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科学技術の進歩が置いてけぼりにしたもの
時計の針が刻一刻と空を刻むに伴い、科学技術は日進月歩と今この瞬間も進んでいる。
齋藤をはじめ、人類の生活は数々の先進技術により豊かに、より快適になっている。
ことトイレの進歩は著しい。人感センサーにより自動で蓋が開き、便座は暖かく、ウォシュレットで尻を洗浄するに加え、温風で乾燥までしてくれる。トイレの進化はとどまるところを知らない。
こんなことを考えるに至った出来事が一つ。
ある日、腹痛を伴う便意が齋藤を襲った。最寄りのコンビニのトイレをちょっとお借りし、便座に腰掛けると思ったよりたくさん出た。
おしりを拭こうと腰を少し上げると、意図せずトイレが勝手に流れた。便器に自動洗浄機能がついていたのだ。
水が押し寄せ、便を包み、便器の奥へと連れて行く。瞬く間に齋藤を残して先に行ってしまった。
その時、齋藤は気づいた。齋藤はいつでも、便を流す立場であり、便を見送る者であった。それが、今回はさよならを言う間もなく、流れるままなんの迷いもない便に置いていかれたのである。
科学技術は目覚ましい進歩を遂げ続ける。齋藤は便に、ひいては科学技術に置き去りにされた。明日はあなたかもしれない。技術の進歩、時代の流転の速さにおいていかれることのないようご注意願いたい。