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大人の贅沢 汗かき山籠もり

#71|フライフィッシング/FlyFishing 
2024年8月8日(木)/新潟県上越地方/午前6時15分~午後1時30分/気温25℃。平場とは5℃ほどの気温差/水温14~17.5℃

我が家の子どもたちは夏季休暇の真っ最中とあって、冷房の効いた涼しい部屋で自由気ままな時間を過ごしている。うらやましい限りであるが、ボクは仕事がら、もう20年以上長期休暇に縁がない。働き方改革が浸透する一方で、組織に属したおじさん世代は、周りの目が気になって堂々と有給なんて切れやしない。数週間の休みをとって「北海道だ」、「海外釣行だ」と妄想を膨らませてみるも、夢のまた夢である。

愚痴っぽい話はさておき、どうしても夏休みがほしくなり、タイミングを見計らって有給休暇1日分を届け出た。独り占めできる平日の24時間、大人の夏休みだ。妄想と想像を最大級に膨らませ、日帰りできる範囲で、およそ1か月ぶりに山籠もりを決めた。

車止めに到着したのはまだ暗い午前4時半。前泊者もいないようで久々の一番乗り。幸先良いスタートが切れそうと口元が緩んだ。季節が季節なだけに、長袖・長ズボンに手袋。頭には防虫ネット。肌の露出は指先のみ。汗だく必至の装備で、全身に虫よけスプレーを噴射。万全のアブ対策で朝ぼらけの山道を駆け抜けた。

平日一番乗りとはいえ、連日の絶え間ない釣り人による魚へのプレッシャーを考慮し、入渓点からさらに上流へと川を遡ること45分。1時間以上は登ろうと決めていたのだけれど、良さげなポイントを目の前に、我慢できずついついロッドを振ってしまった。

川の状況はというと、梅雨明け以降まとまった雨が降っていないこともあり渇水気味。所々淀み、決して良い流れではないのが見てとれる。毛鉤に反応する魚はいるのだけれど、近寄っては鼻先で小突き、瞬く間にリターン。とにかく口を使ってくれない。相当なプレッシャーを受けているに違いない。想定内ではあったものの、この状況がしばし続き、足取りが重くなってきた。

じっと我慢の時間が続いたのだけれど、辛抱強く釣り上がると、ある区間から魚の活性が上向いてきた。上流に足を運ぶほどに。釣り始めてから数時間が経過。細い流れではあるものの、目の前に色濃く深みのある淵が現れた。これまでのスレ具合が嘘かのように毛鉤に誘引されるイワナ群。さらに上を目指すと、連続する小規模の淵で、型のいいイワナが毛鉤にむさぼりついてきた。

午前9時40分 31.5センチ

午前10時35分 32センチ

午前11時48分 31センチ

午前11時55分 33センチ

午後1時09分 31センチ

いつものことながら、目標とする40イワナには遠く及ばない結果ではあったものの、良型イワナが立て続けに掛り、体内にアドレナリンが駆け巡った。何物にも代えがたい狂喜の余韻からしばらく、熱気が冷めやむころ、ようやく周りに目を向ける余裕が生まれた。見渡せば、わずかながらも秋が進んでいることに、この時点でようやく気づいた。

山を下ると霧の中

いつものことながら、引き際が難しい山の釣り。釣り上がれば釣り上がるほどに、過酷さが増す帰路。この日、車に戻ったのは午後4時30分。谷越えも合わせて12時間も山岳渓流を彷徨えば、当然のことながら体はボロボロ。とくに膝はガクガク。この日から3日間、全身筋肉痛で体が悲鳴を上げたのだけれど、少し落ち着くとまた山籠もりが恋しくなってくる。釣り終えたあとの充足感、疲れをまさる爽快感が病みつきになって仕方ないようだ。

大人の夏休み、ここに完結。

皆さんはどんな夏の日をお過ごしでしょうか?

<TACKLE>
■ロッド:fenwick イエローグラスⅡ トリプルアップル FF733-3J
■リール:Hardy Marquis #4
■ライン:DT #3
■リーダー:TIEMCO LDLリーダー 13FT 4X


FF.BUM(エフエフドットバム)
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Profile
1979年生まれ。2007年に新潟県上越地方に移住。自由と孤独を愛する西洋式毛鉤(フライフィッシング)釣師。いかにして豊かな人生を歩むか、模索の日々を邁進中。
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