MTT GTO / プリフロップ(★★★☆☆)

MTTのGTOを学ぶ上で一番大切なことは、プリフロップレンジの理解だと思います。キャッシュと違い刻一刻とスタックが変動し、自身と相手が異なるスタックで戦うことが増え、とてもGTOの再現など不可能です。
しかし、ある程度その概観を掴むことで、そこから自分が明らかにミスをした外れ方をしなくなるという防衛的な側面だけでなく
明らかにGTOからずれている人をエクスプロイトするための攻撃的な側面でも大きく利益を生むことができます。

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MTTの概観

Cashゲームと比較したMTTに特徴的なことといえば
①レーキ無し
②アンティゲーム
③Chip EVとICM
④ブラインド上昇

が主に挙げられると思います。

①レーキ

レーキが存在しないのがMTTの大きな特徴だと思います。キャッシュゲームではフロップが開いた後にポットの割合に応じてレーキ(手数料)が徴収されます。つまり、フロップはなるべく開かない方が得であり、3betが増えてコールが減ります。
MTTではレーキが存在しないため、キャッシュゲームに比べてコール頻度が向上します。その分3bet頻度が減るかと思いきや、それはICMやバブルファクターなど様々な要因によって変化するので、これはなんとも言えません。

””MTTではプリフロップにおけるコールがより正当化される””ということは重要なので抑えておきたい概念です。

②アンティゲーム

キャッシュゲームにもアンティが存在することはありますが、アンティが存在しないMTTはあまり多く存在しないと思います。アンティが存在するとプリフロップ時点でポットがより大きくなるので、ポットに参加するインセンティブが働きます。つまり、VPIPは向上する傾向にあると言えます。

③Chip EVとICM

Chip EVとは、自身がそのアクションによってどのくらいのチップが得られるのかを示す値のことです。
一方、ICMはチップ量からどの程度の賞金が見込めるかを示した値です。
トーナメントはインマネするまでに飛んでしまったら、いくらチップを持っていても賞金が0となります。
セカンドチップリーダーでバブルにいたとしても、チップリーダーとのオールインに負ければ賞金は0になってしまいます。
バブル付近では、チップの上昇に対して飛ぶことの損が大きすぎて、オールインに対してオーバーフォールドしなくてはなリマ戦(例えば、プリフロでAKをフォールドする)など、かなり直観に反するプレーが増えます。

MTTではチップを増やすことよりも、生き残ることが優先されるシチュエーションがあります。これがChip EVとICMによって発生する直観に反するGTOです。

④ブラインド上昇

ブラインドが上昇するということが、MTTの最大の特徴であると言っていいと思います。これによって、自身の持ち点が時間経過によってより少ないBB数になってしまいます。これは先に述べたICMに大きな影響を与える要素です。
何もアクションをしないとどんどんBBが少なくなり、インマネまでに飛んでしまうリスクが高まります。
また、このブラインドの上昇により様々なブラインド量における戦略を覚えなくてはなりません。Cashゲームではなんとなく100bb~200bbくらいで戦うことが多いのでそんなに変わらないのですが、トーナメントでは10bb~30bb前後のスタックで戦うことが最も多くなります。こうなってくると、プリフロップの戦略がとても変わってくるため、各bbにおけるプリフロップ戦略を抑える必要があります。
ポストフロップはSPRに応じたプレーをすれば良いだけなので、特に問題はないと思いますが、SPRが小さくなりやすいことからコールよりもレイズが増え、先にオールインするのが得になることが増えることは押さえておく必要があります。

プリフロップ戦略(8Max)

概観

①C.Cレンジが増加する
②C.Cが1つ入るとレイズレンジが広がり、コールレンジは狭まる
③C.Cが2つ入るとレイズorフォールドになる
④C.Cが入っていない時は、AA, KK, AKs以外の3betはEVが変わらない。
→とりあえずコールしておけばEVロスはない
⑤BB以外では、EP, MPのオープンに対してオフスートは嫌われる
→絵札+Tの組み合わせくらいでしか参加しない
Ex) 30bb, HJ open vs BTNで、A9oが初めてレイズorフォールド
⑥オープンAIレンジに関して
30bb: なし
25bb: SBのみ、44~22, Amo
20bb: BTN, SBのみ、44~22, Amo
15bb以下: パワーナンバーに従ったオールイン

100bb

①100bb

○コールレンジ

100bbの戦略は特にキャッシュと大きく乖離しませんが、コールが増えることはここでも如実に反映されます。


MTT, eff 100bb, 8max UTG vs BB

例えば、UTGopenに対しては72s以外の全てのスーテッドはコールになっています。これはキャッシュゲームにおけるSB vs BBのディフェンスレンジよりもかなり広いですね。

cash 6max, eff 100bb, UTG vs BB

これは6maxですが、8maxならディフェンスレンジをもっと狭くしなくてはなりません。そう考えると、かなり広いレンジをBBはディフェンスすべきだということがわかりますね。

○3betレンジ

MTT, eff 100bb, 8max UTG vs BB
MTT, eff 100bb, 8max, UTG, C.C BTN vs BB
MTT, eff 100bb, 8max, UTG, C.C CO, BTN vs BB

以下にプリフロップの戦略を概説する。

○C.Cが入ったら

・C.Cレンジが減少
C.Cレンジ:ポケット、Am〜ls、スーコネ

・レイズレンジの拡大(1〜2%くらい広がる)
下限:{絵札+T}スーテッド+,  TT+, KQo+
ブラフ:スーコネを3回に1回くらい

・2C.Cからレイズレンジがリニアなレンジになる。
下限:TT+, AQo+, 絵札のスーテッド
ブラフ:なし

・2C.C入ったらBB以外は3bet(4倍くらい)
→つまり3C.Cはミス

ということがわかります。
これはUTGopenであり、これをずらした時の傾向を以下に述べたいと思います。
以下のものは直観的にわかりやすいため、特に説明はしない。

◎openポジション、CCポジションが後ろになると
→バリュー3betの下限が緩くなる
○オフは狭いまま(KQo+)
○スーテッド
EP: 絵札スーテッド+ JJ+
MP: (絵札+T)スーテッド + TT+
LP: (絵札+T, 9)スーテッド + 99+

◎アクションがBBから遠ざかるにつれて
コールレンジは大きく減少し、レイズレンジも少しリニアになる。

80bb~40bb

基本的な戦略は100bbの時と変わらず、スタック量が少なくなるにつれて3bet頻度が高くなります。openにワンコール以上入ったところに、JJ、AKoなどのハンドで3betオールインする頻度が生じてきます。

80bbにおけるプリフロップの戦略

MTT, eff 80bb, 8max, UTG vs BB
MTT, eff 80bb, 8max, UTG, C.C BTN vs BB
MTT, eff 80bb, 8max, UTG, C.C CO, BTN vs BB

60bbにおけるプリフロップの戦略

MTT, eff 60bb, 8max, UTG vs BB
MTT, eff 60bb, 8max, UTG, C.C BTN vs BB
MTT, eff 60bb, 8max, UTG, C.C CO, BTN vs BB

80bbにおいては、まだまだ3betAIは起こりません。
60bbになってくると、オープンにツーコール入った時、スクイーズ目的の一発オールインのレンジが増えてきます。

openにワンコール入ったレンジについては少し狭くなり、以下のようになります。
○オフスート
EP:AKo
MP:AQo+
LP:AQo+, KQo+
○スーテッド、ポケット
EP: AKs, QQ+
MP, LP: 絵札スーテッド,  TT+
→LPではT絡みのハンドで頻度調整

◎オープン頻度
スタックが小さくなるにつれて広がる

◎特徴的なハンド(60bb以下)
ATs+, KQs→3betせず、C.Cする
A5s → ブラフハンドとして使わない

◎3bet
ブラインド周りで、88, 77やAQo, AJoの3bet AI頻度が見られるようになる

40bb~30bb

特徴
◎コールレンジ減少(BBは増加)
Ex) UTGopen
特徴的なコールハンド
ATs+, KJs+, TT~77

◎3betレンジ増加
○3betAI(バリューレンジ)
EP open:ブラインドからTT、AKo
MP open: AKo, KJs, TT, 99(JJ+は刻み3bet)
LP open(vs ブラインド): AJo+, TT~66

30bb~20bb

特徴
◎コールレンジ激減
EP open: COまでレイズ or フォールド

◎3betAIレンジ増加→実際には全レンジ3bet AIで単純化戦略がとれそう。
○UTGopenに対するUTG+1の3bet AIバリューレンジ(バリューの下限)
JJ~99, AQ+, KJs+
○オープンが後ろになるにつれて伸びるバリューレンジ:
AXs(X=T+), 66までのポケット
 →ブラフでXJs, XTsを加えていく


20bb以下

特徴
◎AIオープンレンジ
・パワーナンバーに応じてAI
・基本は混合戦略→スタックが少なくなるとAIに近づく
・パワーナンバーが足りてるハンドでopenするもよし

忙しい人はここだけ!まとめ!

Open

20bbよりも多い時

サイズ
SB以外:2.5bb
SB:3.5bb or リンプ

レンジ:
前提ルール:
スートハンドの場合は基準を-3する
Axのスートは全部ok
ポケットは全部ok

簡易レンジ
UTG, UTG+1:J以上2枚
LJ, HJ: T以上2枚
CO: 9以上2枚
BTN: 8以上2枚
SB: 7以上2枚

20bb以下
◎AIオープンレンジ
・パワーナンバーに応じてAI

3bet

30bbよりも多い時
バリュー:TT+, AQo+, 絵札のスーテッド
ブラフ:たまにスーコネ

30bbよりも少ない時
前提「大体一発AI」
→JJ+は刻み3bet(20bb以下は一発AI)

オールインレンジ(バリュー)
EP open:TT、AKo
MP open: AKo, KJs, TT, 99
LP open(vs ブラインド): AJo+, TT~66

オールインレンジ(ブラフ)
全部共通
55〜22のポケット
若干のスーコネ






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