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夢を再び。ファシリテーションルーム8



ーなんのはなしですかー
なんのはなしか、聞かせてください

物語  通称   #なんはなルーム   です。


これはスタジアムに打ち上げたジェット風船、その夢の続きのお話 第8話

これまでのお話はこちら

扉がキィーという音を立ててフワッと開いた。

「失礼します。ベルです。
     Seedさん初めまして。
     ライブいつも楽しみに拝聴しています。」

「ベルさんですか。初めまして。
   今、灰原さんに企画を聞かせていただいたところです。私も12月にフェスで、この新しいジェット風船にちなんだコニシ課長の文章の朗読を構成の一部に考えています。ベルさんもコニシ課長の日誌を朗読されていくとのこと、もしフェスにご参加いただけるのであれば、ベルさん、朗読部門をMC含め担当いただけないでしょうか。2作品、多くて3作品とイメージしています。」

「え、え、えーーー、ライブでMCですか?!」
ベルは驚いて座ったばかりの椅子から立ち上がって壁の方を指さした。

「MCといえば、ほら、ラジオプロジェクトの安住さん、安住さんがひょっとしたらひょっとして、このジェット風船に興味を持って”安住です。”なんて来てくれたら天国コースじゃないですか。地上コースは灰原さんが適任じゃないかと。私がMCをしてもつまらないですよ。」

 ベルの指さした方向にいたA小町は『安住紳一郎の日曜天国』はがき作戦を見てホロホロと空気混じりの声を転がす。灰原はそれを味わう余裕もなく、あわててベルを制止しようと口を開いた。

「Seedさん、申し訳ありません。まだベルには伺った企画詳細をお伝えしていなくて。ベル、朗読だけの企画じゃないんだ。歌もトークも入ったバラエティに富んだフェスなんだよ。Seedさんの企画は。」

「ああ、ごめんなさい。私ったら。構成の一部、朗読コーナーのMCということですね。早とちりで大変失礼しました。ただ、お声かけは嬉しいのですが、まだライブという経験もなく、こちらは現時点ではなんともお返事できずにすみません。ただ、朗読の企画ということでは、私の方は朗読者もまだこれからなので、ライブで朗読されたものもピックアップ済として、カウントしていけたらと思います。ライブでもし3作品ということであれば、私の企画としては過去3年間の日誌を対象としていますので、そのラストとなる過去のもの、そこから今にいたるまでの文章、それから未来としてコニシさんに書き下ろしを依頼して、なんていいんじゃないかと思います。」

A小町はベルの勢いに今度はこちらを向いて笑っている。Seedさんはと言えばどこからどう伝えればいいか、苦渋の色をにじませたその後にゆっくりと言葉を紡いだ。

「その朗読なんですが3作品は”多くて”というところなんです。」
大事なことは2度いう、それがモットーのようだ。

「コニシ課長の過去三年間の取り組みと、現状の躍進はもはやみんなの伝説ともなっているので、まず朗読しようというハードルが高い。それに、私も朗読させて頂いたりもしたのですが、詳細に記されていて1つに対してかかる時間も10分強はかかる。それを考えたらフェス全体の時間、2時間に対してやはり3作品は多いとも感じているんです。」

Seedさんのゆっくりとした口調で語られる言葉をベルは頭の中で反芻した。
たしかに周りに話してみても反応は鈍く渋いものだった。”フェスまでに”という計画があまりにも無謀というのもあったのだけれども。

「Seedさんのライブでも朗読者の募集してから決まるまでにもお時間かかっていますものね。」
「そうですね、手を挙げてくれる方にとって、どの作品を、というのもやはり大事ですから。」

Seedさんナイスだ!と灰原が心でガッツポーズをして後に言葉を繋ぐ。
「そうだ。ベルの相談事項の88話っていうのはなんなんだ。」

「88っていうのはまあ末広がりで縁起がいいだろうっていうのがあるんだけど、それは単なるこじつけで、選べないじゃない。どの日誌もそのとき、そうやって記すに至った経験がなければ今はないかもしれないんだから。全てか、なしか、そうでなければ無理やりそれこそ、抽選みたいな形で選ぶしかないじゃない。でもさすがに88は多いから北海道から沖縄まで日本縦断キャンペーンにちなんで都道府県の数にするとか。」

灰原は今度は、落ち着いた声を心がけてゆっくりと語りかけた。

「ベル。ファシリテーションルーム、いや 、なんはなルームの管理人として言わせてくれないか。過去、どれほどの製品やシステムが改良・改修を重ねて、どんどん実装が重くなり使いづらいものになっていったか覚えているか。ここは、”原点にかえる場所”だ。どんなものを望んでいるか、どんなものが望まれているか。シンプルに、もう一度原点を振り返ってみたらどうだ。」

Seedさんがゆったりと息をしてからそれに続けた。

「まあ、急ぐことはないんじゃないでしょうか。フェスを意識して下さることは光栄ですが。ゆっくり進めてもいいと思いますよ。」

「そうだベルさん。この後この前のライブの朗読関係者が2名とこちらで待ち合わせです。一緒に話を聞かれますか。」

ベルは"朗読の原点”と、頭の中は違うことが駆け巡っていたが
「同席だけよろしくお願いします。」
と頭を下げた。


Seedさん
スタエフではお話させて頂きありがとうございました。あのあとライブで1人語りしてみましたが
『えー』とか『えー』とか 『 えー』とか
無言タイムが多すぎてもはや放送事故レベルでしたよ。

今晩のスタエフ番組、ゲスト出演楽しみにしております。 (寿司ネキさんが艶のあるボイスでお迎えする番組です。)

なんのはなしですか のタグが蔓延する場所を路地裏といいます。この『なんはなルーム』は路地裏と外の世界の境目に設置してます。
なんのはなしですか、と見に来てくださる方、とても嬉しいです。もう少し続きます。よろしくお願いします。



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