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どうしようもないほどの愛を感じる二冊の本。
これまで散々語ってきたので
私が活字ヲタクなことをご存知の方もいるかと思いますが、今回はどうしても二冊セットでオススメしたくてたまらない本をご紹介したいと思います☺️
貫井徳郎さんの
『壁の男』
あらすじ
ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、伊苅(いかり)に、ノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが……。彼はなぜ、笑われても笑われても、絵を描き続けるのか?
この本をネタバレしないように紹介するのは、なかなか難しいのですが……
私も最初はフリーライターの鈴木とともに、どんな思いで伊苅が壁に落書きのような絵を描き始めたのか、それを知るために読み始めました。
しかし、章が変わるごとに少しずつ明らかになる過去。それでもひたむきに生き続ける伊苅の強さ。なんで…どうして…と思わずにはいられない真実。
でも、だからこそ伊刈の生き様や拙い絵が、人の心を惹き付ける理由がわかる、奥深い一冊となっています。
加納朋子さんの
『いつかの岸辺に跳ねていく』
あらすじ
あの頃のわたしに伝えたい。
明日を、未来をあきらめないでくれて、ありがとう。いま、わたしは元気です。今よりも少しだけ生きるのが楽になる心温まるミステリー。
こちらは、幼なじみの護と徹子の物語。決して恋愛感情ではないと言いつつも、徹子の突飛で不器用な行動が心配で、ちょこちょこ手を差しのべる護。徹子が何かを抱えているようなのは気になるけど、決して深入りはしない。それでも誰よりも徹子を思い、信頼している護。
そんな優しくて明るい護目線から、徹子目線に変わると読み進めるのがしんどくなるような内容だったけれど、加納朋子さんの“せめて物語の中だけでも楽しいことが起こってほしいという思いから、読後感は温かい気持ちになるような作品が多い”(Wikipediaより抜粋)という思いを信じて読みました。
さて、その結末は……
ぜひ読んでみて感じてほしいです。
二つの作品から感じた思い
今回、なぜ貫井徳郎さんと加納朋子さんの本をご紹介したかというと、お二人がご夫婦だというのもあるのですが
私の元祖イヤミス王といっても過言ではない、貫井徳郎さんの作風が
「あれ? 少し変わった?」
と感じた時期があったからなんです。
(今回、紹介した作品とはまた別に)
そして、貫井さんと加納さんがご夫婦だと知った時に、その謎の違和感が私の中で解けました。
お二人のプライベートを詮索したいわけではないのですが、加納さんが闘病されていた時期があったようなのです。
そのことがきっかけで作風が変わったのかどうかは読者の一人でしかない私にはわかりません。(ただ最近になってまた貫井さんらしさを取り戻しつつあるな、とも感じています。)
今回オススメした二作は、あくまでも私の主観でしかないのですが
もしかしたらお互いを思いやって書かれた作品なんじゃないのかな?
と勝手に感じて、勝手に腑に落ちて、勝手に感動したため、一緒にご紹介いたしました。
お二人ともミステリ作家とはいえ、作風の読後感はどちらかと言うと真逆なんですが、私の中では、ずっと気になっていたパズルのピースがようやくぴったりとはまったかのように、とてもしっくりきたんですよね。
そういった背景抜きでも、どちらも十分魅力的な作品であることに変わりはないのですが、もしそうだったら素敵だな~とこっそり思い、もっとたくさんの人に読んでもらいたい! という願いを込めてお届けしました。
(※ちなみに今日更新したのは、3月22日ということで“見習いたい夫婦”にかけてみたからです🤭)
《つづく》
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