#Layered08R 覚書
こんばんは。涼子の実家の紫月杏朱彩さんゲスト回見ましたか?両者独特なテンポで喋ってて最高でしたよね。浮遊です。
Rに至るまでのあれこれ
Layered08R、無事終了しましたね。無事と言っても情勢的な意味ではここからが本番みたいなところはあるのかもしれませんが……。私はオープンDJとして出演させていただきました。
昨年の8月は今と同じくらい情勢が悪く、その上今のようにワクチン接種が進んでいたわけでもなかったので、行動制限等をかけるという意味で緊急事態宣言が直前に出てしまい、Layered08は延期となっておりました。そのときのnoteはここにあります。ちょうど1年越しになったので選曲した分は水泡に帰さなかったんですが、アップしているmix自体は気に入ってるのでよかったら……。
Layered自体は延期している間Rをつけてカムバックするまでに09が開催されていて、こちらはこちらでめちゃくちゃ盛り上がっていました。この日私はオーガナイザーとして加入したばかりのCUERaiderがあったんですが、めっちゃ飲酒しててろくに参加できなかったんですよね。楽しくてつい飲みすぎちゃった……。
(客なのに本当に最後までいて、ワイパさんと百合蔵さんときゆっちと私でメトロから出してもらった粕汁を飲んだんですよね。ワイパさんに初めて行ったクラブイベントがMOGRA地下冒険ツアーだったという話ができてよかったです)
また個人的な話だとRに至るまでに百合蔵さんと鮮やかなダンス in 京都METROで共演しました。いい感じにUK Bassで渡されたのに鴨川クルーで無茶苦茶やって破壊をしたら「やられたわ……」と言ってもらえたのをよく覚えています。
(そのときの話で一番好きなやつ。「Bruno Mars - 24K Magic」が流れてきたと思ったらマッシュアップでBruno Marsが歌い出さなくてめっちゃ笑いました)
Rがついて変わったこと
後で話す選曲に関わってくることなのでここでざっとさらっておきたいと思います。
① フライヤー
リベンジということでまずフライヤーが変わりましたよね。相変わらずのおやつさんのナイスワークですが、前のフライヤーはソフトクリームが水中にあるようなフライヤーだったのが、今回はチョコソースがかかってたり金箔?が散りばめられてたりでリッチになっています。
夏感というのは根本として変わってなさそうなんですけど、このフライヤーを見る限りリゾートっぽさよりも別の観念が強くなってそうだなと個人的に感じました。というのも明らかにモチーフとしてあった水がフライヤーからいなくなってるからです。ちょっと方向性を変えたほうがいいかなと思った1つの理由がこれでした。
② 配信がなくなった
個人的には結構重要な話だと思っています。現地に来れない人のための配信という、言葉が悪いですが「ついで感」があるのが現地で行われるイベントの配信だと感じています。ただ、イベント名をちゃんと掲げて配信をしていることや昨今の流れ的に、配信を見る人のことも考えながらDJをしたほうがいいのかなと思うところもあります。これはCUERaiderの運営に携わるようになってから特に感じています。
というのも、全然現場のイベントでは名前を見ないけどVRCではめちゃくちゃ活動している人が登場していて、VRC内のコミュニティがはっきりと存在している。そこのコミュニティにいる人たちは配信で見ることが当たり前になっていて、「現場に来ないやつが悪い」みたいな古い考え方が通用しなくなっています。このツイートを見て従来のカルチャーとVRCや配信のDJが当たり前な層の間にかなりの分断があるなと再確認しました。
私は日本のロックバンドが元々好きで、わざわざライブハウスに行って演奏を聴く理由をはっきり肌で感じてきた人間なので、やはり現場の音量や物理的な空間構築に魅力を感じているんですが、そうじゃない層も結構大きく存在しているというのは絶対意識しておくほうがいい。そういう意味で配信があった場合は展開をもっとはっきりつける必要があると思うんですが、今回はないのでそこの意識は不要になりました。
③ 空間演出の登場
そして特に選曲に影響を与えたのがこの「空間演出」という存在です。どこまで書いていいかわからないのでお客さんから見えていた範囲で感じ取れる程度しか書きませんが、
装飾に青いサイリウムブレスを使っている
お客さんの腕にも青いサイリウムブレスを巻く
DJブースが階段のところに作られている
フォトブースがある
というような感じだったと思います。当日の空間の写真を持っていないので(愚かなので撮り損ねた)、空間演出を担当した御隠居さんのツイートを貼っておきます。他にもたくさん当日の様子をショートムービーとして投稿しておられるのでぜひ確認してほしいです。
(私のDJ中の様子がガッツリ映っててちょっと恥ずかしい、Mac新しくしたのでステッカーも一新しました)
選曲に関して
前提: オープンDJであるということ
まず前提として、言っていいのかわからないんですけど、去年オファーをいただいたときから「オープンDJで!」と言われていました。オープンDJって私はパーティーにおいてかなり重要な立ち位置だと思っていて、それを「結果的にオープンになった」という形ではなく「オープンでやってくれ」とわざわざ言われたことの理由をめっちゃ考えました。ただの前座じゃないんですよ。
なんかnoteの仕様なのか埋め込みできないんですが、Resident AdvisorのオープンDJの記事に現れるパーティーメイクの思想を私は結構大事にしています。長いものではないので全部読んでほしいという気持ちなんですが、一番大事にしたい部分を引用します。
この記事における「ヘッドライナー」みたいな概念はかなり強めで、たぶんサブカル系のクラブイベントだとTaku Inoue氏とかAZKさんとかになると思うのでそぐわないことも多いですが、パーティーメイクという意味ではピークタイムをヘッドライナーの部分に置き換えればいいと思います。
セットの概観
今回ゲストのえふとんさんは初めましてだったんですが、ふせさんがソロでやるときの雰囲気はある程度知っていて、そこに加えてローカルはISHIIさんとオープンが私。あまり短絡的に使うのはよくないと思っている言葉ですが、コンセプトを取っ払った場合、今回は「踊り」の回なんじゃないかなと思いました。
その想定されるパーティーの流れを全て語り切ることなく、でもそこに誘導できるようなプレイ。それを前提に私が指名された理由を考えた結果がこれです。
歌詞も意識しながらブレイクビーツ→4つ打ち多めのポップス→乙女ハウスという形で展開していきました。最近Jazzy Hiphopとクラブジャズが自分の中で来てて、その流れで近しいところにあるTOKYO LUXURY LOUNGEを聴き返した成果が出ましたね。もっとガッツリやってみたいし次の川でやろうかな。
DJをするにあたってリアルタイムで選曲するフリーセットとガチガチに固定して持っていく決め打ちがあると思うんですが、今回は後者を取りました。久々だし上手くやれる気がしないというのもあったんですけど、前に誰もいないオープンだし、たぶん私のプレイを信じてオファーしてもらえたんだと思ったから、考え抜いたものをそのまま出したほうが後のパーティーの展開的にもいいんじゃないかという理由が特に強いです。実際やっててフロア見ながらコントロールするやつもやりたいなと思いましたが……。
選曲するにあたっていくつかポイントを設定しました。まず1つは序盤からダンスしすぎない。続いてシームレスになりすぎない、エクスペリメンタルになりすぎない。そして最後は心象風景を大切にする。
① 序盤からダンスしすぎない
これはさっきのRAの記事を見れば簡単ですが、最初からせっかく来てるのに最初の1時間で踊りすぎたら疲れてイベントの最後の方で椅子になっちゃうと思うので、前半は「踊れなくないけどまったり揺られる」程度のBPMで、後半を踊りやすい(後DJとしては受け取りやすい)BPMの120〜128まで持っていくようにするというのをひとつ大事にしました。
そういう意味でグルーヴも作りすぎないというか、適度に外すというのを意識しました。爆踊りやるにはグルーヴを保つのが基本だと思うので(時折外すのはもちろん大事)それの逆をやったという感じ。
② シームレスになりすぎない、エクスペリメンタルになりすぎない
音圧とか音像的な意味でつながりを作りすぎないのもかなり意識しました。最初は生音っぽい曲だけで組んでいたんですが、シームレスすぎると上の「ダンスしすぎない」が達成されないし、それだけじゃなく、没入しすぎると途中から来た人が置いていかれるので、「Target for love」など適度にシンセがうるさい曲を挟んだりして時間的なつながりを少し弱めました。
とはいってもダイナミックに展開を作るわけでもないというのは配信がないからこそやれたことですね。長い目に1曲をかけてもメトロの中にいてもらえるという状態で、展開を切り替えていく必要がなかったからこそ「シームレスになりすぎない=ある程度シームレスである」が実現可能だったというか。
後者はすごく簡単で、私は癖ですぐ実験的な音像にしてしまいがちで、ある程度個性として認めながらもやりすぎるとフロアを置いてきぼりにしちゃうし、今回の空間演出にもそぐわないなと思ったのでそこは気をつけようと思いました。なんというか、エレクトロニカとかは涼しいというより冷たい感じなので清涼感を通り過ぎちゃう気がしたんですよね。実際正解だったかなと思います。
これに近いところだとアニクラではないので、1曲のパワーが強すぎるものは控えるというのもありました。それにはポップスやロックを適当にかけたりするのがちょうどいいので、序盤にオタクソングばかり固めないようにしました。オープンフォーマットって掲げてあるしその辺も意識しながら。
③ 心象風景を大切にする
最後は特に感覚的な話になりますが、前述の通り空間演出が物理的に存在している状態なので、いくら夏の曲だとしてもその空間演出にそぐわない曲はなるべく弾きました。せっかくの没入感なので音もそこに寄り添いたいなと。実際かけたい曲は他にもいっぱいあったんですけど。
そこで基準にしたのが歌詞の心象風景、歌詞がない曲は聞いた時の心象風景。水中、波打ち際、夏の午後にたまに吹く爽やかな風など、ある程度想起されるものはあるじゃないですか。それをフライヤーや空間演出のプランシートと睨めっこしながら「合う/合わない」を判定してセットを修正していきました。特に意識的に弾いたのは「透き通るような青空」。夏だしそういう曲もたくさんありますが、ちょっと空間の作り方的に違う気がしたので……。
リアクションとしてかなりありがたい言葉をもらって嬉しかったです。普段だったら「いや〜!」とか軽い否定から入ってたと思うんですが、今回は北原沙弥香さんリスペクトで嬉しいことには「やったー!嬉しい!」って素直に返すようにしてました。自然と自分の気分も高まるし、たぶんそれを言われて言った側も嫌な気持ちにならないだろうし正しい姿勢かもしれないなと思わされました。言霊ってあるね。
最後に〜パーティーの感想〜
とにかく最高でした。Instagramで投稿する際にも結構長めに感想を書いたんですが全然足りない。物理的な空間演出がめちゃくちゃ良くて、これからも適宜こういうことやってほしいなとまず思ったし、その物理的な部分を見ながらのdaramiyaさんのVJも良かった。これだけで「非日常」をキーワードに空間を大事にしてきたLayeredの真髄がわかる感じがしました。早々に客になれて良かったな……。楽しむのはいいけど写真は適宜撮ろうね、私。
DJについてもゲストのお二方はもちろん、もう一人のローカルISHIIさん、Layeredのレジデントと全員のDJがとにかくしっかりしていて「本当に私ここに混ざってた?大丈夫?」って皆さんのプレイを見ていて感じました。その上で「この人じゃないとこのプレイは出てこないんだろうな」っていうのもビシビシと感じられて、私も頑張らないとって思いました。
というのも、ここ最近いろいろ見ていて「DJは上手下手の前に個性があったほうがいい気がする」と感じていたところだったんですよ。あんまり角が立つことは言いたくないんだけど、確かにミックスするのは上手いし流れとしても気持ちが良いんだけど、誰がDJしてても同じような展開で同じような曲がかかり続けてるというような様子をまあまあ長時間見ることがあって、結構それが苦痛だったんですよね。
あまりにも個性を前面に出してパーティーのバランスを崩すのはよくないんですが、それにしたって一聴して誰がDJしてるかわからないのもどうなんだと。今回の出演者はその塩梅が絶妙で、ちゃんとパーティーの流れを作っているのにそこにその人らしさがところどころで醸し出されていく。このラインナップ、このTTじゃないと成立しないという唯一性がそこにあったなと。
もちろん皆さん達者なのでTTが別の形だったら別の唯一性があったと思うんですけど、今回はこれが結果として上がってきたものだったという。今回だと私はKxIxNさんがJamiroquaiから牧野かんなのキャラソンに繋いだやつとISHIIさんがファンコットをかけ始めるまでの流れがめちゃくちゃ好きでした。ISHIIさん、散らかしてるようでちゃんと流れを回収して次に渡すし、それがちゃんと自分のキャリアに根ざしてるからすごいなと毎度思わされる……とはいえ全員良かったな……。
この個性みたいな話は実際もう2年くらい前からずっと考えていることで、最近それを口に出して話したりすることも多く、自分の個性とは……みたいなことをかなり考えていました。私の場合はCUERaiderのROCK回のセットをあいころさんに聴いてもらったときにいただいた「爽やかに仕上がってて」っていう感想を結構大事にしています。音像自体はさっぱりしてるけど深いところに潜ってるという印象は確かにあるなと自分でも感じるので、そことルーツを混ぜつつで自分らしさを担保できてるかなと。
それでもやっぱり性格的に我が強くなりがちなので、醸し出されていくくらいの距離感でDJできるようになりたいなと思いました。今回だいぶその辺頑張ったけどもうちょっと上手にやれるようになりたいよねっていう。
(個人的に自分のセットで大事な曲。サマージャム'95で一番目立ってる元ネタのカバー。このトラック聞くだけでなんか夏っぽいじゃないですか。)