家族経営は強い
先日、大阪のイタリアンに行きました。そこは、ご家族で経営されていらっしゃるようです。ご主人が厨房を、マダムがホールをという典型的なご夫婦でのオペレーションに加えて、ご子息が二人いらっしゃるのでしょうか、一人が厨房のご主人を手伝いもう一人がホールを手伝うという形でした。
そして、このホールのご子息がワインに対しての思い入れがかなりのものらしいのです。(私が訪店したのは、ランチタイムということもあり、さらにこのご子息がなにやらお使いで外出されていたために、そのワイン談義を拝聴することができませんでした。残念!)
料理の供出も、永年このお店で培ってきたノウハウが窺えるものでした。お昼の簡単なコースをオーダーしたのですが、こちらの食べ具合をよくみてサービスしてくれます。当たり前のことなのですが、この当たり前ができない店屋が多いから困ります。サービススタッフがお客の食べ具合を見ていても、それが厨房に的確に伝わらなければ意味がありませんし、伝わっても厨房側がそれをきちんと活かして料理の上がり具合を調製できる技量がなければなりません。
一流といわれるレストランやホテルなどのダイニングで、この当たり前のことが驚くほどできてないことがあります。それで、10%のサービス料を盗るのですから、これをぼったくりといわずして何というのでしょう。(「ぼったくり」は、いまや全国区の言葉になっているようですね… )
冗談はおいて、先ほどサービス料を「盗る」と誤変換しましたが、これで間違いないと思うほど酷いサービスが実在するのですから、呆れてしまいます。サービスのないところにサービス料を課すのですから、盗人でしょう。間違いなく「盗る」で正解だと思います。
シェフはそこそこの経歴があり、料理も実際にかなりのレベルなのにサービスが追いていない、というのもかなりの頻度で見ます。サービスというのは、机上の理論だけでは実践できません。現場を何度も経験して失敗もし、お客さんからの苦情、中には理不尽なクレームも受け、様々な経験を経てようやく開花するという時間のかかるものです。
その会得には、それなりの年数が必要なのです。それを、きのう今日入ったばかりのアルバイトや(正規の社員でもこれに等しいのがいますが)、短期仕上げの間に合わせの給仕では、理想の接客など叶いません。およそお客を満足させるには程遠いものです。
そんなレストランの対極にあるのが、先日のお店です。ご家族で練り上げられたルーティンの動きには、無駄がありません。厨房とホールとのコミュニケーションは、阿吽の呼吸といってもよいほどの素晴らしさです。もちろんこのお店にしても、一日でこれだけのノウハウを築き上げたわけではないはずです。お子さんが小さいうちは、それこそ育児の苦労を押しながらのレストラン経営であったでしょうし、今の姿はそんな峠を乗り越えてきた家族への天からの賜物ではないかと思うのです。
街場の家族経営のお店、ほんとに応援したくなります。
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