”絶対理解するべき”ランディング時のピッチコントロール|パラグライダー
▼どうする!?ランディング時のピッチアップ
ランディング間際(だいたい対地高度が10m以下)にもっとも起こしたくない状態の一つが「ピッチアップ」。
けど、操作ミスや気流の変化によって必ず起こってしまうもの。
ピッチアップしてしまったら、その後の対処を間違えるとハードに着地することになり、けっこう危険です。
実際に、ランディングでのケガの直接的な原因の多くがこのパターン。
なので、対処方法をしっかりと理解しておく必要があります。
今回は、
・ピッチアップ後に起きること
・対処方法
を説明していきます。
▼ピッチアップ後に起こること&対処方法
▷ピッチングの基本を理解する
まずは基礎の基礎をおさらい。
ピッチ軸におけるパラグライダーの動きを理解していないと、次に起こることも対処方法もまったくイメージできません。
ピッチングの三要素
クライミング(ピッチアップ)
サーチ
アクセレーション
この流れが理解できている前提で進んでいきます。
もし、分からなければ先にピッチングから学びましょう。
ここでは、「ピッチアップ=クライミング」と考えてもらってOKです。
今回は、上図「ピッチング図解」内の「5」〜「14」のパートが関係してきます。
▷ピッチアップした後どうなる?
操作ミスもしくは気流の変化によってピッチアップしてしまった場合、特にアクションしなければ、「サーチ」→「アクセレーション」へとつながっていきます。
それが翼が通常滑空へ戻るための自然な流れです。
上図「ピッチング図解」を見ても分かるように、アクセレーションは前方下方に向かって滑空し、加速して水平飛行(通常滑空)へ戻る過程です。
なので、水平飛行に戻れるだけの高さがあるかどうかでその後の明暗が分かれるんです。
アクセレーション後に水平飛行に戻れるだけの高さがあれば、まったく問題ないです。
だけど、高さが足りない場合はアクセレーションのパートで地面に激突することになります。
いったんアクセレーションが始まってしまうと、どうにもなりません。どうにもならないんです。
正確には、
ということです。
翼の後方に降り上がって状態になってしまうと、どうあがいても翼の真下まで落下します。
この振り子の落下は不可避です。
落下の最中に地面までいってしまうと、痛いです。確実に痛いです。
▷サーチをコントロールする
じゃあどうすればいいのか?
「サーチをコントロール」しましょう。
アクセレーションの強さはサーチ(ピッチダウン)の大きさに依存します。
なので、対地高度に応じてサーチを適切にコントロールしましょう。
具体的には、
「任意のタイミングでサーチを止める」
という操作です。
サーチを小さくなるようにコントロールすると、アクセレーションが弱く小さくなり、通常滑空時に比べて対気速度が小さくなるので沈下速度が早くなります。
けど、アクセレーションで地面に突っ込むよりはよっぽどいいです。
「高さに応じて」というのが難しいですが、こればっかりは体感して習得するしかないです。
自身の高さ感覚の解像度が低い時は、なるべく小さなサーチで対処するようにしましょう。
それでも不安なら、次に説明するように「アクセレーションを起こさない」対処方法でいいと思います。
ちょっと沈下速度が早くなって、ちょっと足が痛い程度なので。
▷アクセレーションを起こさない
ピッチアップ時にほとんど高さがない(だいたい2~3mくらい)場合、小さなサーチでもハードランディングになってしまう可能性があります。
そんな時は、サーチを頭上で止めちゃいましょう。
そうすればアクセレーションは起きません。
当然、対気速度が小さくて沈下の大きな滑空になりますが、最悪の事態は避けれます。
絶対に避けるべき最悪の事態は、
「アクセレーションで地面に激突する」
です。
クラッシュするよりは、沈下の大きな滑空の方がよっぽどいい。
「沈下の大きな滑空」と強調してきましたが、実際には場の風によって変化することは言うまでもありません。
なので、なによりも大事なのは
「最悪を回避する」
ことです。
アクセレーションや振り子の落下による地面との激突を回避したら、あとは・・・祈りましょう。
▼参考動画
手元にある動画から、参考になりそうなものをいくつかまとめました。
実際にはどんな動きになるのかイメージしてみましょう。
デモ動画ではないので少し分かりにくいかもしれませんが、参考まで。
まとめ
ランディング間際にピッチアップしてしまった場合、判断のポイントは対地高度。
高さに余裕があれば、「サーチ」→「アクセレーション」→「通常滑空(水平飛行)」にもっていく
高さが微妙なら、サーチの大きさをコントロールして安全範囲でアクセレーションにつなげる
高さが足りないなら、頭上でサーチを止めてアクセレーションさせない
基本的にはアクセレーションから速度が十分な通常滑空になった方が、フレアーの効きがよくなる。
けど、アクセレーションや振り子の落下で地面に激突したら元も子もないので、高さによって対処方法を判断しましょう。