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今でも、青は澄んでいる。


 2024年9月28日、水野愛理(あいりたん)の卒業公演が開催された。青一色で染まった劇場は、まるで彼女の門出を雲一つない快晴で送り出すかのように…

 思えば、彼女を初めて見たのも、時間がない公演だった。「空の青さに理由はない」の時の彼女の歌声は、スマホ越しからも熱が伝わるほどだった。僕は彼女の歌声の虜になっていた。
 あの日から、あいりたんを推す運命だったのかもしれない。

 それから半年以上が経ち、彼女の誕生日を迎えた。初めて迎えた推しの誕生日、嬉しさはひとしおだった。この日を境に一生推していこうと思ったのと同時に、もう長くはないんだろうなあと感じた。
(何故か配信中にパイナップルを食べてたので、「パイナップルには賞味期限はあるけど、あいりたんには賞味期限ないやん(意訳)」とコメントしたら「いつ卒業するか分からないからね?」と返されたのを覚えている。これもあって遠い山形からではあるけど、できるだけ会いに行こうと思えるようになった。)

 そして雪が振り始めて、2024年を迎えた。この年のヲタ活初めは「世界ぷりまちゃんず計画」の東京公演だった。ヲタ活初めであるとともに、初めてあいりたんを生で見ることとなった。

 初めてステージで見た彼女の姿は、まるで東京の地に舞い降りて来た天使のようだった。 笑顔も歌声もその全てが、可愛さの極みのようだった。このまま永遠にこの日々が続けば良いなと思っていた…

 しかし、現実はそう甘くない。歌唱力No.1選手権の不参加が決まった辺りから、「もう卒業か近いんじゃないか…?」と思い始めるようになった。そして5月4日、あいりたんは公演内で卒業発表を行った。

 いつか卒業する日が来るのはわかっていたし、それが近いことも気づいていたけれども、それでも受け入れることは難しかった。それでもなんとか立ち直り、「悔いのないように会いに行こう」と思えるようになった。
 そこから6月の幕張メッセでのツーショット会、8月の時間がない公演(初参戦)、9月の幕張メッセでの握手会と、あいりたんと会える機会全てに「最後の」という言葉が付いて回った。


 この期間はたくさん(らぶる比)あいりたんに会うことができ、とても嬉しかったとともに、終わるたびに「もう終わりなんだな…」と思うようになった。時には電車内や幕張メッセのブース内で泣き出したりもした。 

 それでも時は進み、9月28日を迎えた。
 なるべく「最後」を考えないように、観覧車をループしたり、生誕ドリンクを飲んだりと気を紛らわせようとしたが、それだけでどうにかなるわけがなかった。それでも涙をこらえ、卒業公演を迎えることとなった。
 流石に卒業パートまでは大丈夫だろうと思っていたが、その目論見は外れた。

 卒業公演までダイエットに励んでいたこともあって、あの日のあいりたんは今までで一番可愛い姿だった。その歌声も笑顔も、全てが「天才的なアイドル様」だった。



 もしもう一度生まれ変わったとしても、また僕はあいりたんと出会いたいと思うだろう。発言が過激だったり、突拍子もないことをやり出したり、良くも悪くも「アイドル」からはかけ離れているように見えるかもしれないが、実際は誰よりもファンやメンバー思いで、誰よりも真っ直ぐに努力し続けるあいりたんは誰よりも「アイドル」だったんだなと思う。そんなあいりたんが僕は大好きだ。

僕の心の中には今でも、青が澄んでいる。

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