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東京都美術館『エゴン・シーレ展』

 3/8、東京都美術館の『エゴン・シーレ展』へ行ってきました。

 ボイプラ(韓国のオーディション番組です)に日常を支配されすぎてうつ状態がひどくなってたので、芸術でも鑑賞せねばならない……ということで東京・箱根の二泊三日旅へ。

 シーレって好きか嫌いかで極端に言うと私の中では嫌いに分類される画家なのですが、同時になんとなく惹きつけられるものがあるのも事実なんですよね。ゴッホとちょっと似てるかもしれない。もっとも今更ゴッホを見るために東京まで行こうという気にもならないのですが、シーレは物珍しさも手伝って行きたいな~という気持ちになりました。

 エゴンシーレと言いつつ分離派の作品が多く、ウィーンモダン展のような雰囲気でした。クリムトやコロマン・モーザ、ココシュカ、ゲルストルの作品がいっぱいあって楽しかったです。

 ウィーン分離派って今までポスターやグラフィックはたくさん見てきましたが(ユーゲントシュティールやウィーン分離派大好きなんです)、カンヴァスに描かれた油彩画はあまり見る機会がなかったのでとっても新鮮だったし貴重でした。

 クリムトってやっぱり絵が上手いな~~と思います。何なんでしょうかね。見るたびに絵が上手いなと思うんですよね。人体表現が上手いのは言うまでもないんですけど表情がすごく美しくて……。むかし『エミーリエ・フレーゲの肖像』を見たときあまりの美しさに涙が出そうになったのを思い出しました。あとクリムトの風景画をはじめて見たんですけど晩年のモネとかボナールみたいな雰囲気があって面白かったです。

 コロマン・モーザの油彩画も初めて見た気がするんですけど(ずっとデザイナーだと思ってました)上手くて笑っちゃいました。風景画も人物画も描けるんだ……。でもやっぱりキンセンカの絵がモーザだ! という感じがしてかわいかった。

 肝心のシーレなんですが、好きか嫌いかで言うとやっぱり嫌いというか、率直に言って気持ち悪い絵を描く人だなあと思いました。でも彼の表現しようとしたもの自体は好きだし、結構共感できるテーマで、それを知れただけでも行った価値があると思います。生と死の緊張とか、自己の不確定さとか、そういったものを直接的にこのレベルで描ききれる画家ってたしかに稀有だよなあと。

 彼の絵は絵画というより詩みたいだと思ったので「すべての芸術家は詩人でなければならない」という彼の言葉にはとても納得しました。彼の詩は好きです。

この上もなく甘美な生の過剰さに満ちた永遠の夢想は、
――休みなく
――内に、魂の中に、不安な痛みを抱えながら
――炎を上げて燃え、戦いへと激しさを増す
――心臓の痙攣

「自画像」より 1910年

 すごくいいな、と思った詩。私の心臓はもう痙攣しなくなったけど、いつかはたしかにこんな夢想を知っていたような気がします。

 あとチェスキー・クルムロフの絵がたくさんあってほっこりしました。一度だけ行ったことがあるんですけどとても素敵な街です。


 シーレの裸婦画が並んでる展示室で、この習作はクリムトっぽさがある! やっぱりシーレはクリムトの弟子なんだな~! と感動していたらシーレのじゃなくてクリムト本人の習作だったので笑いました。クリムトの裸婦画を見分ける審美眼を手に入れてしまった……。

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