今でも鮮明に覚えている。
私の初めてがぎゅっと詰まったあの日。君に初めて会ったあの日。においも声も言葉も覚えている。あの日はきっと私にとっての忘れられない日の1つなんだ。
出会いはネットだった。
2000年代やっと私は自分の携帯電話をゲットして、無料ホームページサイトで好きなアーティストについて書いていた。そこにメールしてきたのが彼だった。「新曲のCDは買いましたか?」そんな短文だけのメール。
当時は反応が来るだけで嬉しかったから、よく覚えてる。
そこから毎日ってわけではなく、ひとこと返信して途切れては数か月。きっかけは覚えてない。いつだったか向こうから連絡がきて同い年だと知った。
まじめな私と対照的な彼
私はほんとに真面目だった。化粧っ気もなく、ほんと真面目。バイトの帰り道に突然彼から電話が来た。なんと彼はお酒を飲んで酔ってなんとなく電話したくなったと言ってきた。
お酒を飲んでいること自体、衝撃的だったけどなによりこの電話の前にお互いのプリクラを送りあっていて褒めてくれたことに心が浮かれていたから嬉しかった。今思えば、なんて単純(笑)
メールが連日になると夜はベッドで横になりながら、新着メールの問い合わせを何度したかわからない。
デート直前でメールで付き合う事になった
人生初デートは静岡県の清水での七夕まつりだった。向こうは女子と付き合うなんて何度もあったみたいだ。だからなのか、色々スマートだった。
気づいたらスッと手を引かれていたし、自分の食べている焼き鳥を「そのまま食べていいよ」と差し出してきた。どれだけドキドキしたか。
関西人で納豆巻きが大好きって話も覚えている。
思えば初デートのあの日、まだあの頃は最新だった4Dでホラー体験ができる乗り物に乗らされたんだった。私と彼、係員しかないアトラクション。
全部が終わった時、「面白かったね」と言いながら私の方に顔を向けてキスしてきた。顔が真っ赤になっているのが自分でも分かるくらい照れて前が見えなくなった。顔をなかなかあげられなくてからかわれたのもいい思い出だ。
甘酸っぱい思い出と。
相当反応が楽しかったのか、何度もキスしようと狙ってくるので阻止するのにあたふたしたのを思い出す。
そんな私と彼の最後は、彼が私から借りた6万を一向に返すそぶりがなく高校生の私には大金だったので何度も問い詰めたら連絡が取れなくなるってオチでした。
初の花火デートもLIVEデートもカラオケデートも、全部彼だった。
お泊りもサイクリングも片耳イヤホンで音楽を聴くのも、彼の部活の試合を見に行ったのもいい思い出。
深夜の自宅の子機で電話したのも、彼だった。
甘酸っぱい思い出と私の6万円をもって彼は去っていった。