大学生くらいの若いカップルが、今まさに齋藤の眼前でキスをしている。
大学生くらいの若いカップルが、今まさに齋藤の眼前でキスをしている。
彼女が慣れた手つきで彼氏の肩に腕を回し、少しもたれかかると、彼氏は彼女の腰に手を添えた。
彼氏は、こちらに背を向ける格好になっており、恐らく齋藤の存在には気づいていない。一方で、彼女は抱き合ってキスをしている間、まばたきもせず、ずっと齋藤を見つめていた。
齋藤はといえば、天下の往来で蛇に睨まれた蛙のようにまんじりともせずただ貝のように押し黙って2人を眺めることしかできなかった。
長いキスが終わると、彼女はさっと彼氏から身を離し、また寄り添っては彼氏の手を引いて歩き出した。
彼女は去り際に齋藤を一瞥し、にこりと微笑んで会釈した。さすがの齋藤も我慢しきれず「フッ…おもしれーオンナ…。」と呟いた。
して、件のカップルについてですが、まるでドラマや映画から飛び出してきたような、見事なまでに冴えないオタク風ルックのカップルでありました。はぁ見せつけられましたな。