FF7リバース感想(ゲーム全体について)
ファイナルファンタジー7リバースの、ゲーム全体に対する感想。
注意
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ファイナルファンタジー7リメイク(以下、リメイク)
ファイナルファンタジー7リバース(以下、リバース)
原作の方のファイナルファンタジー7(以下、原作)
のネタバレがあります。
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良かったところ:ストーリー
リメイクに続き、色々想像させるストーリーがよかった。
原作経験者向け、かつ、三部作の二作目なのではっきりした結論はわからないストーリーではあるけれど、次回作が楽しみになったという意味で良かった。おもしろかった。
ストーリーについては別記事に書いた。
良かったところ:綺麗な世界
PS5の能力を遺憾なく発揮した美しいフィールド!
押し込められたようなミッドガルから解放され、旅のはじまりとともに目にするグラスランドの青空よ!
海や空、コスモキャニオンで見る儀式の美しさ。
原作との比較も楽しい。
良かったところ:キャラクター
前作からだけど、声が付いたこと、リアルな描写になったことで、キャラクターをよりはっきり感じられるようになり、全体的に魅力がアップした。
特にリバースでは、お馴染みのデートイベントがあったり、過去のエピソードを振り返るシーンもあったりして、より思い入れを強くした。
個人的に、原作に比べてバレットの魅力が上がっているように思った。原作では幼稚な感じがしたけれど、今作は酸いも甘いも知った大人な魅力がある。声が付いたこと、大人っぽく描写されていることで好感度アップ。
声と言えば、ヴィンセントの声がとてもかっこいい。ヴィンセントも原作ではそんなに好きなキャラではなかったけれど、この声はずっと聞いていたくなる。三作目では操作できるキャラクターになるだろうし、楽しみ!
良かったところ:音楽
FF7は、「それっぽい音楽」を作るのもうまい。
ゴールドソーサーの音楽は明らかにディズニーランドのエレクトリカルパレードをモチーフにしたものだろうけど、段々どっちがどっちだったかわからなくなるほどの出来。
コンドルフォートでコンドルを観察するイベントでは、ケーナーで「コンドルは飛んでいく」風のBGMだったし、ゴンガガフィールドではエンヤ風。その他ブルース、ジャズなど、幅広いジャンルの音楽が楽しめる。アレンジも豊富。クイーンズブラッドの曲も好き。
もちろんオリジナルの音楽もやっぱり好き。
悪かったところ:ストレスのたまる移動
移動に関してはストレスを感じる場面が多々あった!
移動しづらいフィールド
ちょっとした障害物を乗り越えたり、ちょっと高さのある場所から飛び降りたりすることができるパルクール。しかしパルクール可能な場所かどうかがさっぱりわからない。行けそうなのに行けない場面に出会うたび、ブレワイやティアキンはおもしろかったなと思ったし、これならいっそ、全部通れない方がマシだとも思った。
フィールドそのものも、段々複雑になっていく。
最初のグラスランドはまだいい。見通しが良く、マップを見てなんとなく道の繋がりがわかる。それ以外だと、マップを見るだけでは高低差がわからないし、行ける場所なのか、そもそも通行不可のフィールド外の場所なのかの区別も付かない。
特にゴンガガはひどい。
目の前に目的地が見えているのに高台にあるからたどり着けず、マップを見てもどの道がどうつながっているのかわからない。キノコの大ジャンプも実際乗ってみるまでどこに飛ぶのかわからない。苦労してたどり着いた高台なのに、キノコに乗ってみれば一番下の階層まで戻された箇所もある。なんで外れキノコを作ったの?
ファストトラベル自体は使いやすかった。各種ポイントを発見することで行き先が増えるのも楽しかった。しかし、その各種ポイントを探すまでが大変だし、ファストトラベル後、狙っているポイントに行く時はやはり苦労するので台無しな感じ。
チョコボが使いづらい
チョコボの動きが全体的にもっさりしていて快適ではない。
すぐには止まらない。お宝を探すためにピンポイントで止まらないといけないのに、行き過ぎる。また、すぐに方向転換できないのも面倒。レバーを倒して、1,2秒後にやっと向きが変わる。ダッシュして行けない場所にぶつかると、ピィィと鳴いて1秒ほど動けなくなるのもイラッとする。その後は必ず向きを変えないといけないからさらに1,2秒かかるし。
多くのRPGでは、新しい乗り物を手に入れると快適になるものである。これまで行けなかった場所に行けるようになったり、素早く移動できたりするようになって、手に入れて良かった! と思うもの。が、チョコボにはそれがない。宝を探せるようになったり、フィールドのアイテムをまとめて拾えるようになったり高速で移動できるようになったりするけれど、前述の通り動きがもっさりしているから徒歩の方が動きやすい。
また、これまで行けなかった場所に行けるようになるメリットもあるけれど、動きが遅かったり操作が難しかったり、そもそもフィールドがわかりづらいため快適度は上がらず、むしろ、様々なチョコボの種類を作るためにこんな面倒がフィールドが作られたのではないかと思うとちっとも喜びがない。
唯一海チョコボだけは良かった。パルクール可能な場所かどうかを気にせず岩などを飛び越えられるので。
原作のように、後から登場するチョコボは完全上位互換にしてほしかった。
悪かったところ:理不尽なバトル
バトルも、ストレスを感じることが多かった。
攻撃に夢中で避けられないとか、レベルや装備が不十分とか、反射神経が鈍くてジャストガードできないのは仕方ない。それは自分が下手だったり、育成が間に合ってないからだったりするからがんばればいい。
そうではなく、時に理不尽と感じるまでの敵の設定がある。一番ぴったりくる表現は、意地が悪い。
延々と火球を振らせつつ、火球とは別に攻撃してくる敵
HP1にしてくる敵
半永久的に拘束してくる敵(回避不可)
こちらの数倍の速さで移動しつつ遠距離連続攻撃をしてくる敵
地面に潜るなど、出てくるのを待たないといけない雑魚
カエルにしてくる雑魚
通常攻撃が無効な雑魚(クラゲなど)
ひとりで強敵と戦わされる場面
バトルシミュレータ『一陣の魔風』
特に一陣の魔風はひどかった。
ボス1体、雑魚2体が同時に出てくる戦闘で、ボスから倒さないと失敗という条件の中、雑魚が自爆するという……。
失われる信頼
例え話。
別の中学校から進学し、高校で初めて会ったクラスメイトがものまねクイズを出してきて、一所懸命考えたけど誰の真似かわからず降参したら答えが「中学校の担任の先生」だったとしたら。
なぞなぞを出されて考えてみたけど全然わからなくて降参したら「そんなの存在しませーん」と言われたら。
こんな問題を出されたら、まじめに考えるのが馬鹿らしくなるだろう。別の問題を出されても、この人が出す問題はどうせ答えられなかったり理不尽だったりするから考えるだけ無駄、と思うことだろう。その人は、出題者としての信用を失ったわけである。
同様のことが、一陣の魔風でも起こっている。
もし、難易度1から順番に難しくなっていって、難易度7の一陣の魔風がクリアできない、当然難易度8や9もクリアできない、という状況なら納得できる。しかし実際はそうなっていない。一陣の魔風だけ突出して難易度が高い。ここからわかるのは、戦闘の難易度について、作った側は深く考えていない、ということである。厳密な難易度調整はされていない。
そう思ってしまったら、作った側に対する信用は失われる。どうせこの戦闘も、適当に作ったんだから一所懸命やるだけ無駄、と思ってしまう。
一陣の魔風はバトルシミュレーターだから、必ずやらないといけないわけではない、だから戦闘バランスが崩れていたとしても大した影響がない、とはならない。バトル全体に対する信頼が失われるから。
移動でストレスが貯まり、戦闘で信頼を失う。
結果として、このゲームのことが嫌いになってしまう。
するとどうなるか。ラブラブなときは長所に見えていた部分が、喧嘩をしたときには欠点に見えるように、様々な部分が気に入らなくなる。それまで別に気にならなかった部分にイライラを感じてしまうようになる。以下、まだまだ悪かったところが続くけれども、最大の理由は移動のストレスと戦闘の難易度だと考えている。嫌いになったからこそ欠点に見えてしまう部分も多いと思う。
悪かったところ:UIが不親切
最近のゲームはボタンガイドが出るものがほとんどだし、メニューからチュートリアルやマニュアルを見られるものが多い。その分、不親切な部分が目立ってしまう。リバースにもちらほらあった。
ミニゲームはカメラ操作設定変更不可
カメラ操作の上下左右の設定について、通常時は変更できるけれどミニゲーム中の設定は変更できない。
例えば世の中にある飛行機を操縦するタイプのミニゲームの場合、操縦桿を引くイメージでレバーを手前に倒すと上昇するパターンと、手前に倒すと下に移動するパターンのふたつがあって、どちらが操作しやすいかは人によって異なる。ので設定できるのが一番いいんだけどリバースのミニゲームではそうなっておらず、ストレスだった。
通常時はカメラ設定を反転させているので、ミニゲームが始まった瞬間切り替えなくてはいけなくて大変だった。というか後半は諦めた。
モンスター詳細画面
リバースのモンスターは癖のある敵が強い(控えめな表現)ので、戦闘ではモンスターの攻略法を知ることが重要となってくる。「みやぶる」アビリティを使えば詳細な敵の情報を得ることができる。それはいいんだけど、このモンスター詳細画面がとても見づらい。
右側に弱点や耐性などの情報があって、それらはアイコンで示されている。アイコンがどんな意味を表すかは左側に表示させることができる。というか、それしかできないので、右のアイコンを見て、その意味を左からいちいち探さなくてはならない。とっても面倒!
画面の大きさ的に、アイコン+文字で表示することもできただろうし、十字キーで選択し、選択している間は文字でも表示することもできたのでは?
検索機能なし
モンスター詳細は、戦闘中以外にも見ることができる。みやぶっていないモンスターを探すために時々見る機会があったんだけどこの画面に検索コマンドがない。フィルターも並び替え機能も無い。目的のモンスターを探すためには上から順番に見ていくしかない。名前を覚えていなければ見た目を見て探さなくてはならない……。
また、アクセサリーにも検索やフィルター機能がない。
並び替えはあるけれど、装備中を優先するかどうかの選択肢しかない。「ここは石化攻撃を使ってくるモンスターが多いから、石化を防ぐアクセサリを探したい」と思っても上から順番に探していくしかない。防具はまだ選択肢が多くないからいいけど、アクセサリは種類も多く、複数の効果を持つアクセサリもある。交換する機会も多い(雑魚が石化やカエル攻撃を使ってくるので)。
なのに、フィルター機能が、ない!!
アイコンの説明がない
一部の画面、例えばマップ画面ではアイコンの説明がない。5/7などのように表示され、不足していることはわかるけど、何が不足しているのかわからない。
高低差や通れる範囲のわからないマップ
移動と大きく絡むけど、マップ画面では高低差がわからない。ほとんどのフィールドでは高低差を意識しないと移動が難しいのに、マップからでは高低差がわからないから現地に行ってみるしかない。
行ったことのある部分は地図上の霧が晴れるのだけど、ゲーム上通行することができない部分も霧がかかっていて、通行可能な部分なのか、それとも通行不可な部分なのかがわからない。通行可能な場所で、かつ霧がかかっているのならがんばっていこうと思うけど、その区別が付かないから行くべきなのか無視すべきなのかがわからない。
悪かったところ:つまらないミニゲーム
ミニゲームが、多かった!
ルールがあって得点があって報酬があって何度も挑戦できて、というちゃんとしたミニゲームから、ダンジョンのギミックを解くような一回限りの小さなミニゲームまで多種多様。
スクエニの中で、FF7といえばストーリーとキャラクター、それにミニゲーム、だからミニゲームにも力を入れねばならない、となったんだろうと想像する。
多いだけならいいけれど、個人的にはつまらないゲームが多かった。
おもしろいおもしろくないは好みの問題だから、おもしろいゲームが多いと思う人もいると思う。けれども移動と戦闘のストレスでゲームとしてのリバースを嫌いになっている状況では好意的に見られないものが多かった。
上でも書いたとおりカメラ操作を切り替えられないから思いどおりに操作できないし、クイーンズブラッドみたいに理不尽なほど難易度急上昇、みたいなのも増えてくる。
ダンジョンのギミックについては頭を使うことがほとんどなかった。物を移動させて終わりだったり、スイッチを調べたら終わりだったり、ゲームとしての楽しさはない。
好みの問題、と書いたけれど、缶を引っ張ってニワトリをおびき寄せたり、キノコを採集したりするあれらをおもしろいと思う人はいるのだろうか……。こんなのPS5の性能を使ってやるゲームじゃない……と思いながらやっていた。
原作にはゴールドソーサーがあるし、コスタ・デル・ソルのバカンスな雰囲気の中のミニゲームはいいと思ったけど、後はなくてもよかった、というか、「ミニゲームが少ない!」と不満に思うことはなかったと思う。それよりその分早く発売して欲しかった。
悪かったところ:ワールドレポート
フィールドのあちこちを巡って各ポイントを調べていくワールドレポート。
このフィールドには全部で何個のポイントがあります、とマップで示されるので、一つひとつ埋めていくのは達成感がある。一個一個はそんなに難しくないし、世界が綺麗だから巡ってて楽しい。
というのが最序盤、グラスランドでの感想。
段々マップが複雑になり、ストレスがたまるようになっていくと不満が募ってくる。
ストーリー上の動機が薄い
なんでクラウドたちはワールドレポートをやるのかというと、チャドリーに頼まれたからである。コスタ・デル・ソルではリゾートを楽しむくらいの旅だから急いでいる感じではないけれど、頼まれたと言うだけで、「まだですか?」と言われながらもやる理由が薄いんじゃないだろうか。
極端な話、ワールドレポートを全くやらなくても、メインストーリーへの影響はほぼない。
コスモエリアのエンシェントマターはちょっとストーリー要素があるし、地域の歴史を知るのもある意味ストーリーにつながっているとも言えるけれど、メインストーリーを追いたい気持ちとはかけ離れていて、ストーリーのことを考えるとなくても良い要素だった。
報酬がしょぼい
ワールドレポートの報酬は大体こんな感じ。
マテリアが手に入る
新しいアクセサリの材料が手に入る
新しいアイテムのレシピが手に入る
モーグリショップでアイテムを買えるようになる
「てきのわざ」を覚えられる
これがないとクリアできない、というレベルの報酬はない。もらうとちょっとキャラクターが強くなる、という感じ。一番強力なのは「ぞくせい」マテリアだろうか。
ぞくせいマテリアは強い。その他強いアイテムや便利なアイテムをもらえるけれども、ワールドレポートの対価としてはやっぱりしょぼい、と思ってしまうくらい大変だった。
FF7リバースをプレイしてて、最も手に入れて嬉しいアイテムは武器だった。新しい技が使えるし、攻撃力などの能力も概ね上がるので。見た目も変わるし。
そのエリアを一通りクリアすると全員分の武器がもらえるとか、そのエリアの雰囲気に合った衣装がもらえるとか、そういう報酬だったらきっと喜んでやったと思う。
もうひとつ報酬の候補を挙げるとしたら、それはコンプリート欲である。
このエリアには全部で○○個のワールドレポートミッションがあって、現在の達成状況はこうです、と示されている。一つひとつ埋めていってコンプリートさせるのは快感がある。このコンプリート欲自体を報酬にしている面もあるのだろう、と思って進めていたのに、なんとコレルエリアのワールドレポートは、ストーリーを進め、次のエリアに行って戻ってきた後でないとコンプリートできないようになっていた。「このエリアを全て達成してから次のエリアに行こう」ができない。作った側は、コンプリートする快感を味わわせるつもりはなく、コンプリート欲は報酬にはならない、ということがわかった。
未完成のまま次のエリアに行かざるを得ない状況を、気持ち悪いとは思わなかったのだろうか?
エンシェントマターは完全に蛇足
全てのエリアに存在し、ひとつの長編クエストとしてつながっているエンシェントマタークエスト。クエストの過程でクリアすることになるミニゲームはどれも楽しめた方だったし、最初はどんなストーリーなんだろうと楽しみに進めていたけれど、終わってみればメインストーリーとは全く関係ない話だった。確かにギルガメッシュファンは喜ぶのだろうけど、完結するのがメインストーリーの一番盛り上がった時期だったので水を差していた。
強さとしても推奨レベル70だそうなのでラスボスよりはるかに強いと思われる(ラスボスの推奨レベルは50くらいだそうな)。勝つためにはラスボスに楽勝で勝てるくらいまで鍛えねばならず、メインストーリーそっちのけになってしまう。
隠しダンジョンの裏ボスってふつう、クリア後に出てくるものなんじゃないの?
一連のエンシェントマタークエストは概ねギャグテイストで進むため、メインストーリーの雰囲気ぶち壊しだし流れも阻害するのでなくてもいいし、入れるにしても二周目にすれば良かったと思う。
二周目に取っておくべきだった
一周目はメインストーリーを味わうために少なめのワールドレポート、二周目でより隅々まで楽しんでもらうために多めのワールドレポート、という構成にすべきだったと思う。今の構成はお互い食い合い、全体的な魅力を半減させている。
悪かったところ:パーティーレベル
リバースにはパーティーレベルという概念があった。キャラクターのレベルとは別の、パーティー全体のレベル。これが高くなると新しいスキルを覚える、のではなく、覚えるための権利を得られる。逆に言えば、キャラクターのレベルが上がっても、パーティーレベルが上がらなければ新しいスキルを覚えることができない。パーティーレベルとはつまり、レベルキャップ(レベル上限)である。
パーティーレベルは、ワールドレポートのミッションや受注したクエストをクリアすると上がっていく。たぶん、ワールドレポートやクエストをクリアして欲しくて設定したのだろう。強くなりたくば世界の隅々まで旅をせよ、ただ単に敵を倒しまくっただけで新しいスキルを覚えさせるわけにはいかん! と。
つまりこれも、意地悪である。
ワールドレポートのミッションや各種クエストをクリアして欲しかったら、魅力的なミッション、クエストを用意すべき。内容がおもしろかったり報酬が良かったりすれば制限をかけなくてもやるよ。
パーティーレベルがあることでおもしろくなっているか、と言えばノー。何もおもしろくなってない。単に意地悪なだけのこの仕組みは、不要では。
今のスクエニに欠けているふたつのもの
リバースを遊んでみて、ふたつのものが欠けていると感じた。そしてそれは、スクエニ全体に言えることではないか、とも邪推した。
欠けているもののひとつは、おもしろいゲーム体験を提供しようという意識。
リバースでは、例えばリアルさの取捨選択に失敗している。
ゲームの映像はますますリアルになっているけれども、全てをリアルに作り込んでいるわけではない。例えばクラウドはたくさんの武器を持っているけれど背中に背負っているのは一本だし、他の武器を持ち歩いている描写はない。アクセサリや道具を持つような鞄も持っていない。定期的に食事したりトイレに行ったりする場面もない。それらはゲーム上の「お約束」として省略されているし、プレイヤーもそんなところまで求めていない。
また、例えばバギーに乗る場面では、クラウドがよっこいしょと乗り込むと、他の仲間はふっと消えてふっとバギーの座席に着いている。チョコボも同じ。これらは乗る場面が省略されている。
昔々のゲームは今よりもっと映像が綺麗ではなかったから、必然的に省略せざるを得なかったし、省略された部分は想像で補っていた(これが楽しい部分でもある)。
日進月歩の技術で描写できるものは増えてきたけれど、全部を描けばいいというものではない。上で書いたように、大荷物を抱えて移動する様子やいちいちトイレに行ったりチャドリーと会話する端末の充電シーンを見たりしても面白さはちっとも増えない。適度に省略し、想像で補ってもらう必要がある。
ではどの部分を省略し、どの部分を描くべきなのか。その基準のうち一番重視しないといけないのは「おもしろいゲーム体験になっているかどうか」だと思う。リバースではこれがなかった。
チョコボに乗っているとき、スティックを右に倒すと1,2秒後にチョコボが右を向くようになっていた。これは、手綱を引き、チョコボがそれに反応して右を向くイメージを描写しており、確かにその感じは伝わってくる。リアルである。しかしその分すぐに方向転換できないし、移動手段としてはマイナスである。もっさりしていて反応が鈍く、ストレスを感じてしまう。リアルさを重視し、おもしろいゲームになっているかの基準を重視しなかった結果がチョコボのあの動きになっている。
他の場面でも恐らく似たような感じでリバースができあがっている。
「どのミニゲームもおもしろく感じてもらえるよう作り込もう」ではなく「FF7と言えばミニゲームだからとにかくたくさん入れるだけ入れよう」の基準で作っているのではないか。「今でも人気であり名作の名に恥じぬ大ボリュームのゲームにしよう」の基準で作り「例え短くても、どの部分を切りとってもおもしろいと言われるようなゲームにしよう」という基準で作っていないのではないか。
この要素を入れることでゲームはおもしろくなっているか、を常に考えなくてはいけないはずだ。パーティー経験値を入れるとよりおもしろくなるだろうか? ベンチから立ち上がる時すぐに行動できないのはストレスを感じるから多少リアルさは減るけどもう少し省略しようとか。ウィリー(セグウェイ)の操作はこのままだと難しい、方向転換に時間がかかってしまうからもっとスムーズに曲がれるように変更しよう、とか。
作り手が、これはおもしろい! と思ったものが不評でも仕方ないと思うけど、リバースは果たしてゲームとして、これはおもしろい! と思って作られたのだろうか。もしそうなら申し訳ないけれど、その気持ちは伝わってこなかった。
今のスクエニに欠けていると思うもうひとつのものは、つまらないものをつまらないと言える環境だと思う。
何度も例に出すけれども缶引っ張りゲーム。あれを考えた人、実際にプログラムした人、チェックをした人など何人も関わっていると思うけど、関わった人全員がおもしろいと思ったとは思えない。きっと中には「つまらないよなこれ」と思いながら作った人もいたと思う。つまらないと感じた人が「これつまらないので止めましょう」と言う空気が足りないのではないか。そう言える雰囲気が無いからスマホゲームの粗製濫造につながっているのではないかと邪推する。ドラクエチャンピオンズなんて予告の段階からつまらなさそうだったけど、作っている側にもそう思っていた人がいたと思う。いたけど声を上げられないか、上げても却下される環境がああした作品を生み出したのではないか。
ゲームとしておもしろさを追求しようとする意識、そしてつまらないものをつまらないと言える環境。この二つが不足しているんじゃないのかな、とリバースをしていて思った。
FF7は好きなゲームのひとつだし、一般プレイヤーが偉そうに、と思われるだろうしネガティブな意見は言うべきではないという意見もあるだろうけど、でもおもしろいものをおもしろいと言い、つまらないものはつまらないと言うことがより良い作品作りにつながると思うので、長々書いたのでした。
三作目が、物語としてもゲームとしてもおもしろいものになりますように。
おしまい