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#18 (podcast & web クリップ) 9年目のフラワー・ファーマーの挑戦。 この春初めて、「発送します」。

こんにちは。

今回は、ジョージア州のフラワー・ファーマー 3 Porch Farm (スリー・ポーチ・ファーム)の現在のビジネスの様子を、スリー・ポーチ・ファームのウェブサイトと、2020年4月9日にリリースされたデボラ・プリンズィングさんのポッドキャストのレコーディングとを合わせて、お届けします。

マンディ・オウシェイ (Mandy O'Shea、以下マンディさん)さんは、ジョージア州の北部でご主人のスティーブさんとフラワー・ファームを経営しています。
今年9年目を迎えるファームは、最近の若い女性を中心とした、フラワー・ファーマーの先駆けとなり、インスタグラム (@3porchfarm)でもフォロワー数、6万2400人と大人気。

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(photo credits from 3porchfarm.com)

1. 2020年4月現在の、スリー・ポーチ・ファームの状況


細かい説明は、後回しにして、今年の二人のビジネスは、今までと少し違っています。
「オンライン」での注文を受け付けること、「発送する」ことにしたのです。

実は、今、マンディさんは、お父さんの看護のために「自己隔離中」。
というわけで、スティーブさんが一人で指揮を取り、7人の正社員と奮闘中。
多くのファンからの温かいサポートが得られています。

「今年の状況は、予想できなかったし、これから先の新しい『ノーマル(常識)』に適応して行くのは、大変なことだと思います。
ビジネスを始めた頃は、泣くことには慣れていましたが、今回は久しぶりに涙が出る困難な状況ですね」とマンディさん。

スティーブさんとスタッフの、準備と移動の時間などを考えて、ファーマーズマーケットの出店をキャンセルし、現在は、「発送する」スタイルに切り替えています。
花卉栽培者・発送者のための協力団体「カル・フラワー= Calflowers(the California Association of Flower Growers & Shippers)」の一番ベーシックなメンバーとなることで、送料を抑える工夫をしました。


2.  オンライン その1:チョイスは3つ。送料無料。


今までの販売ルートは、ローカル(地元)のみ。
ジョージア州の州都、アトランタとアセ(th)ン (Athen)など、車で運べる範囲に限っていましたが、今年は、オンラインで注文を受け付け、送料無料の翌日到着で発送することにしました。
先着順に受け付け、月曜から木曜の間に発送し、週末前に届けられるようにします。

内容は、その時々の花によって変わりますが、現在のチョイスは3つ。
1. ラナンキュラス 50本($ 98)
2. キンギョソウ 45本   ($65)
3. 旬のフラワー・ミックス 35本 ($65)

4月の初めのミックスの中身は、「チューリップ 7〜8本、ポピー 20〜22本、スイセン 7〜8本、第2ラウンドのラナンキュラスとアネモネが咲き始めたので、間に合えば、2、3本」、といった具合。

「私たちの区域を集配してくれるフェデックス(Federal Express。佐川急便のような運送会社)の人達は、みんなとても協力的で、感謝しています。
例えば、集荷に来るのは、午後6時前後。倉庫に帰る前、最後に立ち寄ってくれるんです。だから花が、トラックの中で温まりにくいんです。
そしてその花が、お昼にはお客さんの手元に届くって、どんなシステムになってるのか不思議ですが、素晴らしいです」と、マンディさん。

これから夏にかけての発送は、蒸し暑いジョージア(ゾーン8a, ゾーンについてはこちらのブログ参照)では困難では、とのデボラさんの質問に、
「シャクヤクとカンパニュラは、発送の予定ですが、その後の暑い夏をどうするか、ですね。
今育っているコスモスなどあまり発送に向かない植物は、ポリネーター用に畑に残します。
その代わり、発送しやすい植物を育てます。特にヒマワリ。実は、今年初めて育てるんです」

圏外で、お花を買うことができない、ワシントン州にお住まいのデボラさんも「私もお花を注文するわ」。
今までは、インスタグラムを見ていることしかできなかった、多くのファンには、嬉しいニュースです。そして小さなファームをサポートできるのも嬉しいことですね。

「多くの花市場が閉鎖になっているため、フラワーデザイナーたちは、卸売価格で花を買う場所を探しています。できるだけそういう人たちの役に立ちたいとも思っています」

3. オンラインその2: 毎春恒例のプラント・セールは、オンラインで受け付け、現地ではピックアップのみ

アメリカで春先に行われるのが、プラント・セール
春に植える植物を中心に、普段一般に解放していないような農家、このために特別に品揃えを豊富にしたガーデンセンター、寄付金を募るため値段を高めに設定したガーデンや植物園、その土地に役立つ植物を頒布してコミュニティに普及させるための団体、などが、行う植物の即売会です。

スリー・ポーチ・ファームでも去年までは、春の週末、何日かを選んで、ファームを解放し、農場に花の苗や球根などを取り揃えて、お客さんに来てもらい、自由に選んで買ってもらっていました。
これは、ファームの資金調達に重要なイベントです。

でも、今年は、違います。

あらかじめ、オンラインで注文しておき、自分が選んだ日時に(車で)行って、植物をピックアップするのです。
「一人一人の健康と安全のための特別措置です」
ファームの入り口で、受け渡しです。
それも、受取り予約には20分の間をあけて、お客さん同士が離れていられるように、という配慮がなされています。

サイトで売られている商品は、207点。
・1、2年草の苗(ひまわり、百日草など)
・宿根草 (ヘレボラス=日本でいうクリスマスローズ、シャクヤクなど)
・球根類(ダリア、チューベローズなど)
・ハーブ(タイムなど)
・野菜類 (トマト、ナス、ホットペッパーなど)
・フルーツの苗(いちご)
・潅木、低木類 (スモークブッシュ、エアルーム=代々受け継がれている伝統的な品種のバラ、など)
・チャイティーのティーバッグ、ごま塩(自家製)、シーズニング・ソルト(自家製の原木栽培のシイタケ入り)

値段は、2ドルの苗から、とお安いのですが、これは、「今年マンディさんがいなくて、手が回らなかった分、パーフェクトではないから」、だそうです。
正直者ですね。「クオリティには問題ありません」と、お二人。


4. スリー・ポーチ・ファームについて

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(photo credit from 3porchfarm.com)

さて、このスリー・ポーチ・ファーム。
オーナーは、マンディさんとスティーブさん。
9エーカー(3.6 ha)の土地のうち、フラワー・ファームに使っているのは3エーカー(1.2 ha)。
メインの花の他には、果物を育てています。

マンディさんは、大学(ユニバーシティ・オブ・ジョージア)で園芸を専攻、ファーマーズ・マーケットで仕事をしてから、ファーム・ライフが気に入って、カリフォルニアに移動。オーガニックのオリーブオイル農園に勤め、そこで野菜と花も育て、また農園のフラワーアレンジメントも担当。

スティーブさんは、カリフォルニア出身。マンディさんとの結婚を機にジョージアに移住。
大学では、バイオロジーを専攻しながらも、機械的なこと、サステイナブルな生活、何かを組み立てることが好き、と多趣味。

スティーブさんの多趣味を統合させたのが、ファームの売りの部分のひとつ。
「うちのファームの電気は、全て太陽光発電で賄っていて、余剰な電気は、売電しています。
ファームが所有する5台の車は全て、地元のレストランで出る廃食油を使ったバイオ燃料で、動いています。カーボン・オフセットを目指しています」とスティーブさん。
ソーラー・パネルの設置は、節税にもなるそうです。

化学薬品の農薬は使わず、遺伝子組み換え(GMO)の種子、植物も使わず、農務省の認定するオーガニックと、ほぼ同等のレベルの基準をクリアする農家=Naturally Grown Flower and Fruit Farm としても認定されています。
ご存知の方も多いと思いますが、農務省のオーガニックの認定を受けるには、多大な費用と時間がかかるため、小農家には、負担が大きいのが実情です。

5. スリー・ポーチ・ファームの3つのビジネスの柱

今年は異例のビジネス措置で展開していますが、今までは以下のようなビジネスの内容です。


(1). ファーマーズ・マーケット出店(2月下旬から12月)


アトランタを中心に3ヶ所。毎週土曜日。
春(ラナンキュラス、アネモネ、チューリップ、水仙など)
初夏(エアルーム・ローズ、シャクヤクなど)
夏(ヒャクニチソウ、ひまわり、リシアンサスなど)
秋(ダリア、菊)
冬(エバーグリーンとリースなど)

「採れた果物と地元のハチミツだけを使った、ポプシクル(popsicle。アイスキャンディーバー)を売っています。蒸し暑い夏の朝、ブレックファストと一緒に食べてもいいですよ」。
ちなみにマンディさんたちの住んでいる地域は、ゾーン8a で 夏の蒸し暑さは半端ではなく、花の売れる時期も春と秋の方が断然多いそうです。


(2). フラワーデザイナーのための卸売り


オンラインにて注文。毎週水曜日の配達か、ファーマーズマーケットでの受取り。


(3). DIYウェディング 

花材だけを注文し、アレンジは、ブライド側で行う。
花の時期のみ(3月から10月くらい)。
メールのやり取りにて、注文をするが、色の選択はできても、植物の指定はできない。
40〜65本の花が入ったバケツ($70+バケツ代のデポジット$5)で販売。
注文受付は、バケツ3杯分より。

元々は、別アカウント(今でもあります)の「ムーンフラワー・デザイン」で、ウェディングや、イベントのアレンジメントをすることもありましたが、マンディさんは、昨年の秋、花材を売るだけにして、他の部分に力を入れることにしたそうです。

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(photo credit from 3porchfarm.com)


6. まとめ

スリー・ポーチ・ファームのオーナー、マンディさんとスティーブさん。
困難な状況の中、オンラインを使ったアイデアを出し、今までやっていなかった発送に切り替える、など できることから即、対応。スタッフ、ファームを支える多くの人たちに支えられ、頑張っています。

現在、マンディさんは、お父さんの看病のため、ファームを離れていますが、インターネットでの作業をこなしながら、少しでも人々に植物の大切さ、癒しを与えていきたいと語っていました。

ちなみにファームの名前、スリー・ポーチ。
ポーチ、というのは、アメリカ南部でよく見られる建物の構造です。
家の外壁に広い廊下、縁側のようにテラスがついていて家の屋根がそのテラスを覆った、いわゆる屋根付きの半屋外空間です。
「椅子やテーブルを出して、庭を眺めたり、外の空気を吸いながら、お茶を飲んだり食事をしながら談笑したり。
夏の暑い午後の仕事には、ここでスムージー休憩。
ビジネスの企画もたいてい、ここで立てています。
土曜日、ファーマーズマーケットから帰って日が沈むまでの2時間を、貴重な”ウィークエンド”として楽しみます。
こういうポーチが家の周りに3つあるから、3ポーチ、というのが名前の由来のひとつです」

どうか、夏にはそんな光景が見られますように。

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(photo credit from 3porchfarm.com)


今日もご覧いただきまして、ありがとうございました。

こちらは、貸し農園で育てたアネモネです。
For you!

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