ミッドナイトスワン 父69歳の感想
実家でヒマしてる父を、ボケ防止も含め
思い立ってミッドナイトスワンに誘ってみた。
父は、いわゆる団塊の世代。元職人。
一日中ケーブルテレビで映画と野球を見ている。
ハリウッドの大作好き。
リベラルな人なので、LGBTQに偏見はない。
娘に誘われたから来ただけで
本作の予備知識はまったくなし。
私が草彅剛ファンなのも知らない。
…以下そんな父の感想。
本作に限らず日本の映画は説明が多すぎる。
さいごの草もちくん(笑)の「きれい…」を
監督は言わせるべきではなかった。
ああいうのは感じさせるものであって
言葉にすべきではない。
あの新人の子はよかった。
あの子はまちがいなく売れる。
蒼井優のデビュー時を思わせるものがあった。
役者はよかった。
トランスジェンダー役は草もちくんで正解。
あれは一歩間違えたら目も当てられない。
バレエシーンが吹き替えだったら
観るも無残なことになっていたと思う。
監督は役者のおかげで命拾いした。
映画館なら観るけど、
テレビだったらチャンネル変えてたなぁ。
こないだ観たテネットもいまいちだったけど
どっこいかなぁ。
あっちの方が金かかってたけどな。
どうやらストーリーには興味はなく
作品の作り方が気になった様子(さすが親子w)
そこでハタと気づいたことがある。
私も最後の「きれい…」は
あー言っちゃったよ…と思ったのだが
インタビューで監督が
アドリブで草もちくんが感じた
ナマの言葉を信じた、と言っていて
なんとなくそう言うものかと
思わされていたところがあったんだなと。
裏を返せば、監督は監督であることを忘れ
役者に呑まれてしまったんだと思った。
もしくは大物俳優の迫真の演技に
NGを出す勇気がなかったか。
***
父と2人で映画に行くなんて
7つ離れた下の弟が生まれたばかりで
亭主関白な父が珍しく子育てに協力し
長女の私をアニメ映画に
連れて行ってくれた以来である。
ミッドナイトスワンのおかげで
あれから何十年も経って
再び2人で並んでスクリーンを眺めている。
どっちかが死ぬ時に
この二つセットで思い出す光景になったと思う。
この機会に感謝している。
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