#6 アメリカの「小規模フラワー・ファーマー・フローリスト」は、どんな方法で自分の育てた花を売っているか。
こんにちは。
春分の日まであと1週間となりました。
暖かい陽気とともに桜の花ももうすぐですね。
今回は、アメリカで小規模なフラワー・ファーマー・フローリスト」がどのような方法で自分たちが育てた花を売っているか、そのルートを大きく4つに分けてお話します。
小さな 「フラワー・ファーマー・フローリスト」
たいていは、家族、夫婦、パートナーといった、個人経営で小規模。
0.5 から 1.0 ヘクタールくらいの農場で花を育てています。
お客さんは、地元(ローカル)もしくはその近郊に限られることが多く、発送するケースは、少ないようです。
花を育てるだけでなく、フラワー・アレンジメントを兼ねているファーマーが多いので、上記のように「フラワー・ファーマー・フローリスト (flower farmer/florist)」と一括りにされることが多いです。
ここから先は、今述べたファーマーたちを「フラワー・ファーマー」と呼ぶようにします。
日本では、切り花農家、という形で表現されると思いますが、アメリカのフラワー・ファーマーは、それよりももう少し小さかったり、若干自由な空気が漂っている感じを受けます。
たいていは、農協みたいなものには所属せず、直接販路を切り開いているというのも一つの理由かもしれません。
育てた花をどのように売って利益を得るか、これは、そんなに簡単ではありません。
でも、そんなに深刻に難しくもないように思えるのが、アメリカのフラワー・ファーマーたち。
「最初は自分用に育ててたのに、売ってと言われたから、売り始めるようになった」みたいな人もいれば、友人、知人、最近はSNSを通して、少しずつ輪を広げていったような人、やり方はそれぞれで、そういう例を今後のブログでもご紹介しようと思っています。
フラワー・ファーマーが自分で育てた花を販売するルート
ファーマーの育てている花、気候、地域、ビジネスの好みによって細かく別れるところですが、大きく分けると以下のようになります。
1. 卸売り
卸売市場、ホールフーズなどの食料品を置いているようなスーパーマーケット、生花店などに売る場合。
実際に自分が売るのではなくて、売ることを依頼する形になります。
メリット:買い取ってもらえるので、まとめて売ることができる。
デメリット:他の方法よりも一番単価が低くなる。配達をする必要がある(運送会社を使うことは滅多にない)。
2. 直接販売
店頭にスタンドを出して売る場合とファーマーズ・マーケットなどに出店して売る場合。お客さんの顔を見ながらの販売を好む人には向いています。
メリット
* 卸売よりも利益が出る。
* 接客によってリピートの顧客も開拓できる。
* ファーマーズ・マーケットでは、集客しなくても人が集まってくる場所で販売できる。
デメリット
* 卸売よりも利益が出るが、販売している間その場にいなければならないため、時間をとられて、農作業の時間が減る。
* 自分で、切り花を花束にまとめなければならないので、時間がかかる。
* 天候、などに左右されて収入が不安定になる。無駄が生じる場合も。
3. CSA (会員制)のシェアシステム
C S A は、Community Supported Agriculture (会員制の農家サポートシステム)の略で、日本では、「地域支援型農業」と呼ばれているのに似ていると思います。
地元に住む人を会員という形で募り、毎年、もしくは毎月の会費を前もって支払うことで、例えば、4月から10月の間、毎週1回、ファームで収穫した花を会員で分け合う、というもの。
会員は、リクエストではなく、その時に収穫されたものを受け取る形になります。
多い時もあれば、少ない時もある、天候に左右される、などありますが、アメリカでは野菜の分野でとてもポピュラーです。
週に一度、決まった場所へ会員が取りに行きます。
メリット
* 会費制という形で先に運営資金を得ることができる。
* 収穫時に咲いているものだけをシェアするため、無駄がない。
デメリット
* 会員が受け取りに来る、ドロップ・オフ・ステーション(集荷場)まで配達に行き、場合によっては、その場にいて受け渡しと後片付けをする必要がある。発送の場合(は少ないが)、そのための梱包に時間がかかる。
4-a. ウエディング
一般にアメリカのブライド(花嫁)は花の色とブライド・メイドの衣装、ケーキやテーブルセッティングの色をコーディネートすることが多いので、ウエディングの花は、重要なポイントとなります。
ウェディング写真も、ウエディングの一連のイベントの中でもかなり大きなウエイトを占め、プロのカメラマンを依頼することが多く、ウエディングの前後に随分長い時間をかけて様々なイメージの写真を撮ります。
必ずと言っていいほどブーケを手に持っていますから、一生残る大切なポイントになります。
富裕層の間では、フローリストを雇い、フローリストと相談しながら、最終的にフローリストが全てを手配する、フルサービスの場合が多いので、安定供給となる調達先である卸売、花市場からになることが多いです。
しかしながら、最近は、インスタグラム、ブログや雑誌の影響で、地元で育った、季節のお花を入れて欲しい、と依頼する富裕層のブライド(花嫁)も増えています。
メリット
* 花の単価が上記の1, 2, 3よりも高く、アレンジも含むので高収入につながる。
* 幸せなシーンに同席することで喜びをシェアすることができ、モーティベーションが上がる。
デメリット
* 花嫁との細かい打ち合わせは数ヶ月前から頻繁に行われ、気を遣う部分が多い。
* ギリギリまで、開花状態に気を揉んだり、短時間でセットアップしなければならないため、ストレス度が高い。
* 週末のウエディングが多いので、休む時間がとれない。
* 後片づけ、など手間がかかる。
4-b. DIYウエディング
今回の小さなフラワー・ファーマーの場合は、こちらがメインの収入源です。
ウエディングのフラワーをプロのフローリストに依頼するとかなりの予算をそこに取られてしまうため、お花代の予算を削りたい花嫁のために、花を自分たちで調達して花嫁、もしくは友人・家族がアレンジする、DIYスタイルというものがあります。
フラワー・ファーマーは、それぞれの時期に入手可能な花の種類や色をあらかじめ伝えて、花嫁にだいたい選んで置いてもらうのですが、花嫁が詳しい花の種類までは指定できない、というものです。
花嫁が、ブーケはこういう感じの大きさで、センターピースを何個分、ブートニアをいくつ分、というようにカスタマイズして注文できる仕組みです。
もちろん、花嫁は、これに花市場で買ったものを足しても良いわけです。
メリット
* ウエディングのフラワー、すべてのパッケージよりも若干単価は低いが、かなりの高収入を得ることができる。
* 後片づけ、アレンジ、などの心配がない。
* その時期に咲いている花を提供することで、プレッシャーが少ない。
* お祝い事、ということではフルサービスの場合と同様、幸せをシェアでき、モーティベーションが上がる。
デメリット
* ウエディングなので、多少のストレスはある(しかしフルサービスよりは少ない)。
まとめ
アメリカの小さな「フラワー・ファーマー・フローリストたちは、自分の好みとスタイルに合った方法で販売のルートを広げていきます。
接客が好きだから、嫌いだから、ストレスが少ないから、農作業の時間が欲しいから、などの理由で、大きく分けると、1. 卸売、 2. 直接販売、3. 会員制のシェア 4. ウエディング と DIY ウエディング という形がメインとなります。
最近の日本でも、ファーマーズ・マーケットが増えてきたり、会員になって、野菜をシェアするシステム、とかお花屋さんが季節、地元のお花を使ってアレンジをする、という形も増えてきています。
インスタグラムから美しいイメージが発信されているので、今後はもっと日本でも地元の花、季節の花の需要が増えて行くことでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。