再エネ主力電源の可能性と責任
再エネに関するネガティブなニュース
今年に入りまして、再エネについてネガティブなニュースが飛び込んできました。
■再エネ賦課金、24年度は月額836円増 大幅減額の前年から一転(3月19日)
今年度の再エネの固定買取制度の負担額である再エネ賦課金が2024年5月よりこれまでの1.40円/kWhから3.49円/kWhに増額、皆様の電力料金の負担増。
さらに政府は電気・ガス代負担を抑える補助金について、5月使用分を最後に終了する方向で調整。
■内閣府の再エネタスクフォース資料に中国企業の透かし 河野太郎氏「チェック体制の不備」(3月24日)
再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料の一部に、中国企業の透かしが入っていたことが分かった。「わが国の再エネ政策が中国の影響が及んでいる疑惑であり、見過ごすことはできない。背景を徹底調査すべきだ」(国民民主 玉木代表)
■メガソーラー火災 カメラが捉えた爆発の瞬間 消防隊員4人けが…緊迫の救助 鹿児島・伊佐市(3月28日)
このニュースでは書いてないですが、日中の電気を蓄電池に貯めて夕方から売電をするFIP対応の太陽光発電の蓄電池設備から出火との情報あり。
■下川のバイオマス発電施設、3月末で休止 原木価格高騰で 三井物産と北電出資(3月30日)
■EV市場が急減速、自動車メーカーに突きつけられた課題(2月26日)
EVに関するネガティブなニュースも続いています。
それぞれのニュースにいろいろ思うところがありますが、ここではあえて触れないでおこうと思います。何か再エネは悪である印象がまた植え付けられるのではないかと危惧しております。
恩師の想いから思うこと
自分が、このエネルギーの世界に入るきっかけとなった恩師と13年前の東日本大震災を受けて当時話していたこと。
一気に再生可能エネルギーですべての需要を満たすのは無理がある。得意なところを活かし、社会を変えていくことが必要。
再エネが安く扱いやすいなら最初から電力会社も自社で開発を行うし、もっと日本中で普及している。だからこそ普及の為の呼び水となるFIT制度は必要である。
国民負担で成り立っているからこそ、再エネ発電事業者は、ただ作るだけでなく、その後の維持管理を行い、電力事業者としての電源供給の意識を持つ必要がある。
地域電源、エネルギーの地産地消を優先し、地域が経済循環のメリットを理解することが重要である。
今振り返ってみると、13年経ってもなかなかうまくいっていないのが現状です。大手メーカー主導で大型発電所が建設され、利益が地元に還元されないのが現状です。
美蔓バイオガスプラントの実績
弊社がプラントの運営管理を行っている、北海道十勝清水町の美蔓バイオガスプラントは、今年4月で6期目を迎えます。
地域の基幹産業から発生する家畜ふん尿を適正に処理をして電力を生み出しています。しかも出資は酪農家と農協です。
美蔓バイオガスプラントはフル稼働して過去3年、設備利用率(売電)92%前後と非常に高い稼働率を誇っています。そして5期目に当たる2023年度は 93.7%と過去最高を記録しました。
全国の畜産メタン発酵バイオガスプラントの設備利用率の中央値が78.0%と言うのを見るとその凄さがわかると思います。
もちろんその為に、適切な計画やメーカーの前澤工業や発電機の日星電機のトラブル対応やメンテナンス、そして我々のデータ管理など、皆の協力で安定稼動を実現できているのだと思います。 こちらはまた別のnoteでまとめたいと思います。
私はこの93.7%という高い稼働率を作る為に、必死に頑張ってきました。これが恩師と約束した、電力事業に携わる者の責任と感じています。
再エネの主力電源の可能性とその責任
ここで言いたいことは、画期的な技術などなくてもきちんと運用できれば、発電所として国の主力電源として再エネは十分機能するということです。しかし残念なことに現在の固定買取制度では、一度権利を取ってしまうと発電に関する責任は問われない為、結果投機目的や建設後の運用が疎かになっても何の罰則もありません。これでは残念ながら再エネの主力電源化は目指せず、ただ厄介な発電所となってしまいます。
地域の為のエネルギー施設として再エネ施設が普及し、それぞれの事業者が責任を持って運用を行い、そのバックアップを国が行えば、結果的に再生可能エネルギーの普及が実現すると信じています。