-50万円] x税率 & あり \\ \hline
米国株式証券 & 申告分離課税(20%) & なし \\ \hline
\end{array}
$$
纏めると「前払一括外貨建生命保険」には以下の欠点利点がある。一定期間(概ね10年程度から)キャッシュが不要であれば、「前払一括外貨建生命保険」に投資を検討しても良い。ただし、「前払一括外貨建生命保険」が「米国株式」「米国国債」より十分に高利回りである事が前提だ。
一例だが、メットライフ生命の「ビューウィズ ユー プラスII 健康告知ありプラン」20年間利率保証、契約者53歳で試算したところ基準利回4.99%となった。この商品では初期手数料に相当するものは10%近い様である。(1年経過後の払戻率94%から試算)(2023年5月時点)
一方、米国債権10年利回りは米ドルベースで3.435%、全世界株式インデックスファンドの「平均」利回りは10%程度である。
基準利回4.99%は高く見えるが、これは米ドルベースなので通貨変動があると利回りは大きくブレる。以下の様に初期手数料を回収する程度の期間(概ね3年)は契約しないと赤字になるので、全世界株式インデックスファンドで運用するのとリスクは大差ない。
欠点
購入手数料に相当する分が高価で一定期間経過前の解約はペナルティが大きい
契約者の年齢が上がると保険料が上昇する
外貨購入、売却時の手数料が高め
利点
契約者死亡時は保険金として遺族が受領するので一定まで非課税(相続人1名辺り500万円)
解約時の利益は一時所得となり課税額が安くなる(かなり高年収のサラリーマンであれば別)
前払した年は生命保険料控除が受けられる(控除は最大4万円なので、僅かしか節税できないが)
纏めと筆者の見解
外貨建生命保険に加入するべきは、NISA、iDecoに加入済みで金融資産が相続税の対象を超えている人であろう。
間違っても「資産形成」と「死亡時の保険」を両立するために加入してはいけない。
特に若い人であれば「死亡時の保険には」通販型の掛捨定期死亡保険が良い。保険料が安価なのでこれで十分である。
おまけ
この文書を作成したのは説明を受けている隣で類似商品のセールスを受けている若い女性が「ところで円安、円高どっちが良いのですか」と質問していたのに気づいてです。