令和の修斗伝承者
過去
2019年の出来事です。
「格闘技観戦があるけど、観にいかない?」
当時、某情報通信会社のコールセンターで働く、40年来の友人からの連絡でした。
「修斗」です。90年代後半は、立ち技重量級の選手を差し置き、専門誌の表紙を飾るほどの人気を誇っていたので、当然「修斗」の存在は知っています。
ただ、格闘技の中でも、キックボクシング専門のヲタクとしては、家族の理解が得られない(これは事実です。)と体よく断ったものの、MMAの世界は、ルールも選手も知らないため、脚を運ぶほどの魅力を感じないというのが本音でした。
両立
友人が格闘技好きだということを聞いたことがなかったので、2回に渡り、誘ってきた理由を尋ねると、同僚(当時)が、修斗のプロの選手で、チャンピオンだといいます。「仕事も頑張っていて、良い成年。」だから、是非応援してほしいとの事でした。
一見すると外見上の派手さがないその成年について、年頃の子を持つ友人がいうからには、チャンピオンでありながら、格闘技と仕事を両立し、それぞれに真摯に取り組む姿勢が容易に想像できました。すぐにその選手の事を調べたわけですが、強さだけではない、高い人間性をあわせ持つ選手であることがわかりました。
この時、既にどこか漠然と、その選手を応援する気持ちは導き出されていたのかもしれません。そして、彼を知っていくにつれ、人間性に惹かれていったというのが、より正確な真実です。
RIZIN23
しかし、キックボクシング以外はあまり詳しくはない私は、その選手が、修斗のプロ選手で確か友人の同僚、といった具合に記憶が断片的となり、自然と薄れていくのでした。
数ヶ月を経て、RIZIN23のキックルールの試合結果をチェックするため、映像やニュースなどwebサイトを調べていると、「これがフェザー級の1位の戦いでしょうか。オレがやってやりましょうかね。」と、解説の朝倉選手のコメントが話題になっていました。
この試合の勝者の名前、どこかで聞き覚えがあります。
そう、斎藤裕選手です。
すぐに友人に確認し、RIZINにも出られる程の実力があった選手であったことを認知したのでした(後に、相手の摩嶋選手も相当強い選手であったことを知る。)。
RIZINフェザー級王座決定戦
関わる方々や相手への尊敬の念を抱き、多くを語らずに強さを追求する。他方で、聞かれたことには丁寧に応答するなど、極めて紳士的な人間性。この姿勢をキックボクシングの武田幸三さんに重ね、すぐに魅力が高まりました。
同時にyoutubeがスタートし、オフ(この場合、格闘技以外を指す。)を含めて、その一つ一つの言動に魅了されていったのです。
朝倉選手とのタイトルマッチでは、勝利に歓喜し、ブルーに染まる応援団、関係者に深く感謝し男泣く。世界チャンピオンであり、事実上の国内最強が証明された瞬間です。
その後
その後の活躍は関係者やファンの方々だけでなく、格闘技ファンもご承知のとおり。ただ、選手としての境遇については、私が察するに余りある状況(プロデュース側の思惑は計りかねるので、飽くまで素人目線です。)です。一時、選手として落ち込んでいる様子を感じましたが、そこから再起し、これらが、斎藤選手が、選手として高みを目指すために歩む道であったと思います。
結び
youtubeなどを拝見する限り、選手としてだけでなく、人としての価値を高め、その人間性は、周りを幸せへと導きます。
格闘家としてという前に、人として敬い、これからも応援してまいります。
※拙文、悪しからず。